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子どもも大人も一緒に防災が学べるイベントを  区やNPOとの協働で開催!

大人も子どもも楽しめる防災イベントとして人気の「イザ! カエルキャラバン!」が、都内のマンション「コスモ東京ベイタワー」で開催されました。中央区と臨港消防署、そしてカエルキャラバンを提供するNPO法人プラス・アーツとの協働で催されたイベントは、居住者だけでなく近隣の家族連れにも大好評でした。

防災・防火

中央区の支援を受けて、はじめての試みを

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東京都中央区にある「コスモ東京ベイタワー」は、総戸数217戸、26階建てのマンション。タワーマンションが林立する湾岸エリアにあって、その「走り」のような存在です。毎年、七夕やクリスマスなど季節の行事のほか、若いお母さんたちが主導する不用品の交換会「もったいないプロジェクト」やシニアクラブなど、理事会を中心に様々な世代が協力し合って、地道にコミュニティを築いてきました。ことに力を入れているのが、防災です。毎年開催する防災訓練はもちろん、防災マニュアルの策定などを積極的に進め、昨年度には中央区の「防災対策優良認定マンション」(以下認定制度)にも選ばれました。

中央区では、区内の世帯の約9割がマンション住まいということで、集合住宅の防災対策に特に力を入れています。昨年度から始まった認定制度では、築年の古いマンションにも適応できるよう、防災組織や防災マニュアルがある、地域とのつながりがあるなどのソフト面を重視した評価で認定をしています。認定を受けたマンションには、防災訓練経費の助成や3年に1度30万円相当の防災資機材の支給など、様々なメリットがあるのが特徴です。

さらに、区内で行われる防災訓練の活性化を目的に、今年度からはNPO法人プラス・アーツと協働で、マンションで行われる防災訓練の支援を行っています。プラス・アーツは、おもちゃの交換会と防災訓練を兼ねた「イザ! カエルキャラバン!」を提供するNPO法人。イベントに使用する小物の一部を区がプラス・アーツから買い取って、希望する団体に貸し出すこともしています。

今回、コスモ東京ベイタワーで行われたカエルキャラバンは、この区の取り組みを活用した3件目の事例です。「防災訓練は毎年行っていますが、やることはいつもほぼ同じて、参加者の顔ぶれも固定化されてしまっていました。そこで、区の支援による防災イベントを取り入れてみてはどうかと考えたのです」というのは、管理組合理事長の佐藤さん(仮名)。子ども向けの防災訓練も、居住者以外の人が参加するイベントも、今回が初めての試みだそうです。

無理なくノウハウを主催者に残すための仕組み

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2月開催のイベントに向けて、理事会では区との協議を夏頃から始め、十分に準備をしてきました。プラス・アーツからのレクチャーは、イベント2週間前に運営スタッフを集めて2時間ほど行われ、また当日朝にも再確認のためのレクチャーがありました。スタッフ数は約20名。もちろん、ほとんどがマンション居住者です。

「カエルキャラバンでは様々なプログラムを用意していますが、開催される団体のニーズや参加スタッフの数によって、無理をしない範囲のプログラム数を決めます。我々から派遣するスタッフは大抵2、3人。基本的には、参加してくれるスタッフの皆さんに運営をお願いしています」というのは、プラス・アーツの上田さん(仮名)。それは、イベント運営を通して得た防災の知識をノウハウとして蓄積してほしいとの思いからだそうです。

イベントの会場になるのは、マンションのエントランス、中2階のラウンジと2階の集会室。中2階にはおもちゃが入ったカゴを置き、おもちゃの交換会「かえっこバザール」の会場に、2階の廊下と集会室に各ブースを設けて防災イベントの会場としました。会場の案内図やポスターは、理事の中に得意な人がいたのでつくってもらいました。20名のスタッフは各所に配置され、防災プログラムに参加した子どもたちをレクチャーする役を担います。

外部からも人が集まり、イベントは大盛況!

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開催時間になると、マンション内だけでなく外部からもたくさんの家族連れが詰めかけ、あっという間に会場は人でいっぱいになりました。2階では、毛布で担架をつくって大きなカエルの人形を運ぶ「毛布で担架トライアル」や、ミニチュアの家具を使って部屋を安全にする方法を学ぶ「家具転倒防止ワークショップ」など4つのプログラムが、また屋外のエントランスでは「水消火器で的あてゲーム」が行われました。

プログラムに参加するたびに「カエルポイント」がもらえ、ためたポイントを好きなおもちゃと取り替えることができます。そのため、ポイントをためようと、子どもたちは次々にいろいろなプログラムに挑戦していくのです。「子ども向けのイベントでありながら、私たちは実はその後ろにいる大人たちに向けて防災の情報を発信しているんです」と上田さん。確かに、子どもと一緒に足を運んだ大人たちは、皆熱心にスタッフの話を聞いていました。スタッフたちも、まるで今日が初めてとは思えない手際のよさと語りの上手さで、これには上田さんも感心しきりでした。

結果、今回の参加者は目標だった100人を優に超え、120人あまりにもなり大盛況でした。また、その半分以上がマンション居住者ではない外部からの参加者だったそうです。子ども連れの参加者の中には、「子どものおもちゃ交換会があると聞いて来てみたが、防災プログラムに参加して、『なるほどな』と思うこともありました」という人も。家族で防災について考えるきっかけとなった、楽しく、ためになるイベントでした。

概要(取材年月:2016年02月)
  • 建物名:コスモ東京ベイタワー
  • 所在地:東京都中央区
  • 階数 :26階建て
  • 総戸数:1棟 217戸
  • 竣工年:2000(平成12)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:大和ライフネクスト(株)
  • 総会開催:毎年2月
  • 役員数 :25名以内
  • 役員任期:1年(輪番制、ただし今年度より任期2年、半数改選、顧問制度ありに変更予定)