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共用施設の用途見直しで無駄を削減(1)シアタールームにカラオケセットを導入

大規模マンションにある多彩な共用施設は、マンション購入時にはとても魅力的に映るもの。しかし、実際に住んでみるとあまり利用されなかったり、意外に制限が多く利用しにくかったりと、問題が生じる場合も少なくありません。今回は、利用が少なかった共用施設の稼働率向上を目指し、用途を見直した管理組合についてレポートします。

各種イベントその他

意欲のある理事たちが、1期目から様々な改革を断行!

P7010053JR京浜東北線「新子安」駅から徒歩4分、総戸数497戸のビックコミュニティがある「ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン」は、2015年に竣工した新しいマンションです。しかし、管理組合の活動は大変活発で、年3回のイベントなどを通して、コミュニティ形成にも力を注いでいます。

 

それは入居当初、管理組合の仕事に意欲のある人たちが理事に立候補したことに端を発しています。全員で15名の理事のうち、立候補者は実に12名。彼らを中心に、管理組合は1期目から様々な改革を行いました。例えば、管理組合の継続性を重視し、理事の任期変更(1年から2年任期へ)と半数交代制の導入、財務面では、積立マンション保険への加入、修繕積立金の一部運用(すまい・る債の購入)、ゲストルームの有償化などです。

 

1期目の総会は「少し荒れた」と当時の理事長、野邨(のむら)さんはいいます。入居前に受けた説明から、1年で色々なことが一気に変わってしまったことが原因なのか、進め方が少々性急だったのか、特に無償だったゲストルームの有償化については様々な意見が出ました。その反省を受けて、2期目の総会からは各々の担当理事が各議題について組合員に説明し、理事長は議事進行に徹するという形をとることにしたそうです。また、居住者に管理組合の活動を理解してもらい、管理組合側は居住者の疑問・意見などにできる限り応えるため、毎月開催している理事会の実施内容について「理事会だより」を発行し、全戸へ配布しています。さらに、理事会活動の報告会のなかでも重要な検討事項議題については、個別説明会も随時行うようにしました。

 

中古のカラオケ機器を購入。イベントに流用して費用を圧縮

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さて、理事会も2期目を迎え、昨年からの懸案事項や新たな課題について議論を交わす中で、共用施設のひとつである「シアタールーム」の稼働率の低さについて問題提起がありました。ザ・パークハウス横浜新子安ガーデンは、ゲストルームやパーティールームのほか、広々としたラウンジやスタディルーム、ミニショップなど、多彩な共用施設が魅力のひとつです。

 

その中の一つ、シアタールームについて、「入居当初は物珍しさも手伝って結構使用されていたようですが、その後月に数回程度になっていました」というのは、現理事長の林さん。大きなスクリーンに高性能の音響設備、さらに防音も完備していて1時間400円と格安なのに、使用されないままの現状がありました。せっかくの共用施設の稼働率が低いというのはもったいないことです。そこで、理事会ではカラオケ機器の購入を検討。シアタールーム兼カラオケルームにすれば、稼働率が上がるのでは、と考えたのです。

 

中古のカラオケ機器を10万円ほどで購入。曲の配信サービスは月数千円の経費がかかります。それでも理事会がシステム導入に踏み切ったのは、イベント時などに使う音響設備のことがありました。

 

ザ・パークハウス横浜新子安ガーデンでは、防災訓練をはじめ年に3回イベントなどを行っていますが、ステージで司会進行をしたり、子どもたちがダンスを披露したりする際に、必ず音響設備を使用します。音響設備は予想外に高価で、毎回レンタルするごとに10万円程度の費用がかかっていました。しかし、カラオケ機器があればそれを持ち運んで使用することで、音響設備の代わりになり、レンタル費用を圧縮することができると考えたのです。

そしてその考えは、みごと大正解でした。

 

カラオケ機器が七夕まつりでも活躍!

 

図1猛暑日となった7月の上旬、ザ・パークハウス横浜新子安ガーデンのエントランスは、人であふれかえっていました。年に3回あるイベントのひとつ、七夕まつりです。エントランスを入ると、広いロビーには笹飾りがあり、卵のつかみ取りチャレンジに並ぶ行列もできています。奥にはステージが設けられていて、子どもたちのダンスと歌が繰り広げられていました。

 

そのステージの横には、シアタールームから運ばれたカラオケ機器が! ダンス用の音楽も司会の方が使うマイクの音も、この機器で操作を行います。笹飾りとステージでの特別公演をはじめ、ミニ四駆走行大会や子ども科学教室、野菜販売、スタジオでの美脚レッスン、靴磨きや包丁研ぎ、おもちゃすくいなどのイベントのほか、かき氷やドリンク販売もあります。さらに、屋外ではスイカ割り、駐車スペースでは近隣のファーストフード店の出張販売などが人気を博していました。

 

これだけ盛大な七夕まつりですが、管理会社の積極的なサポートやマンションに関わっている企業からの協力があったほか、理事たちが近隣の店舗などに協賛をお願いし、ほとんどの催しが無料で成り立っています。予算は30万円ほどあるのですが、使ったのはスイカ割りのスイカと販売用のビール、笹竹などで、ビールの売上金を差し引くと10万円程度で済ませることができました。それもこれも、カラオケ機器で音響がまかなえたおかげです。

 

ところで、肝心のシアタールームの稼働率ですが、土日を中心にカラオケルームとして使われることが多くなり、利用者が数倍増え、活性化したそうです。「平日は周辺のカラオケボックスに行った方が安いくらいなので、平日の利用は少ない。床がカーペットなので飲食ができず、不便なのかもしれない。改良の余地はもっとあると思います」と林さん。今後は共用施設の便利さについて住人に知ってもらうため、共用施設ツアーなども行っていきたい、と意欲を語ってくれました。

 

 

☆☆☆

次回は、機械式駐車場を一部平置きに改修し、管理組合の財務の見直しを図った経緯についてご紹介します。

 

To Be Continued.

概要(取材年月:2018年07月)
  • 建物名:ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン
  • 所在地:横浜市神奈川区
  • 階数 :地上10階・地下1階建て
  • 総戸数:497戸
  • 竣工年:2015(平成27)年築
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:三菱地所コミュニティ(株)
  • 総会開催:毎年1月
  • 役員数 :18名(昨期まで15名)
  • 役員任期:2年(半数交代、最長4年、立候補者がいなければ輪番制)