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  • 2015.10.01掲載

管理組合の運営 どうしたら関心を持ってもらえるの?

横浜市立大学国際総合科学部教授 齊藤広子

■マンション居住者のつぶやき

・管理組合の運営を一部の人だけで行っている。参加しない人に退去命令を出せないのかな…。

・輪番制の理事を引き受けない住戸がある。一度も引き受けないで、義務を果たさず権利ばかりを
 主張する。そんな人に限り、総会で反対票を出してくる。票を取り上げる方法はないのか?

・自分の部屋以外に全く関心がなく、主張だけをする人がいる。管理規約を全く理解していない
 し、勉強をしようともしない。

・管理組合への認識がなさすぎる。みんなで責任を持って運営すべきなのに…。

・年に1回の総会に、毎年出席する人が決まっており、関心の低い人が多くなっている。もっと関
 心を高める方法はないのか?

・賃貸で入居した人が生活ルールを守ってくれない。どうしたら、ルールを理解してもらえるの
 か? マンションが古くなってきて借りて住む人が増えてきている。困ったもんだ…。

・うちのマンションのイベントは総会のみで、もっと住民同士のコミュニケーションを取りたい
 な…。いざという時に心配だから。

■管理組合運営への無関心

これは実際のマンション居住者の声です。いろんな意見がありますね。ちょっと過激な発言もありますが、それだけ皆様が管理組合の運営に悩んでおられるということですね。

「今年の総会の出席率が低かったな」と反省している理事もおられるのではないでしょうか。私が最近出席した管理組合の総会はまさに形式的な進行で、「ここにいる人は審議している内容を本当に理解してくれているのかな?」と心配になりました。説明する理事さんは、もちろんマンション管理の専門家ではないのですから、理事以外の人はもっとわかっていないことも多いと思います。ですから、理解してもらうためのわかりやすい説明ができないものかと感じました。

「わからない」ということが、「関心がない」「不安である。だから不満となり、何でも反対する」ことにつながることが多くあります。一方、「わかる」ことで、「関心を持つ」「前向きな意見を言う」「行動を起こす」ことにもつながりやすいのです。

平成25年度のマンション総合調査でも、「区分所有者の高齢化」に続き、「管理組合活動に無関心な区分所有者の増加」が問題となっています。何とか、無関心な区分所有者を減らしていきましょう。


管理組合運営における将来への不安(重複回答) (その1)               (左:回答数、右:%)

  全体
合計 2,324 /
区分所有者の高齢化 1,325 57.0
賃貸住戸の増加 497 21.4
居住目的外利用住戸の増加 75 3.2
管理費等の未払いの増加 367 15.8
修繕積立金の不足 664 28.6
理事の選任が困難 740 31.8
管理組合活動に無関心な区分所有者の増加 808 34.8
大規模修繕工事の実施 593 25.5
建替え 249 10.7
大規模地震による建物の損壊 480 20.7
居住ルールを守らない居住者の増加 497 21.4
マンション内の犯罪の増加 57 2.5
その他 91 3.9
特に不安はない 260 11.2
不明 116 5.0

平成25年度マンション総合調査(http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/manseidata.htm)より。 こちらを見ると、総合調査の結果をすべて見ることができます。総合調査は国土交通省が概ね5年に一度実施しています。