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子どもからお年寄りまで、みんなで盛り上がるイベント満載!コープ南砂の秋祭り

かつての集合住宅には普通にあった“人情”や“助け合い”の精神が、いまなお色濃く残るコープ南砂。以前にも、マンション内互助組織である「助け合いの会」や地域を巻き込んだ公園清掃活動などをご紹介してきました。今回は、竣工の翌年から37年間続いているイベント「秋祭り」の様子をレポートします。

各種サークル活動

自主管理マンションで、アットホームで盛大な秋祭り開催!

図12「コープ南砂」は、総戸数165戸、1981年の竣工当時から自主管理を行っているマンションです。この日は、毎年恒例の秋祭りの日。ブランコや藤棚がある敷地内の公園には、朝早くから役員たちが集まり、準備作業に追われています。

 

ブランコの柵をぐるりと取り囲むように置かれた模擬店、ヨーヨーやスーパーボールすくい、おもちゃやお菓子売り場などがある子どもコーナー、ビンゴコーナーなどを設営し、さらに机と椅子を並べて60人ほどが座れる席を設けました。

 

模擬店は、生ビールやチューハイなどの飲み物、焼き鳥、焼きそば、フランクフルト、焼きおにぎり、おでん、焼き魚(サンマ)、揚げ物の7店舗。それぞれに店長さんを決め、各店舗に2~9名ほどの人員が配置されています。

 

秋祭り開始の12時近くになると、会場には人がどんどん集まり出しました。みんな思い思いに食べ物を買ったり、買ったものを持って席に座って話し込んだり。会場には、サンマの炭火焼きのいい匂いが……。皿に添えられた柚子は、敷地内のミニ菜園でその日の朝収穫したものです。子どもたちは早速「子どもコーナー」に集まって、お菓子を覗き込んでいます。おもちゃやお菓子は、赤が10円、緑が20円というように、シールで色分けされていました。

 

コミュニティのために始めたお祭りも37年目。地域も巻き込んだ祭りに

図1コープ南砂の秋祭りは、マンション竣工の翌年、1982年の自治会発足当時に始まったものです。自治会を立ち上げた際、「コミュニティのために何かイベントをやろう!」と考えたもので、当時は夏祭りだったといいます。

 

 「あの頃はまだみんな若くて元気だったから、2日間続けて結構盛大にお祭りをやって、そのうち『盆踊りをやりたい』なんて話も出てきてね……」と管理組合理事長の小林さんはいいます。しかし、盆踊りはやぐらを組むのに80万円もかかると聞いて断念。さらに年月を経るうちに「住人がシルバーになってきちゃって、夏は熱中症の危険があるから」と、秋祭りに変わってきた歴史があります。

 

今年で37年目を迎える秋祭り。当初はマンション住人のみでやっていましたが、今は地域から色々な人が参加してみんな一緒にテーブルを囲み、世間話に花を咲かせます。

例えば、近隣町会、社会福祉協議会、民生委員、以前ご紹介した「南砂線路公園の環境を守る会」、さらに「江東区助け合い活動連絡会(以下、連絡会)」の関係者などです。

 

連絡会は、コープ南砂の役員たちも関わって数年前に立ちあげた団体で、小林さんが事務局長を務めています。現状の介護制度や公的な福祉サービスだけでは必要な支援が望めないことから、区民同士の助け合いや見守りによる支援の輪を広げていこう、という趣旨で始まりました。連絡会ではコープ南砂助け合いの会の活動などの事例を共有したり、区の社会福祉協議会と連携したりと様々な活動を行っています。今回のようにマンションのイベントに参加してもらうことで、より強い連携が生まれ、助け合いの輪も広がっていくことでしょう。

 

 

参加者は300人超! 男性中心に働いて、女性は「お客様」!?

図2さて、秋祭りの現場では、休憩を挟んでさらに鶏肉を焼き、おにぎりを焼き、そばを焼いて、いつの間にか150匹用意したサンマももうありません。気がつけば生ビールを少し残して用意した食べ物、飲み物は完食していました。当日は少し肌寒かったのですが、ビンゴゲーム大会も盛り上がり、夕方まで続いた秋祭りは大盛況のうちに終了。300人を超える参加者があったそうです。

 

今回の秋祭りは自治会役員、管理組合役員はもちろん、防災委員会役員や有志も加わって60名の実行委員によって運営されました。予算は自治会予算から30万円、現金売上と寄付8万円の計38万円。支出はほとんどが材料費です。

 

また、住人には1世帯につき「コープ南砂秋祭り2018年10月」と書かれた500円分の引換券を配布。模擬店でも子どもコーナーでも使用でき、500円を超えた場合は現金での購入も可能です。目についたのは、テント設営から模擬店の調理まで、働いているのがほとんど男性陣だったこと。小林さんに聞くと、「働くのは男、普段がんばってる女性たちは今日はお客様。家庭と同じで、そういう気づかいが円満の秘訣ですよ」と笑います。

 

「30年も経つと子どもの声が聞こえなくなった、というマンションが多いなか、うちは幸い子どもも多い。コープで生まれ育って、またここに戻ってくる人もいるくらいです」と小林さん。秋祭りが終わるとすぐにハロウィンイベントがありますが、高齢化率約43%にして、15軒20名の子どもたちから申し込みがありました。ハロウィンもマンション全体で楽しもうと、子どものいない家庭に、子どもたちが訪ねてきたらお菓子を配ってほしいとお願いしたそうです。「ハロウィンだからといって子どもたちだけのお祭りにするんじゃなく、せっかくだから大人たちにも関わってもらう。そうすることで、普段子どもと交流することのない人も、コミュニティの一員になれるでしょう。うちは子どもからお年寄りまで、みんなに居場所があるマンションなんですよ」と語ってくれました。

 

☆☆☆

次回は、30年以上管理費と修繕積立金の値上げをせず、独自の手法で運営してきた管理の秘訣をご紹介します。

 

 

概要(取材年月:2018年10月)
  • 建物名:コープ南砂
  • 所在地:東京都江東区
  • 階数 :14階建てなど
  • 総戸数:165戸
  • 竣工年:1981(昭和56)年築
  • 管理形態:自主管理(一部委託)
  • 管理会社:─
  • 総会開催:毎年5月
  • 役員数 :管理組合8名、自治会13名
  • 役員任期:管理組合1年(毎年4人が交替)、自治会1年(輪番制・総入れ替え)