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- 2012年夏号
●[防災編] | ① 家具類の転倒等防止対策 |
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② 家具類の転倒等防止対策の留意点 | |
③ 高層階での対策 | |
④ 地震時の行動 | |
●[節電編] | 事例1 電力費が半額になったマンション |
事例2 太陽光システム導入で売電も可能に | |
事例3 最新マンションでは「太陽光+蓄電池」 |
[節電編]マンションでできる節電を考える
昨年の東日本大震災と原発事故を受けて、計画停電、電気料金の値上げと、電力問題は切迫度を増しています。照明のLED化などによって大幅な電力費削減を実現したマンションと、大規模修繕の際に太陽光発電システムを導入したマンション、新築マンションに見る最新の節電対応設備を紹介しましょう。
[事例1]電力費が半額になったマンション
共用部の照明をLEDに変えるなどの細かい工夫で、共用部の電力費が竣工当初と比べてなんと半分以下になったマンションがあります。
川崎市にある築25年のマンションは、全5棟、総戸数が500戸を越える大規模マンションです。
竣工年の共用部経費は、電力費だけでおよそ1700万円。しかし、管理組合の積極的な活動によって、白熱灯を省エネ型蛍光灯に、エアコンを省エネ型に変更するなどして、少しずつ電力費を削る努力を行ってきました。
2008年には、駐車場の屋上と車が通るアンダーパスの照明をLEDへと変更。駐車場屋上では、それまで48Wの蛍光灯が19基、夜間の10時間ほど点灯させていたものを、15WのLEDを4基省いて15基とし、入管時のみ点灯させるシステムに変更しました。
つまり、単に蛍光灯をLEDに変更するだけでなく、不必要と思われる照明器具を省き、点灯時間にも工夫を施したのです。
「消費電力を抑え長持ちするLEDは、つけたり消したりの繰り返しにも強い。LED化と点灯時間制御を組み合わせることで、大きな効果が上がりました」と語るのは、管理組合理事長の相川洋明氏。NPOかわさきマンション管理組合ネットワークの副会長を兼任し、他マンションへのLED化のアドバイスなども積極的に行っているそうです。
その後も、管理事務所や会議室のLED化などを推し進め、昨年度の電力費はついに約800万円に。25 年前から一度も管理費を値上げしていない、というのもうなずけます。
「いまだに白熱灯を使用しているマンションもありますが、もったいない(笑)。最近はLED製品も安価になってきているし、私たちのマンションのようにはっきりとした効果が現れた例もあります。ぜひ積極的にLEDを取り入れてほしいですね」(相川氏)。
[事例2]太陽光システム導入で売電も可能に
新築マンションでは散見されるようになった太陽光パネルですが、既築マンションへの導入事例をご紹介しましょう。
築12年の板橋区の分譲マンションでは、昨年行われた大規模修繕を機に、発電量9・84kwの太陽光発電システムを設置しました。
「昨年の理事長はエコへの関心が強い方で、大規模修繕と一緒に何かできないかと、太陽光発電を提案されたんです。早速管理会社に試算してもらったところ、設備投資費の償却期間が約15年と聞き、ほぼ全員一致で可決しました」と説明してくれたのは、管理組合で会計を務める小椋安治氏。
パネルを設置する屋上の形状が平らで広く、周囲に陰になるような高い建物がないなど、好条件が揃ったマンションだったのです。
試算の詳細は、大規模修繕と同時に工事することで足場を設置する費用が抑えられること、都の補助金制度を活用することによって、修繕積立金以外の一時金の追加徴収なしで設置できること、日中の共用部電力がま賄えるうえ、余剰分を売電することで年間約34万円程度の経費削減になることなどでした。
さらに設置を後押ししたのは、昨年の計画停電だったと小椋氏は言います。「ここは計画停電がない地域でしたが、少し歩くと道の向こうは真っ暗。皆の節電意識が高まっていたうえに、マンションで電気をつくれれば何か役に立つんじゃないかという思いもありました」。
エントランスには、発電量と電力消費量、売電量までがわかる液晶カラーモニターが備えられています。取材日はあいにくの雨だったにもかかわらず、売電中を意味する緑のランプがついていました。