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  • 2013年冬号

マンションの駐車場事情と税対策

<記事内コンテンツ>
マンション敷地内駐車場問題の現状と判例
敷地内駐車場の外部貸出し時の課税対象の明確化
マンションの機械式立体駐車場事故対策

敷地内駐車場の外部貸出し時の課税対象の明確化

3 収益事業判定の考え方

管理組合が区分所有者に対して行うマンション駐車場の貸出しについては、国税庁ホームページに掲載されている質疑応答事例「団地管理組合等が行う駐車場の収益事業判定」において、収益事業に該当するどうかを判断する3つの要件が示されています。その3要件とは、①管理組合の組合員である区分所有者を対象とした共済的事業であること、②駐車料金は区分所有者がマンションの附属設備である駐車場の敷地を特別に利用することによる管理費の割増金と考えられること、③駐車場の使用料収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合において駐車場の管理に要する費用を含めた管理費または修繕積立金の一部に充当されることで、この3要件を満たすため、区分所有者に対して行うマンション駐車場の貸出しは、収益事業である駐車場には該当しないと解されます。

要件①については、ケースごとに結論が異なり、区分所有者の優先的な使用が可能かどうかが収益事業と判定されるかの重要なポイントになります。

【要件①の検討結果】
区分所有者以外の者を対象とするため、区分所有者のための共済的事業とは言い切れないため、ケース別に個別検討した結果については、このページの表を参照してください。
区分所有者を対象とした共催的事業であるか ケース2の場合、収益事業と共済的事業の両方を営んでいることになり、この場合には、両者の収入及び費用を区分経理することが必要となりますが、駐車場収入及び費用を区分経理していなかったとしても、駐車場の全収入が共済的事業とはみなされないことに注意が必要です。

次に、要件②については、いずれのケースにおいても、外部者からの駐車場使用料収入は管理費の割増金と言えず、要件を満たしませんが、要件③については、いずれのケースにおいても前提条件としているため、要件を満たしています。

4 おわりに

「マンション駐車場の収益事業の判定について」では、区分所有者以外の者を外部としていることに注意が必要です。具体的に、皆さんの管理組合の駐車場の外部貸出しに税金がかかるのかどうかの判断については、税理士等の専門家に助言を仰ぎ、個々に所轄税務署に相談することをお勧めします。

近年、空き駐車場問題が発生し、管理組合の収入不足を解消するため、空き駐車場の有効活用を検討されている管理組合の皆さんも多いものと思います。本稿が、皆さんのマンション駐車場の外部使用に関する課税関係の適切な理解の一助となりましたら、幸いです。

吉岡 順子 Profile
吉岡 順子(Yoshioka Junko)

1984 年 東北大学経済学部卒業
1993 年 公認会計士登録
2005 年 (株)MACC 設立・代表取締役就任
大手管理会社の会計監査に長年従事した経験を活かして、マンション管理組合の会計の信頼性向上に貢献するべく、会計専門家による管理組合会計の個別決算検証業務および管理会社における組合会計業務(収益事業課税対応も含む)に関するコンサルティング・サービス他を提供している。
「新版マンション管理組合財務会計の手引」(共著・監修)((財)マンション管理センター)、
「マンション居住者のための管理組合会計がまるごとわかる本」(住宅新報社)