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進化する自治会!

大規模マンションにおいては、単独で自治会を形成しているケースもよく見受けられます。マンション内外のコミュニティ醸成に大きな役割を占める自治会。その運営に当たっては、役員のなり手不足や管理組合との線引きなど、様々な課題があることも確かです。入居当初から自治会を持ち、進化を続けてきたマンションの自治会をご紹介します(前回は広報誌とホームページについてお伝えしました)。

その他

管理組合の下部組織として始まった自治会

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総戸数264戸、築31年のマンション「ガーデンハイツ入間」は、入居当初から単独の自治会を設けています。1985(昭和60)年の入居当時に、近隣の八津池(やついけ)自治会との協議があり、200世帯以上もあるマンションはまかないきれない、ということで、マンションで独自に自治会を設けることとなったのです。

第1回自治会の会議が行われたのは、1986(昭和61)年4月のこと。しかし、当時は自治会の会則等は定められていたものの、管理組合の下部組織としての位置づけであり、組合の中に「自治会部門」として設けられただけでした。管理組合の理事長が自治会長を、管理組合役員が自治会役員を兼任していたといいます。

また、子ども会ができたのもこの頃のこと。今は少子化でなくなってしまいましたが、当時の子ども会は、自治会が支援するかたちで運営されていました。さらに、1990(平成2)年には自主防災会が発足。もともとあった自衛消防組織をそのまま自主防災会の役員に移行したものですが、こちらは管理組合と自治会の共同運営となっていて、ここには自治会役員が数名参加していました。

管理組合と自治会を完全分離! 自治会規約も手作りで

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ガーデンハイツ入間では、自治会が管理組合の下部組織であっても、管理組合の管理費は管理会社が徴収し、自治会費は、6か月の半期ごとに自治会の班長が徴収するなど、別々に徴収していました。そのため、当初から管理組合と自治会を混同するような運営ではありませんでしたが、マンションを区分所有したときから強制的に加入する管理組合と、基本的に入会が任意である自治会では、同じ組織であることに無理が生じてきました。特に自治会では近隣地域とのコミュニティとのかかわりが重視されるため、次第に運営が煩雑になってきたのです。

そこで2001(平成13)年、第16期管理組合理事会にて、管理組合と自治会の運営を完全に分離することにしました。第16期自治会の副会長を務め、現在は管理組合の理事長でもある島田さん(仮名)は言います。「自治会を管理組合から分離させるにあたって、自治会の規約と運営細則のつくり直しをすることになりました。これまでそんなものはつくったことがなかったので、たくさん勉強しましたよ」。

こうして、新たな自治会の規約及び運営細則の制定案が島田さんを中心に作成され、総会にて承認されたのです。

「マンション内の自治会なので、マンションの中だけで行うコミュニティ活動、例えば、イベントなどについてはその時の役員の都合で『今年は止めた』となってしまう可能性がある。イベントなどは継続性が大事だと思うので、運営細則に1年間でやるべきことを盛り込んで実施していくようにしています」と島田さん。規約や細則を定めた際に、長期的な視野に立っていたことがよくわかります。

さらに同じ頃、マンション内の生活環境改善を目指して、「生活環境改善委員会」が発足。管理組合と自治会が合同で運営する組織で、双方から役員を出し、構内や駐車場の見回りなどを今でも協力して行っています。

また、昨年に行われた大幅な管理規約の改正では、「マンション標準管理規約」の改正を参考にしながら、「コミュニティ」に関する業務を管理組合と自治会の間で整理する意味で、管理規約中の「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」という文言を削除。ここであらためて管理組合と自治会との区別を明確化しました。今後自治会は、居住者同士のコミュニティ醸成のための組織としてさらに活動に力を入れていくとのことです。

マンション内外で、コミュニティ活動に邁進!

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自治会の活動の中でも大きなものは、毎年10月末に行われる「ガーデンハイツまつり」です。自治会が主催、管理組合が協賛し、その他有志の協力によって執り行われています。マンションの中央にあるテニスコートが会場となり、焼きそばなどの出店のほか、子ども向けの駄菓子屋やフリーマーケットも出店します。

各戸に配られる案内状には、部屋番号ごとに抽選券がついていて、まつりの最後には抽選会が行われます。神戸牛や米など豪華景品が当たるほか、外れてもティッシュ5箱など空くじなしの抽選なので人気があり、まつり自体の参加率も高いそうです。大勢の人が参加するため、途中でAED(自動体外式除細動器)の講習を行うなど、工夫もしています。

そのほかには、地域で行われる「八津池夏祭り」が大きなイベントです。ガーデンハイツ入間自治会では、毎年フランクフルトの屋台を出店します。入間の八津池地区は、地域同士の横のつながりが深く 、地域のまつりへの出店も、欠かせない自治会の役割のひとつです。また、地域で開催される体育祭や合同防災訓練、市民清掃などの各種イベントにも参加し、近隣住民との交流を深めているとのことです。

現在、自治会長を務める田中さん(仮名)は言います。「当初は若手中心だった自治会の担い手も、最近ではリタイヤ組が増えてきているんですが、できれば若い人にももっと参加してほしい。60歳過ぎから参加できる『シルバー会議』を年4回開いていますが、これも年齢を取っ払って月1回程度の茶話会にするなど、色々と計画しています」。また、マンション内ではあまり盛んでないサークル活動なども、今後は盛り上げていきたい、と抱負を語ってくれました。

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ガーデンハイツ入間のホームページはこちら!⇒http://gh-iruma.cside.com/

概要(取材年月:2016年08月)
  • 建物名:ガーデンハイツ入間
  • 所在地:埼玉県入間市
  • 階数 :11階建て
  • 総戸数:264戸
  • 竣工年:1985(昭和60)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:西新サービス(株)
  • 総会開催:3月(自治会)
  • 役員数 :20名
  • 役員任期:1年(再任を妨げない)