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- 2013年冬号
<記事内コンテンツ>
●マンション敷地内駐車場問題の現状と判例
●敷地内駐車場の外部貸出し時の課税対象の明確化
●マンションの機械式立体駐車場事故対策
マンション敷地内駐車場問題の現状と判例
3 最近の状況
ところで、分譲方式・留保方式
に関するトラブルなど、かつての駐車場の問題の多くは、マンションの住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足し、希望者の全員が駐車場を利用できないという状況に起因していました。
しかし、現在では、自動車離れという社会状況や、マンション居住者の高齢化などを背景に、空き待ちではなく、反対に、駐車場利用者が足りず、空き区画が生ずることが多くなっています。
空き区画の発生は、管理組合に、マンション管理に必要な資金が不足するという財務上の問題を引き起こします。空き区画の発生を防ぐには、駐車場の設置台数、使用料その他の使用契約条件の設定に、十分な工夫を凝らさなければなりませんが、既存のマンションでは、これらの工夫にも限度があります。そこで、考えられるのが、外部に駐車場を貸し出して使用料を得ることです。これまでは、駐車場の外部貸しには、税務上の課題があったため、積極的に利用されませんでした。
しかるに、今般、国税庁から見解が示され、課税範囲が明確になり、外部に貸しやすくなっています。国税庁の見解については、この特集でもわかりやすく解説がなされていますので、ご参照ください。
また、マンションが老朽化し、地震対策の重要性に関心が高まるに伴い、駐車場の安全性も、再検討されはじめています、機械式の立体駐車場については、事故発生が散見されるに至り、その安全性に対しても、急速に注目が高まってきました。この問題についても、この特集内で詳細に解説をしています。
4 まとめ
マンションにおける安心・安全で快適なくらしのため、駐車場を誰もが納得できるような方式で運営し、安全に管理することは、欠かすことができません。マンション管理に携わるみなさまも、これまで以上に、駐車場の管理に配慮いただくことが必要だと思われます。
渡辺 晋(Susumu Watanabe)
1980 年 一橋大学法学部卒業。同年、三菱地所(株)入社
1985 年 三菱地所住宅販売㈱出向
1989 年 司法試験合格。
1990 年、三菱地所㈱退社
1992 年 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)
現在、山下・渡辺法律事務所所属
【著 書】
『最新 区分所有法の解説』
『最新 借地借家法の解説』
『最新 マンション標準管理規約の解説』(以上住宅新報社刊)
『不動産取引における庇護担保責任と説明義務』(大成出版社刊)
『ビル事業判例の研究』((社)日本ビルヂング協会連合会ほか刊)
『宅地建物取引業における犯罪収益移転防止のためのハンドブック』
((社)不動産流通近代化センターほか刊)
『最新ビルマネジメントの法律実務』(ぎょうせい刊)
『これ以上やさしく書けない不動産の証券化』(PHP 研究所刊)