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インフォメーション

 明けましておめでとうございます。

 令和という新たな時代の幕開けとなった昨年、世界は自国第一主義が拡大し、政治・経済、また環境の不安が深まっています。国内では自然災害が通常化し、大規模地震の発生確率の高まりとともに、今後の災害不安が一層拡大するところとなりましたが、ラグビーワールドカップでの日本代表チームの活躍は、国民の心を一つにする大変明るい出来事でした。

 今年もまた、国内外に想定を超える大きな出来事が起こるのかもしれませんが、東京オリンピック・パラリンピックの開催の年、改めて日本が大きく明るく発展していくことを期待したいと思います。


 さて、マンションを巡る環境は大きく変化しており、マンション・マンション生活を巡って様々な問題が起きています。
 特に、近年深刻度を増す7つの重要な環境変化があります。

①マンションストック及びマンション居住者の飛躍的増加
 都市部の約3割はマンション居住であり、首都圏で中古マンション取引が新築マンション供給数を上回る状態が3年間継続

②居住者の「終の棲家」化
 マンション総合調査では、マンションを終の棲家と考える世帯は63%

③二つの高齢化の急速な進行による管理組合の財政の悪化
 修繕積立金が計画に比べ不足しているマンションが30%強

④現場の決定的な人手不足による管理会社経営の悪化

⑤居住者・居住形態の多様化による多様なサポートの必要性の拡大
 外国人居住者・投資家ニーズ、一人暮らし世帯・認知症者が増大

⑥タワーマンション・IT化・設備施設の高度化など建物の高度化・高層化による管理の専門性・高度化の重要性

⑦災害の頻発・大規模化への対応の緊急性、大地震・風水害・熱射等の自然災害の危険度の急拡大

 こうした状況は、「マンション管理」の難しさを一段と深めることとなり、 管理組合の財政の悪化、管理会社の経営の悪化を進め、マンションの資産価値・ 居住価値の下落、そして、管理不全や劣化・スラム化、そして外部不経済に繋 がっていくことになります。


 こうした諸課題に向けて当協会が特に注力してきた取組みが「マンション管理がマンションの市場価値へ正しく反映される仕組みづくり」です。

 昨年6月の定時総会でお話し致しましたが、当協会では、マンション管理のレベルを適切に評価する基準づくりに係る研究会の創設をマンション管理に関係の深い団体や関係官公庁の皆様に対して呼びかけました。広範な業界の皆様からご賛同をいただき、9月に当協会を含む11団体からなる「マンション管理適正評価研究会」を立ち上げ、議論を重ね、情報開示の在り方について検討するとともに、管理状況の明示的な指針として、等級評価の手法の策定を目指し、評価項目の選定や評価ポイントの配分等、多様なご議論をいただきました。

 研究会では、管理状況の要素について約170項目を抽出し、各項目の性質に応じて、1.マンションの基礎的情報である「一般情報」、2.購入(予定)者により評価・判断が分かれる情報である「客観情報」、3.管理状況を評価付けして示す「等級評価」に区分しました。

 そのうえで、等級評価の項目を大きく「管理組合体制関係」「管理組合収支関係」「建築・設備関係」「耐震診断関係」「生活関連」の5つのカテゴリーに分類。評価ポイントの合計100点を個別の項目に配分し、獲得したポイントに応じて、S(特に秀でた管理状態)・A(適正な管理状態)・B(管理状態の一部に問題あり)・C(管理状態に問題あり)・D(管理不全の恐れがある)の5段階で評価する方式の中間とりまとめを行い、近日公表の運びとなりました。

 研究会では、この適正な管理の情報を担保する評価者として、管理評価について一定の知見を修得したマンション管理の国家資格者の活用、管理組合が情報を登録・蓄積し、積極的な情報開示を進めて行く中で定期に更新していくための受け皿や仕組みづくり、また下位に評価される管理組合の登録が進むことへのインセンティブの付与、といった普及啓発方法についても広範な議論を行いました。

 国土交通省では、社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会において、適正な管理を行うマンションが評価される仕組みや、管理組合の情報開示のあり方など、マンションの維持管理の適正化と再生の円滑化の促進について、取りまとめの方向を示されたところです。適正な管理の評価・認定の制度についての業界団体との連携や、適正な管理を行うマンションに対するインセンティブの付与についての検討などについての言及がなされ、研究会の方向性と同じくするものと、大変好ましく受け止めているところです。

 当研究会におきましても、中間報告書のとりまとめ以降につきましては、成果である管理情報開示の等級評価をはじめとする新たな制度が不動産市場で広範囲にオープンに開示されるよう、流通業、マンション管理業、管理組合の団体等が連携し、業界横断的な具体の活動をさらに進めて参ります。

 また、マンションの管理状態の評価の経済ベースの費用への反映には、共用部分のマンション総合保険の料率算定も有効であり、過去の事故発生状況を踏まえ、良好な管理状態のマンションを対象に相応しい料率改定をすべく、大手損保会社との協議にも着手したところです。


 このほか、協会として取り組む課題に、法制・金融等諸制度の見直し・要望があります。多様化・高度化が進む管理組合ニーズに対応し、管理業務における生産性向上や人手不足等の課題を解決するための重要な方策として、AIやIOT等の先進技術の活用推進は今後益々重要なテーマとなっていきます。  

 その具体化の一環として、国土交通省のご指導・ご協力の下、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関連し、テレビ会議システムによる遠隔での重要事項説明や、法定書面の電子交付等を行う社会実験を実施しました。  

 今後、その成果を踏まえ、従来の対面原則及び書面交付原則について、現行規制の在り方を見直す法改正が行われることに大きな期待を持ちたいと思います。


 最後になりますが、諸課題への取組みにあたり、関係各位の皆様の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、会員各社の皆様のご隆盛を心よりお祈り申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。

 

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