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マンションの顔を一新! エントランスラウンジを誰もが使いやすい場に

前回ご紹介したブラウシアの管理組合理事会。マンションの資産価値を上げるための様々な取り組みの中で、お金をかけずに用途を刷新して使いやすくなったエントランスラウンジの“技あり活用法”をご紹介します。

その他

クレーム対象だったエントランスラウンジ

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エントランスの自動ドアの向こう。中庭を望む広々としたスペースに、ソファセットが置かれています。大規模マンションのエントランスラウンジは、まさにそのマンションの顔ともいえる存在。居住者が帰宅した時にほっと落ち着ける空間であるとともに、来客時にはちょっとした応接場にもなる、便利な場所です。

しかし、最も多くの人に目に留まる共用スペースであるにもかかわらず、その使い方に明確なルールがないマンションがほとんどです。そのため、結局誰もが素通りしてしまったり、子どもの遊び場になっていたりと、豪華な応接セットがもったいない状況になっているマンションはかなりあります。

千葉市中央区にある大規模マンション「ブラウシア」のラウンジ「ブラウシアサロン」も、まさにそんな使われ方をされていたうちのひとつでした。白いソファセットが2組置かれたサロンは、いつの間にか子どものゲームスペースになり、「子どもが駆け回っていて声がうるさい」「飲食をしている人がいる」「落ち着いて座れない」などの声が住人から上がっていました。

とはいえ、老若男女様々な人が住んでいるのがマンションです。母親の立場に立ってみれば、子どもが安全に遊ぶ場所がなかなか見つからない昨今、マンションのセキュリティ内で遊べる場所は貴重ですし、静かに本を読みたいと思っている人にとっては子どもの声が気になって落ち着いて過ごせないというのもよくわかります。

理事会でも毎年必ず議題に上がっていたというサロンの問題。多様なニーズに応えることのできる解決策が見つからないまま、目に余る行動があった場合には注意をする、といった対策をとるのが精一杯でした。様々な価値観を持つ人たちが利用する場所だけに、あまり細かくルールを設けてしまうと、かえって問題が大きくなると判断したのです。

時間帯でコンセプトを変え、カフェ風に家具を一新

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そんな時、10期目の理事会で、サロンのソファが汚れてきたので新品に交換しようという話が出て、その内容を検討することになりました。理事から、「せっかくお金をかけるのなら、サロンの使い方そのものを変えるような家具を購入してはどうか」との提案がありました。議論の結果、最終的には以下のように話がまとまりました。

・サロンにコンセプトを持たせ、それに合う家具を設置する

・子どもも大人も楽しめる場所に

・本や新聞を読めるようにしたい

・本格的なコーヒーが飲めるゆとりのスペースにしたい

また、時間帯によってサロンのコンセプトを変えてはどうかという意見が出ました。例えば、朝は子どもたちを送り出したお母さんたちが集うスペースに、昼から午後は下校してきた子どもたちの遊び場に、夜は大人のための落ち着いた場所に、といった按配です。そこで早速、その担当理事に色々と調べてもらい、元々の予算60万円の範囲内で何ができるかを検討してもらいました。

まずは、多様な使い方ができる家具の配置です。それまでは大きなソファセット2組が置いてありましたが、そこに一人ずつ座ってしまっただけでもほかの人は何となく使いにくくなるなど、使い勝手が良くありませんでした。そこで、中庭に面した窓に向けて机と椅子のセットを2つ置き、丸テーブルと椅子のセットを2組、小さ目のソファセットを1組ランダムに置く案を提案。目線が交じり合わず、かつより多くの居場所を確保しています。まるでカフェのような空間に、家具を変えただけでこんなに雰囲気が変わるものかと皆驚きました。

本と新聞、コーヒーも飲めるくつろぎの空間に!

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本棚には、マンション管理士の浅野さん(仮名)に提供してもらった本を10冊程度置き、その後月1冊ずつ更新することにしました。理事が一読してお勧めのコメントを添えておくなど、手に取ってもらえるような工夫も忘れません。また、新聞は配達員に頼んで1部をサービスとして毎日置いて行ってもらうようにしました。今では、5紙が常時置いてあるといいます。

また、希望のひとつだったコーヒーですが、コーヒーを定期購入することでコーヒーマシンを無料でレンタルできるというメーカーのシステムを見つけて申し込みました。コーヒーの実費はかかりますが、購入者から1杯80~150円程度のお金を払ってもらうことで、管理組合からの持ち出しは一切ありません。

居住者にとっても、本格的なドリップコーヒーが1杯80円からという金額で楽しめると好評です。その名も「ブラウシアカフェ」。サロンで飲食が可能になるよう、規約変更も行いました。サロンのリニューアルは2014年11月から始まり、新聞と本、コーヒーを置くようになった翌年の1月ごろから、サロンに寄る居住者が増えました。夕方以降の時間帯にやってくる居住者も多く、夫婦で新聞や本を読む、シニア世代の人がコーヒーを飲みながらのんびりしている、来客を招いて椅子やソファで談笑している、といったこれまでとは異なる利用の仕方をする人が増えました。「中でも想定外だったのは、参考書を持ってきて受験勉強をしている学生さんがいたことです」と理事長の加藤さん(仮名)は言います。利用者からも「これまでは遠慮していたけど、居場所が増えて使いやすくなった」、「おいしいコーヒーが安く飲めるのでいい」と好評を博しています。

概要(取材年月:2016年01月)
  • 建物名:ブラウシア
  • 所在地:千葉県千葉市
  • 階数 :20階建て3棟
  • 総戸数:438戸
  • 竣工年:2005(平成17)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:(株)レーベンコミュニティ
  • 総会開催:毎年10月
  • 役員数 :20名(監事1名を含む)
  • 役員任期:2年(半数改選、立候補制度、留任制度あり)