共通

mainView
1 イルミネーション

育ち続けるコミュニティ ――イルミネーションが輝くマンションの歩み

おしゃれなレストランや料亭が点在し、寺社も多く、情緒豊かな街並みが広がる神楽坂。ライオンズマンション神楽坂第3は、そんな閑静な住宅地のなかにあります。
同マンションでは、いまや神楽坂の冬の風物詩ともなったクリスマスイルミネーションの展示や、納涼大会など様々な活動を行うことによって、住民同士の交流を深めてきました。

各種イベントその他

マンションを彩る、一面のイルミネーション

2 イルミネーション

いつもは静かなマンション周辺も、冬になると、わざわざマンションの前を通って通勤したり、立ち寄ったりする人が増えるそうです。その理由は、華やかなクリスマスイルミネーション展示にありました。

このイルミネーションのデザインから設置まで指揮をとっているのは、同マンションの管理組合理事長です。「マンションの竣工は36年前で、イルミネーションを始めたのは、27年前からです。子どもたちが喜んでくれて、キャラクターを取り入れたり、マンションの壁面を使ってツリーのイルミネーションにしてみたりと、毎年テーマを変えて行っています」と理事長は語ります。

2014(平成26)年は、大流行した「アナと雪の女王」をモチーフにしてデザインしました。理事長自らイラストからおこした型紙をエントランスのガラス面に貼り付け、スノースプレーを吹きかけてからはがすと、ガラス面には登場キャラクターの形があらわれます。

「クリスマスツリーも飾りますが、飾り付けは子供たちにまかせ、お菓子のプレゼントも用意します。このイルミネーションの設置活動によって住民同士の会話も生まれますし、近所の方から『今年はどんなデザインなの?』と声をかけていただくことも多く、関心を寄せていただいていることを感じます。自分たちが暮らす街の話題になっていたら、うれしいですね」と理事長。

エコや省スペースにもこだわり、様々な活動を展開

5 納涼大会

ライオンズマンション神楽坂第3は、クリスマスイルミネーション以外にも様々なイベントを企画しています。

25年続いている納涼大会もそのひとつ。屋上を使って、ナイアガラ花火を実施するほか、焼き鳥や焼きそば、田楽など全て手作りでふるまわれるのだそうです。祭りの雰囲気を盛り上げる提灯は、神楽坂通り商店会が開催する「神楽坂まつり」で使われるものを再利用しています。「神楽坂まつり」の主催者に尋ねたところ、提灯は毎年作って廃棄することがわかりました。それはもったいないということで、納涼大会で再利用させてもらうためにかけあった、という経緯があります。

また、こうしたイベント以外に、マンション内のエコ活動にも力を入れているのも特徴です。

2000(平成12)年、ゴミの減量とリサイクルを進めるべく、ゴミ置き場の名前を「ECO STATION」と変更しました。これは、住民のゴミに対する意識を変えてもらうためです。中もゴミ置き場とは思えないほど美しい空間になっていて、つねに掃除が行き届き、ゴミもきちんと分別されています。また、ドアをあけるとかわいらしいオルゴールの音が鳴る(クリスマス期間のみ)など、楽しい仕掛けも施されています。住民のエコに対する意識の高さが、この「ECO STATION」にあらわれているといえるでしょう。

ほかにも、住民の共用自転車を備えて自転車置き場の省スペース化を試みたり、東京電力と交渉し、一部スペースの返却を受けて物置スペースを確保したりと、住環境をよりよくするための工夫を積み重ねています。

活動のポイントは「まず、自分がやること」

7 ひなまつり

このようにさまざまな活動を継続できた理由について、理事長は次のように語ります。

「まずは、動いてみるということですね。マンション裏ののり面(自然の斜面を急傾斜地として補強した物)の緑化清掃活動も、まず自分たちで一度やってみて、毎年住民だけでやっていくのは難しいとわかりました。その上で東京都にお願いしたところ、動いてもらえることになったんです。現在は、年間3回のうち、春の1回を住民である私たちが、夏と秋の2回を東京都が担当してくれることになりました。ただ要求を出すだけではなく、まず自分たちが動くことで、多くの方とのイベントも、実現する可能性が高くなると思っています」。

ほかにも理事長は、クリスマスのイルミネーションをたった一日で片付けた後、お正月の飾り付けを行うなど、自ら積極的に活動しています。お正月が終わればひなまつり。マンションに飾られる7段の豪華な雛人形は、ネットオークションで安価に購入したものですが、近隣や居住者の女性から好評だそう。年間を通じて、季節感のあるディスプレイは、マンションの住民だけでなく、周辺住民との交流も促進しています。帰省で戻ってくる住民の子供・孫世代も楽しみにしているのだとか。

最後に理事長からこんなアドバイスをいただきました。

「大切なのは、活動を引っ張っていく人をつくることです。住民は、コミュニケーションをとる機会を待っていると思うので、リーダーシップを発揮して行動できる人がいるといいですね」。(TALO都市企画/岡島 梓)

概要(取材年月:2014年12月)
  • 建物名:ライオンズマンション神楽坂第3
  • 所在地:東京都新宿区
  • 階数 :5階建て・1棟
  • 総戸数:56戸
  • 竣工年:1978(昭和53)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:(株)大京アステージ
  • 総会開催:毎年2月
  • 役員数 :理事10名、監事2名
  • 役員任期:1年