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この度、6月7日付で理事長に就任いたしました高松でございます。
マンション管理業界を取り巻く事業環境は、人件費、エネルギー価格の高騰などによるコスト増、慢性的な人手不足、恒常化する自然災害など課題山積の厳しい環境ですが、今後のマンション管理業及びマンション管理業協会の成長発展に微力ながら鋭意尽力して参る所存ですので、皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
今回相談役となられました前理事長の岡本潮氏は、理事長として5年間、困難な課題に誠心誠意取り組まれ、協会・業界をリードしてこられました。就任早々、中期事業計画の作成に着手され、各委員会の役割を明確に定め業務改善を進められました。特に特筆すべきは、マンション管理適正評価制度の創設と、マンション管理業務へのIT活用、DX推進です。
協会は、岡本前理事長の成果であるこの2つの大きな課題の取組みを正に開始したところです。私はこうした前理事長の実績をしっかりと受け止め、継承し、さらに発展させて参ります。
現在、全国の分譲マンションストックは686万戸、うち築40年超は116万戸、10年後には249万戸に増加との数字があります。管理不全を未然に防ぎ、安心・安全で快適なマンション環境を末永く保ち、さらに維持向上させていくことは、今後、国を挙げて必須の課題であり、当業界当協会が注力すべき方向です。
居住価値、資産価値の維持向上のためにも、マンション管理適正評価制度の社会的定着は欠かせない取組みだと考えております。
4月より始動したマンション管理適正評価制度は、5月末日現在5件の登録があり、協会のホームページで管理情報を開示しています。登録申請には管理組合の総会決議が必要であり、定時総会が集中する6月を超えた以降は、会員各社からの提案を受けた相当数の管理組合様より登録があることを期待しています。
マンション管理適正評価制度は、国の管理計画認定制度と連携していて、両制度を当協会に同時申請することにより、管理組合様は両方の審査結果をワンストップで取得することが出来ます。
管理計画認定制度は、各地方公共団体が管理適正化推進計画を定めた上で順次受付開始となりますが、年度後半には政令指定都市をはじめとしたより多くの市・区等で申請が可能となり、当協会を経由した両制度のワンストップ申請による相乗効果が期待されます。
改めて申し上げますが、当協会のマンション管理適正評価制度の最大の意義は、各マンションがマンション毎、各管理組合様が管理組合様毎、定期的に管理状態をチェック、いわば健康診断を自らが行って、お住まいのマンションの管理・運営・居住価値・資産価値の維持向上を図っていくための制度です。当協会はこのため、日本全国、共通の物差しである評価基準と情報公開の場を提供するものです。
登録は、比較的管理状態の良い星の数が多いマンションから申請が進むものと予想します。一方で、仮評価を行い、長期修繕計画がない、管理費滞納率が高いなどにより改善事項が明らかとなったマンションも出てくると思われます。こうしたマンションに対し当協会は、暫定版長期修繕計画書の作成費用補助等の支援を行い各マンションのセルフチェックと管理状態の向上を促して参ります。
また、より多くの管理組合様が評価を受けるよう、登録へのインセンティヴとなるマンション共用部分の保険料割引について大手損保会社と継続して交渉を進めています。登録マンションの購入・リフォーム時の融資条件の優遇措置創設についても国、住宅金融支援機構、関係金融機関に働きかけを行って参ります。
さらに、情報開示につきましては、複数の不動産流通のポータルサイトでの評価指標の掲載方法について細部の調整を行っているところです。
もう一つの取組み、マンション現場におけるIT活用・DX推進についてです。
昨年6月のマンション標準管理規約の改正によりITを活用した総会・理事会の実施が可能となりました。改正適正化法で実現したIT重説と合わせ、IT総会・理事会の開催は、管理組合様にとって、役員の担い手不足・負担軽減などに大いに寄与するばかりでなく、マンション管理業全体の生産性向上や人材不足対策等にも資するものです。
現在、一部のマンションではIT理事会の導入が始まりましたが、多くのマンションでは手探り状態でハイブリッド型理事会をまずは試みているというのが実情のようです。課題は、規約改正手続き、区分所有者様のITリテラシーの差、ITインフラなど様々ありますが将来を考えれば乗り越えていかなければいけない壁だと思います。
協会は、これら一連の動向やコロナ禍を踏まえて行っている会員各社のマンション現場でのIT活用の取り組み、様々な管理事務のデジタル化進捗状況を整理し、会員各社に情報を公開し、また必要に応じて国土交通省に働きかけを行って参ります。
また、協会業務自体のDX化も引き続き実施して参ります。
新体制のもとでの今後の協会の事業展開について、2大テーマをお話しいたしましたが、一朝一夕にかなうものではありません。さらに、中長期の課題、マンション管理業の成長発展・社会的評価の向上、業界従事者の処遇改善・社会的地位確立に向けた諸施策については、今後協会内の各委員会にて論点整理を進め、年度内に3~5年の新中期事業計画として策定し、現中期事業計画に引き続き、次年度より実施して参ります。
事業環境は益々厳しさを増すと思われますが、引き続き協会活動への皆様の一層のご支援とご協力を心よりお願い申し上げるところです。
結びに、関係各位の皆様のご健勝、またご活躍をお祈り申し上げ、私の就任挨拶とさせていただきます。