管理会社も積極的に協力

昨年は12月20日に開催され、あいにくの雨模様の中、分譲、賃貸それぞれの居住者など総勢109人が参加しました。会場は、マンション1階の集会室と、集会室に面した中庭です。

開始は午後4時。集会室のテーブルには、中華、お寿司、ケーキなどの食べ物が並び、子どもたち全員にいきわる数のクリスマスプレゼントが用意されました。中庭では雨避けに設置したタープの下で、バーベキューが行われました。投光器がバーベキューの辺りを照らし、通りに面したフェンスはイルミネーションで彩られています。

6時からは第2部のスタート。子どもたちはエントランスホールを仕切ってつくったスペースで子ども向け映画を鑑賞しました。大人たちは集会室で、腰を据えて宴会に入ります。会費は1世帯当たり1,000円から上限2,000円。足りない分は自治会の予算で賄われています。

管理会社の大和ライフネクストも、積極的に協力しています。同社から8人が参加し、運営のお手伝いをしたほか、ステーキやホタテなどの食材も差し入れました。中庭に設置したタープは、同社のクリーンスタッフが、私物を自宅から持ってきて貸してくれたものだそうです。

今ではすっかりマンションの恒例行事となっており、居住者からは「毎年、楽しみにしています」という声も聴かれます。賃貸居住者のなかには、マンション内の良好なコミュニティを気に入って「空きがあればぜひ分譲を購入したい」という希望もあるほどだといいます。

きっかけは自治会の立ち上げ

ただかつては、居住者間のコミュニケーションに頭を悩ませた時期もありました。同マンションは、等価交換方式で建設されました。土地を持っていた従前の地権者は33戸を保有し、賃貸として貸し出しています。賃貸居住者は区分所有者ではないため、管理組合には属しておらず、組合活動だけでは交流を図るのが困難だったのです。

そこで、居住開始から4年目の2000（平成12）年、分譲と賃貸の区別なく参加できる自治会を立ち上げました。同区では、60戸以上のマンションであれば、町会から独立して自治会を設立することができるのです。その年の年末に、自治会が開催したのが、第1回のクリスマス会でした。

当初は子どもを対象としたイベントとして、紙芝居や人形劇などの出し物を行っていました。その後、大人も参加し、居住者同士のコミュニケーションが図れるようにと、料理やお酒もふるまわれるクリスマスパーティーへと様変わりしていきました。ただその頃は、料理はケータリング・サービスを利用していたうえ、費用は自治会費より捻出。さらに回を重ねるごとに料理も豪華になっていき、徐々に支出が増えていったそうです。

そうしたなか、2010（平成22）年に管理組合役員の改選が行われた際に、新しく理事になった人から「そんなにお金をかけないで自分たちでやろう」という意見が出され、これをきっかけに方向転換。居住者らが中華料理やお惣菜を自ら買い出しに行くようになりました。

2011（平成23）年に東日本大震災が起こると、防災備品としてバーベキューコンロ、発電機、投光器、担架などを購入。それからは防災備品の点検も兼ね、自分たちでバーベキューをするようになり、今のスタイルとなりました。

皆が助け合い、充実したイベントに

多くの試行錯誤や紆余曲折を経てきましたが、居住者の中心となって運営してきた方々にご苦労された点を尋ねてみると、「何かあっても居住者同士が助け合うことで、乗り切ってきた」（自治会役員）といいます。

「例えば、子どもたちのプレゼントについて、かつては居住者の１人が勤め先から安く入手してくれていました。その方が引っ越ししてしまい、決まった予算の中で人数分を用意するのが困難になったときには、準備段階からボランティアで協力してくれている奥様方が、おもちゃ屋さんでテキパキと購入し、ぴたりと予算内に収めてくれました」（自治会役員）。

バーベキュー用の肉の仕入れは、居住者の知り合いが働いている地元スーパーに協力してもらい、ケーキは、居住者の子どもの知り合いのケーキ屋さんで、特注しています。まさに皆が助け合うことで、充実したイベントとしているのです。