住人へのアンケート結果から見えた、防犯活動の必要性

JR山手線「田町」駅から徒歩約8分。周囲を運河に囲まれた「芝浦アイランド」は、4棟3,827戸の高層マンションからなるひとつの街です。前回、清掃活動である「クリーンコミュニティ」の取り組みをご紹介した際にもお伝えしたとおり、マンション棟の住人から構成される芝浦アイランド自治会は、元々周辺にあった町会にも入会しています。

自治会が最も力を入れているのはクリーンコミュニティに代表される美化活動と、地域の安全を守る防犯活動です。というのも、住人に「自治会活動で今よりもっと力を入れてほしいことは何ですか？」というアンケートを行った際、1位が防災、2位が防犯、3位が美化活動という結果が出たからです。1位の防災で希望する活動は、実際はほとんどが管理組合主体で行うことができるため、前自治会長で管理組合の理事もつとめる栗山さんが自治会に美化防犯委員会をつくり、防犯・美化活動に注力をしてきました。

クリーンコミュニティが自治会のメイン活動として認識されるまでになったことは、前回お伝えしたとおりですが、防犯に関しては自治会独自の活動はありません。町会、三田警察署、三田防犯協会などと連携しながら、それぞれが主催している活動に積極的に参加するようにしています。

町会が主催する青色防犯パトロール

参加している防犯活動のひとつは、「青色防犯パトロール」です。青色防犯パトロール（以下、青パト）とは、警察から「青色回転灯装備車による自主防犯パトロールを適正に行うことができる旨の証明」を受けた民間の防犯ボランティア団体や行政機関のことで、平成16年から、自動車の屋根に青色回転灯を装備することが認められています。

東京都の青少年・治安対策本部が推奨し、警察庁生活安全局が申請書を受け付けて証明書等を交付しており、町会は以前からこの認定を受けています。活動内容は、月2回、第2・4水曜日の夜7時から、青色回転灯を装備した車隊と拍子木をたたきながら歩く歩行隊に分かれて、地域をパトロールするというものです。

芝浦アイランド自治会では、町会のこの取り組みを知り、「この輪の中に入って行こう」と決めたそうです。理由のひとつは、前述した防犯への取り組みが住人から望まれているというアンケート結果から。また、青パト隊は芝浦アイランドの周辺もパトロールするのに、これまでアイランドの住人がほとんどこの取り組みに参加していなかったことを知ったからでした。

今では、芝浦アイランドからも毎回必ず数名が参加。自治会で作成した青パトのポスターを芝浦アイランドの掲示板にも貼って告知をしています。アイランドからの参加者も含め、みんなで拍子木を持って「火の用～心、カン！カン！」とまわったり、拡声器で振込め詐欺の防止などを呼び掛けて夜の街をパトロールしています。

春と秋に行われる交通安全運動にも積極的に参加

三田警察が春と秋に行っている交通安全運動期間には、近くにある小学校周辺の横断歩道で児童の誘導を行う活動にも参加しています。朝の7時40分から8時20分まで、小学生の登校時間に合わせて約10日間、1つの参加マンションにつき1つの横断歩道を割り振られ、数名が誘導をすることになっています。

この取り組みに関しても、小学校に通う生徒の半数以上が芝浦アイランドの住人であるにもかかわらず、これまであまり活動に参加してこなかったという経緯がありました。交通安全運動の際の見守り活動も、三田警察と町会の共同主催です。他団体が主催する活動に積極的に参加する理由について、栗山さんは「自分たちだけで単独で主催しようと思うと大変。軌道に乗るまでに最低でも5年はかかります。周辺地域や町会と上手に手を取り合うことで効果が上がるのなら、新しく立ち上げるよりずっと効果的に、多くの人の役に立てると思いませんか？」といいます。また、周辺地域と共同連携が進むことによって、協力して地域の課題を考えていくこともできます。

ちなみに、芝浦アイランド自治会は、2017年の6月に警視庁と防犯協会連合会との連名で、地域安全への功労を表して防犯活動感謝状を受けました。1年前には三田警察と三田交通安全協会との連名で交通安全活動の感謝状も。また、クリーンコミュニティ活動に対しても、2016年12月に港区長から表彰をされています。地域の町会や行政機関と連携して活動することで、美化防犯力だけでなく地域力も高めている芝浦アイランド。今後も、これらの活動に精力的に取り組んでいくということです。