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新年に当たり、ご挨拶申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、年頭には自然災害や事故に見舞われ不安な年明けとなりましたが、夏には日経平均株価が最高値を記録し、日本経済は緩やかに回復しています。
一方、当業界を取り巻く経済状況は、原材料高、人材不足等による最低賃金の引上げなど物価の高騰が継続しており、厳しい事業環境にあります。他方、国際社会においては、未だ紛争が絶えず、不安定な状況が継続していることから、輸入価格の上昇も懸念されているところです。
ここでマンションを取り巻く状況に目を向けますと、国土交通省が昨年8月に公表したマンション総合調査によれば、世帯主の年齢について5年前の調査結果と比べますと、「30歳以下」は減少する一方、「70歳以上」は増加しています。また、「老朽化問題について議論したが方向性が出なかった」とする管理組合の割合が約1割に達しています。このように、マンションをめぐる「2つの老い」が確実に進行しています。弊会としては、マンション管理組合や区分所有者を支援する業界団体として、積極的に諸施策に取り組んで参ります。
【1.マンション管理適正評価の推進】
まず、「マンション管理適正評価」の推進です。これは、マンションの管理状態をソフト・ハードの両面から30項目について評価し、その評価結果を、五つ星をもって6段階で表示するものです。
「マンションは管理を買え」と言われて久しいですが、適正評価を通じた「管理の見える化」が、資産価値の維持向上に繋がっていくことを広くお示ししていきたいと考えています。
おかげさまで、適正評価に関しては、8の金融機関において住宅ローン優遇条件等に組み入れていただいており、また、10の不動産情報サイトと連携させていただいています。
さらには、行政と連携も進んでおり、昨年12月には、広島県が運営するインフラマネジメント基盤(DoboX)において、評価制度に登録されたマンション管理情報の掲載を開始しています。
弊会では、「マンション管理適正評価」に関し、本年度末登録1万件の目標を掲げ、現在、会員各社がその普及・推進に取り組んでいるところです。国の「管理計画認定」とのワンストップ申請も徐々に拡大しており、認定マンションの約7割が評価制度経由の申請となっています。管理計画認定と適正評価とは、言わば「車の両輪」であると考えています。皆様の御理解・御支援を引き続きよろしくお願いいたします。
この点に関し、弊会がかねてから要望していました適正評価を受けたマンションに係る住宅金融支援機構「マンションすまい・る債」の利率の上乗せについては、現在、国土交通省と住宅金融支援機構との間で、導入に向けて準備が進んでいるとお聞きしております。その御尽力に対し心から感謝と敬意を表します。
【2.マンション長寿化促進税制の延長】
令和4年4月に施行された「マンション長寿命化促進税制」についても、本年3月末に期限を迎えることから、弊会としてはその延長についてかねてから要望していたところです。
これについては、国会議員の皆様や国土交通省の御尽力により、「令和7年度税制改正大綱」において、期限延長が盛り込まれることとなりました。御尽力いただいた国会議員の皆様、国土交通省に対しては、改めて感謝を申し上げます。本税制の期限が延長された暁には、弊会としてもその活用の促進を図り、将来的な制度拡充要望につなげていきたいと考えています。
【3.マンション法の改正】
現在、国においては、マンション法の改正に向けた検討が進められています。そのうち、「管理組合の担い手不足」への対応に関しては、既に昨年6月に、国土交通省において「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」が公表されていますが、更なる法的措置が検討されているところです。
「管理業者管理者方式」については、現在、弊会では「ガイドライン」の周知に努めているところです。また、管理業者管理者方式を展開する会員会社においては、丁寧な情報公開、意見交換、アンケート、アイデア募集など「透明性」の確保を通じたお客様の信頼の確保に努めています。
管理業者の創意工夫によりお客様の御負担の小さい「管理業者管理者方式」が推進されるような法制化を期待しています。
【4.その他の取組】
以上のほか、マンションの管理を巡っては様々な課題があります。その1つが、「カスタマーハラスメント」対応です。
特に、マンション管理業では、多数のお客様と長期的・継続的な連絡・接触が必要であることから、カスタマーハラスメント(カスハラ)の発生するリスクが構造的に高い業種といえます。
この点、厚生労働省「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」報告書(令和6年8月)では、労働者保護の観点から事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当とされています。また、10月には東京都では防止条例が成立し、事業者によるカスハラ防止対策などが努力義務として定められるなど、カスハラへの対応が各方面で進んでいるところです。
既に、令和5年9月に改訂された「マンション標準管理委託契約書」では、カスハラが有害行為として明記されています。
弊会としては、マンション管理に従事する従業員が働きやすい環境づくりの一助となるべく、ガイドラインづくりを検討するなど、業界全体としてカスハラ対策に取り組んでいくこととしています。
弊会は、今後もマンション管理業界の発展のため全力を尽くしてまいります。
関係各位におかれては、引き続き一層の御支援と御協力をお願い申し上げますとともに、会員各社の皆様の御健勝と御活躍を心からお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。