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自主運営のプールで、子ども達の楽しい夏休みをサポート!

8月中旬、東京都板橋区のマンション「サンシティ」では、屋外共用施設「サンシティ・プール」で今年最後の水泳教室が開催されました。幼稚園児から小学生までを対象とした「サンシティ子ども水泳教室」は今年で30年を迎え、プール運営もサンシティ管理組合の自主管理に切り替えてから15年経ちますが、これまで大きな事故・トラブルもなく運営されています。プールの監視から水質管理まですべて手掛けるため、開園期間中は毎日が緊張の連続ですが、「子ども達の元気に泳ぐ姿をみると、こちらも元気になる」と自然に笑みがこぼれます。都内でも有数の美観を誇るアウトドアプールを紹介します。

その他

近隣住民含め毎年開園期間中3,500人前後が利用

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サンシティには20m×10mのプールと幼児用プールが併設されており、毎年7月下旬から8月末までの44日間が開園期間となります。開園時間は10時~17時半、利用料金は2時間制で大人500円、子ども300円。子供水泳教室(参加費5千円)も同期間中の毎週月~金曜日の午後、各20人ずつ募集し、行っています。

利用する子ども達は「学校まで行かなくてもプールに入れてうれしい」「教えてもらって泳げるようになった」とうれしそうに話してくれました。高齢化が進む同マンションですが、一旦巣立った子ども世代がサンシティに戻り「3世代居住」も少しずつ増えていることから、プールを利用する“孫”世代も増え始めているとのこと。

また居住者だけでなく近隣住民も利用できることから、現在は周辺住民の利用者が7割近くです。今年の利用者数は8月14日時点で2,750人と、目標の3,500人を超える見通しです。

15年前に自主運営に切り替え

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プールの管理は管理組合傘下の「プール部会」(管理組合理事を含む16人)が担当し、開園期間中は毎日5人(+アルバイト2人)体制でプールの監視と水質管理に当たります。水質管理は東京都「プール等取締条例」に基づき、プール水はろ過器を使った循環式で毎日閉園後に洗浄し、残留塩素濃度は0.4㎎/ℓ以上を維持。1時間に1回の測定と測定結果の記録も当番のプール部会委員が行います。また部会委員全員が東京消防庁認定の救命講習を受講するなど、「1にも2にも安全」を合言葉に無事故運営を心がけているといいます。

もともと同マンションは竣工当時から共用施設としてプールを完備しており、マンション販売時の「売り」にもなっていました。当時の運営主体は管理会社でしたが、15年前に管理組合理事を中心にボランティアで運営を引き継ぎ、その後「プール部会」を設立し、正式に管理組合による運営体制を整えました。

自主運営のきっかけは、屋外施設であるため期間限定の開園であること、外部委託の管理費用が削減できるということもありましたが、「そもそもホテルのようなリゾートプールではないので、利用者・運営者ともに皆に迷惑を掛けないようにどう利用していくかを考えることが大切だ」という考えから。収益施設ではない上に、当時は子持ち世帯も多かったことから、当時を知るプール部会委員は「子ども達の成長をみんなで見守る、子ども達の情操教育のお手伝いという思いが大きかったですね」と振り返ります。

管理規定を見直し運営・利便性高める

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2014(平成26)年、プール部会では管理規定を見直し、今年から本格運用を開始しました。これまで明記していなかった利用料の保管場所や人数のカウント方法(通し番号の発行)などを明確にするとともに、施設利用に関する部分も見直しました。

例えばロッカーについてはリターン式タイプに変更し、子ども達の料金負担を軽減化。販売する飲料については、缶タイプからペットボトルに変更することでプールサイドが汚れないように工夫しました。また監視員(=プール部会委員)が一目で分かるように、Tシャツ(ピンク・青の2色)も作成。これは利用者、とくに見学する親御さんから「誰が部会委員かがはっきりわかっていい」と好評だといいます。

これまでのプール管理規定は開園当初からの内容のままだったため、細かい規定が記載されていませんでした。そのため今回の見直しでプール部会や居住者全員が運営体制を理解できるよう、細かい項目を明記するようにしました。これら運営面の見直しは今年である程度一区切りですが、来年以降も運用しながらメンテナンスを随時行っていく予定です。

居住者・近隣住民との理解深耕目指す

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今後の課題は、「近隣住民への理解をどう深めていくか」(プール部会委員)だと話します。①自主運営②地域交流の場③気持ちよく使いたい―。この3点を守るため、プールの利用の仕方やマナーなどについて、利用者とも機会あるごとに根気良く説明しているといいます。

一方、プール開放や水泳教室の開催告知は、町内会の掲示板へのポスター掲示と幼稚園などに配るチラシが中心で、とくに説明会などを開催しているわけではないので、「利用する皆さんの意識をどう高めていくかが難しい」とも。利用マナーが悪かった時期もあり、居住者からは「居住者内での利用に限定しよう」との声が挙がり、料金体制を居住者・一般で差をつけていた時期もありました。しかし「プール運営は利益目的ではない」という思いから、利用者・価格差を設けない体制に戻しました。

プール部会委員の1人は「これまで自主運営で事故やトラブルがなかったのは、利用者とプール部会の気持ちのすり合わせをまめに行ってきたからだと感じています。小さいお子さんの中にはトイレマナーができていなかったり、親御さんも若いのでしつけの面で注意しにくかったりしたこともありますが、プールは共用施設で、みんなでマナーを守ることがいつでもきれいなプールを利用できることにつながっていることを理解してもらいたい」と話します。今後も子ども達の成長をみんなで見守る場所として、「サンシティ・プール」を運営していく方針です。

概要(取材年月:2015年08月)
  • 建物名:サンシティ
  • 所在地:東京都板橋区
  • 階数 :地上4~25階建て・14棟
  • 総戸数:1,872戸
  • 竣工年:1980(昭和55)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:三井不動産レジデンシャルサービス(株)
  • 総会開催:毎年3月
  • 役員数 :理事28人、監事2人
  • 役員任期:2年(1年ごとに半数改選)