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区との協働でマンションと地域の環境を守る!「できることは自分たちで」の精神でコミュニティも育成中(2)

前回ご紹介した、江戸長屋のような助け合い精神のコミュニティを育んできた「コープ南砂」では、江東区と協働しながらマンション内や周辺地域の環境を守る取り組みを行っています。その中でコミュニティはさらなる広がりを見せ始めました。区の施策を普及させるためのアドバイザーとしても活躍する管理組合の事例をご紹介します。

各種サークル活動

住人の手で良好な管理を行う「コープ南砂」

PA270028コープ南砂は、1981年の竣工当時から自主管理を行ってきたマンションです(現在は一部委託)。住人主体の「助け合い活動」の他にも、敷地内の掃除や芝刈り、定期清掃等を多くの住人が参加して行っています。例えば電動草刈り機を購入し、敷地内の除草・芝刈りは、管理組合主導のもと、居住者で行っています。清掃業務も同様で、管理組合がポリッシャーや高圧洗浄機などを持っていて、「清掃デー」になると100人ほどの住人で清掃をするのです。

 

そのため、管理費は入居5年目頃に一度上げたきりで、その後32年間ずっと上がっていません。修繕積立金も潤沢だそうで、建物も築37年とは思えないほどきれい。管理状態が良いことがひと目でわかります。

 

住人の意識も高く、「できる限り自分たちで」がモットー。強制も無理もせず、それぞれの得意分野やできる範囲内でやれることはやる、というスタンスです。それはマンション内だけでなく周辺の環境や地域に対しても同じで、様々な形で周囲に働きかけを行っています。

 

「コミュニティの根幹は『そこで知り合う』こと。遠くの親戚より近くの他人と言いますが、縁あって同じ屋根の下に暮らす者同士、助け合って生きていくのが理想なんじゃないでしょうか」と語るのは、自治会長の小林さん。行政サービスに頼りきりの現状に疑問を感じ、マンションや地域のコミュニティを通じて、自分たちにできることはないか常に考えてきました。そこで取り組んでいるのが、生ごみリサイクルと公園の管理活動です。

 

ごみを減量化しコミュニティも活性化する「生ごみリサイクルの会」

図120年ほど前、コープ南砂自治会の役員会で生ごみリサイクルの話題が持ち上がりました。米ぬかやもみ殻、油かすなどの有機物を発酵させた「EMぼかし」という資材で生ごみを肥料に変える方法なら家庭でも簡単にできるという話になり、早速やってみることにしました。

 

こうしてできたのが「コープ南砂生ごみリサイクルの会」。1994年に各家庭に呼びかけをして会員を募り、活動を続けて23年が経ちました。会員は現在18世帯。各家庭で毎日出る生ごみをEMぼかしを使用してたい肥に変え、2週間に1度、隔週土曜日に集まって施肥作業を行っています。敷地内の緑地帯やミニ菜園、花壇などに生ごみたい肥を埋めるほか、敷地内の除草や植栽の管理も同時に実施。作業時間は午前9時から1時間程度です。

 

集まった際に毎回たい肥の計量をしていますが、年間約2トン、計量を始めてから19年間で35トン以上の生ごみを減量することに成功しています。活動の利点としては、家庭から出るごみが減ることのほか、生ごみたい肥を活用して花壇づくりなどを楽しむことができる、共同作業による会員間の交流が活発になったことなどがあります。

 

大根敷地内の菜園では、ゴーヤや、江東区ゆかりの江戸東京野菜「亀戸大根」などを栽培。生ごみたい肥によってすくすくと育った野菜類は、マンションの高齢者宅に随時届けています。また、江東区の「生ごみ減量推進事業」にもアドバイザーとして協力。区役所等で行われる説明会で会の活動内容を発表するなど、区内での取り組みに対する普及啓発活動にも力を入れています。

近隣住民や江東区と協働する「南砂線路公園の環境を守る会」

20171101  線路公園ニュースNo.46マンションに隣接する「南砂線路公園」の環境保全活動も、コープ南砂の住人が中心になって行っています。区が管理している南砂線路公園と仙台堀川公園科学の森について、その緑化推進や環境保全、地域コミュニティ活動の活性化を目的に、自治会の呼びかけで2010年に「南砂線路公園の環境を守る会」が発足しました。

 

現在、登録会員数は52人。会員のうちコープ南砂の住人が約8割、残りは近隣住民です。定例活動として毎月1回公園内の除草や剪定、花壇の手入れ、清掃などを行うほか、臨時活動として花壇の造成や枯れ木の処理などを随時行っています。さらに、春と夏の公園自然観察会、緑のカーテン教室、夏休み子ども自然観察会などのイベントも随時開催。隔月で、活動内容を伝えるニュースも発行しています。

 

会費は年額1,000円ですが、区が景観の向上と参加者同士の交流を深めるために行っているボランティア支援活動「コミュニティガーデン」に登録して資材等の提供を受けているほか、一般財団法人セブン‐イレブン記念財団からの助成や近隣企業からの協力を仰いでいます。以前にもご紹介した江東区のコミュニティガーデン活動は、現在40団体が登録、1000名以上のボランティアが活躍していますが、公園全体の管理をしているのは当会のみです。

 

「作業をしていると通りすがりの方から『お疲れさま』、『きれいですね、ありがとう』と声をかけていただくことがよくあり、とてもうれしい気持ちになる」と小林さん。現在活動している中心メンバーはリタイアした団塊の世代が多いとのことですが、これらの活動を継続していくためにも、若い世代の人材を育成することが課題だと語ってくれました。

 

概要(取材年月:2017年10月)
  • 建物名:コープ南砂
  • 所在地:東京都江東区
  • 階数 :14階建てなど
  • 総戸数:165戸
  • 竣工年:1981(昭和56)年築
  • 管理形態:自主管理(一部委託)
  • 管理会社:─
  • 総会開催:毎年5月
  • 役員数 :管理組合8名、自治会13名
  • 役員任期:管理組合2年、自治会1年