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パークシティ溝の口外観(奥は工事中)

“100年住める快適住環境”を目指して

築30年以上経過し高齢者の割合が6割を超えている「パークシティ溝の口」。マンションの将来を考え、管理組合の取組みとして、前回(6月1日更新)は防災対策、前々回(5月15日更新)は住民交流の場の設置の様子をお伝えしました。今回は、“100年住める快適住環境”を見据えた大規模修繕や長期計画策定状況をお伝えします。2006(平成18)年に居住者を中心に修繕委員会を立ち上げ、住民説明会やアンケートを繰り返し実施しながら居住者の合意形成を図り、2025(平成37)年までの長期修繕計画を作成しました。現在も同計画に沿った形で修繕工事を進めるとともに、2014(平成26)年からは管理会社と連携し、30年先を見据えた計画策定の準備にも取り掛かっています。

その他

工事目前に長期計画から練り直し!

パークシティ溝の口外観(左下・右は高層棟、中央は低層棟)

マンションでは1998(平成10)年に当時の管理会社主導で1回目の大規模修繕工事を実施しており、修繕委員会はこれを踏まえた形で2006(平成18)年に設立しました。管理組合理事会では、第1期大規模修繕工事の経験を通じて、高層・低層棟が混在することによる修繕箇所・項目の違いや敷地内に商業施設があるという同マンション特有の条件、世帯構成の変化などもあり、いわゆる標準的な修繕計画では対応しきれないことが多いことを実感していました。もちろん管理会社が提案する各設備を中心とした標準的な修繕工事計画はありましたが、「パークシティ溝の口」の状況に合う計画内容ではありませんでした。「住まい」の課題や将来について居住している自分たちがもっと考えていく必要があることを痛感し同委員会を立ち上げたとき、すでにマンションは築25年経過し、共用部分、専有部分ともに改修・修繕が必要な時期を迎えていました。

「何から手を付けるか」。“素人集団”だった修繕委員会では、まず建築・設備分野それぞれの専門コンサルティング会社を探すことからスタート。修繕委員がネットや電話帳などで調べてようやく見つけたコンサルタントからアドバイスを受け、老朽化が進み緊急を要する給排水設備工事から着手することを決定し、総会でも承認されました。ところが居住者から「ここは世帯数が多く工事規模も大きい。目先の修繕工事だけでなく長期計画を作って取り組んだ方が良いのではないか」との意見が出されたのです。管理会社側でも指摘されたような住民目線に配慮した長期計画を策定していなかったことから、計画策定に取り組むことにしました。

合意形成に2年、将来を見据えた計画に

パークシティ溝口修繕工事看板

一度は承認された工事を見直す取り組みだったため、まずはコンサルティング会社の協力を得て計画を策定してもらい、それに基づきながら修繕委員会が中心となり建築・設備各分野での工事のリストアップや優先順位など、具体的な項目を大規模修繕計画に落とし込んでいきました。また住民説明会の複数回開催に加え、居住者向けアンケート「『住みよいパーク』アンケート」(回収率97%)も実施。同マンションを住みよくするために何が必要か、どこが不便か、どのようなマンションにしていきたいか、といった問いかけに対し、居住者からは「防犯対策として敷地内の照明を明るくしてほしい」「モニター付インターホンにしたい」「バルコニーの防水床がはげてきている」など、多くの意見が出されました。修繕委員会ではこれらの活動を通じ、2年かけて合意形成を図るとともに、出された居住者の意見を工事計画に反映するように努めました。

計画には2025(平成37)年までの20年にわたる建築・設備・防災工事に関する内容を盛り込み、工事金額は建築関連など仮設を要する工事で10数億円、小規模設備工事などでは1億円前後の規模となっています。とくに2010(平成22)年に着手した給水・給湯管・第2次排水管更新工事(以下D工事、計画・設計・工事2年半)については、専有部分(の給水・給湯管・追い炊き管)も含めた工事計画を策定。戸別発注では時間・コストがかかるところを一括発注することで全体的なコストを下げ、専有部分の工事費を含めて区分所有者の自己負担なく、総工費を修繕積立金額内に収めることに成功しました。また共用・専有部分工事を同時実施したことで、建物全体の設備能力を一気に引き上げることができたといいます。

工事業者選定についてもこだわりました。一般・業界新聞に入札の募集を出し、参加業者を募り、公正・透明性を順守するためその都度競争入札を実施したのです。財務・施工能力、実績、現場所長の判断能力など8項目による評価方式を採用し、価格面だけでなく総合力を判断して決定。「いかに居住者の視点に立った施工・対応ができるかがこの評価方式の基本」(修繕委員会メンバー)で、管理組合としても「同マンションは国土交通省が出している標準仕様には当てはまらない特殊性がある。管理会社や工事会社には住民目線で一緒に悩みながら取り組んでほしい」(現理事長)と考えています。

常に住民とのコミュニケーションを重視

パークシティ溝の口敷地内案内板

修繕委員会が最も心がけているのは「円滑な住民とのコミュニケーション」。1,100戸超・3,000人前後が居住するため、居住者への計画周知については一番力を入れたといいます。総会とは別に住民説明会を開催し、「どうやって工事会社を選んだのか?」「その工事は必要なのか?」といった居住者の疑問に対し、計画の設計説明や工事会社の選定経緯・結果を説明。工事の入札や業者選定が終了するたびに報告会も開催しました。また住戸タイプが100種類以上あることから個別説明会も実施し、各戸(専有部分)設備関連の課題・トラブルなどをヒアリング。特に多かったのは各戸(専有部分)リフォームとの調整と水周り設備のリニューアルの要望への対応でした。そこでD工事のときには、オプション工事の必要性に加え修繕積立金を利用した共用・専有部分工事とのセット化による一括工事の効率性、工期の短縮化といった説明とアドバイスも実施。各世帯まで踏み込む形で問題を抽出し計画に落とし込むことで、工期・コスト面での成果を生み出しています。

修繕委員会では、管理組合と連携しマンション内のトラブル・問題を発掘できる能力、問題解決策の提案力を高めながら、コンサルティング会社を含め“集合体”による専門性を維持する体制を構築してきました。現在進めている2043(平成55)年までの計画についても、この体制・考え方をベースに居住者のさらなる快適性の実現を目指し住民目線で取り組んでいく方針です。

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そんなパークシティ溝の口管理組合のホームページはこちら⇒http://www.mizopark.com/

概要(取材年月:2015年03月)
  • 建物名:パークシティ溝の口
  • 所在地:神奈川県川崎市
  • 階数 :15階建て・4階建て 計12棟
  • 総戸数:1,103戸
  • 竣工年:1982(昭和57)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:三井不動産レジデンシャルサービス(株)
  • 総会開催:毎年6月
  • 役員数 :理事9人、監事2人(住棟委員30人、住棟監事2人)
  • 役員任期:1年(半数はさらに1年継続し、計2年となる)