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  • 2013.10.01掲載

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マンションで、ペットともに生きる

株式会社住宅新報社 取材

◆ペットクラブのあるマンションの管理組合を取材

一般的なペットクラブ運営とは

ペットとともに生きる(写真はイメージです) では、実際にペットクラブの運営がどのように行われているか、見てみましょう。
訪れたのは、八王子市にある2007年竣工のとあるマンション。総戸数35戸中、犬が9世帯、猫が3世帯、ウサギが1世帯の計13世帯がペットクラブに加入しています。マンション内でペットを飼う人は全員加入することが必須条件で、役員は会長と副会長の2名です。

もともとがペット可のマンションとして建てられたため、入居時には管理会社がつくったペット飼育細則とペットクラブの会則がありましたが、当時の管理組合理事長がペットクラブの会長を務めていたため、半年ほどかけてルールの変更を行い、実際にペットクラブが本格的な活動を開始したのはその後からだったそうです。

直接顔が分かる関係に

飼育細則では、申請届け出のフローを見直しました。ペットの飼育希望者は、飼育届と誓約書にサインをして、直接ペットクラブ会長の手に渡るようにしました。そして、会長が該当住戸を訪ねて許可証をその場で玄関扉に張り付けるようにしているそうです。

「飼育するペットを確認できますし、直接顔を合わせてルールを伝えることで、ペット飼育に対する意識を高めてもらうことが目的です」と、会長の大木和彦氏は言います。 申請の手続きを管理員や管理会社を通して行わないのは、「自分たちのマンションなので、自主性をもって解決できるようにしたい」(大木氏)との思いからです。

新年会には退会者も参加

ペットクラブの活動内容としては、年1回のペットクラブ総会と、総会の前後に行うペットの飼育マナー講習等が中心です。昨年は動物愛護センターに依頼して、ペットの殺処分の現状に関するDVD上映を行ったそうです。ほかには、お世話になっている獣医さんに講演をお願いしたり、マンションの防火管理者の方と協力してペットと一緒に避難訓練に参加したりしたこともありました。ペットに関する本の紹介の回覧も行っています。

「できた当初は全員が会に参加していましたが、今は総会の参加も半分ほどになりました。でも、すでに顔見知りなので朝夕の散歩で出会えば立ち話をするし、毎年催している新年会には、退会された方も参加してくれているんですよ」と、大木氏は言います。

ペットトラブルもしっかり解決

ペットトラブルもしっかり解決(写真はイメージです) とはいえ、まったくトラブルなくここまで来たわけではありませんでした。以前、エレベーター前にペットの尿があり、クレームが出て困ったことがあったそうです。

初代会長がその都度会員宅を回って確認したり、管理員さんと掃除をしたりしたことで尿をされることはなくなり、それ以降は大きなトラブルはありません。

「初代の会長さんはとても大変だったと思いますが、ご尽力のおかげで今はとても環境がよくなりました。近年は、理事会内にペットクラブ担当の役職を設けていただいており、会長としての苦労や問題は特に感じていません」と大木氏。コミュニティ支援を手掛けるディーワークの中川氏が「クラブ活動で大事なのは、キーパーソンがいるかどうか」だとおっしゃっていたのを思い出しました。

自主性を持った活動を

最後に、ペットクラブの活動を円滑に進めるためのアドバイスを大木氏に伺いました。
「私自身はペットがいることで心が豊かになり、生活に張りが出て充実した暮らしが送れると思っています。しかし、共同住宅である限りマナーを守って生活することが大事です。その点で、ペットクラブとしては自主性をもって活動すること、ペットを飼育していない方からは直接クラブへご意見を言っていただくような環境づくりが大事なのではないでしょうか」。

共同住宅に暮らす以上、ペットとともに生きる環境を自分たちで自主的に守る。ペットクラブのこの姿勢がペットを飼っていない人にも理解され、双方にとって良好なコミュニティがつくられていくのだと、実感しました。

ペットクラブの現実の中で

マンション内にあるペット用の足洗い場 ここまでペットクラブのあり方について考えてきましたが、ディーワークの中川氏がおっしゃる「トラブル解決をペットクラブの“ノルマ”にしない」という考えと、一般的なペットクラブの運営との間には、まだまだ乖離があるように思われます。

現に、このペットクラブでも会の目的の一つに「トラブルが発生した場合は誠意をもってトラブルの解決を図ること」とあります。ペットを飼っていない人からすれば、やはりペットクラブは“ペットトラブル処理係”のように思えてしまうのも、現状では致し方ないことなのかもしれません。

しかし、マンションでのトラブルは何もペットだけに限りません。むしろ、それ以外のトラブルの方が数としては多いくらいで、ペットを飼っていないからといって“常に被害者”ではないのです。

ペット飼育者がマナーを守るのは当然のことですが、ペットを飼わないマンション居住者も、コミュニティを促進するペットの能力を認めともに生きることで、より良いマンションライフを送ることができるのかもしれません。