「いい音楽を子ども達に」。エントランスホールでコンサートを定期開催
11月中旬、茨城県つくば市のレクセルつくばマスターハウスのエントランスにギターの音色が響き、心地よいメロディーが聴こえてきました。
今日はクラシカルギターの第一人者・宮下祥子さんの演奏活動20周年記念リサイタル。
会場には居住者だけでなく、遠方からこのリサイタルを聴きにきた人も含め20人近くが集まりました。同マンションでは３年前の2012（平成24）年12月から、エントランスホールを使ったミニコンサートを開始しました。「子ども達の情操教育という意味からもいい音楽を届けたい」。管理組合理事の思いからスタートしたコンサートを機に、今後は居住者とのコミュニティ活動を広げていきたいと考えています。
コミュニティ活動のきっかけに
レクセルつくばマスターハウスは33世帯、子育て世代が大半の世帯を占める小規模マンションです。竣工・入居開始して以来、とくにコミュニティ活動らしいものはしてきませんでしたが、2012（平成24）年５月の総会時に、翌年度の行事計画に管理会社からの提案で「来年度はコミュニティ活動の積極的推進」が示されたことから、今回のコンサートの開催を思い付いたといいます。
当年度の管理組合理事長が、マンションに入居して以来自宅で開いていたポットラック（持ち寄り）パーティーで、ジャズやアルパ、ギターの演奏会を定期的に実施していました。「これをコミュニティ活動の一環としてやってみては？」と同理事長が翌年度の理事会メンバーに話をしたところ、快諾を得られたとのこと。その年の12月、まずは有志によるクリスマスコンサートを開催しました。当日は、居住者によるギター演奏や子ども向け紙芝居など、盛りだくさんなメニューとなり大盛況に終わりました。
半数以上が「参加したい」と回答
クリスマスコンサートの際、理事会では開催に関する居住者アンケートを配布、居住者の意識調査をすることにしました。アンケートでは参加の意思と理由、人数、開催希望時間帯と長さなどを聞きました。半数以上の居住者から「参加したい」「マンションの住人同士仲良くなれる機会だと思います」「子どもがうるさくしそうで、あまり長時間は参加できないかもしれませんが楽しみにしています」との回答を得るとともに、「子ども向けに紙芝居も私でよければできます」「演奏以外でお茶などの用意をされる場合はお手伝いさせていただきます」など、意欲的な声も多く出たといいます。一方、アンケートの中には「準備にかかる費用などはどうするのか？」という金銭面に関する質問もありました。
同マンションの管理規約には、コミュニティ活動に関する条項がありません。エントランスで居住者の子ども達の会を行っていますが、とくに使用細則等は整えていないといいます。コンサートについては2013（平成25）年の総会時に、理事の了承が得られれば開催できることを承認。また質問が出ていた経費については、居住者以外の来場者からもらうチケット代を充てることにしました。そして同年９月、管理組合が主催する初めてのコンサートを開催するに至りました。コンサート開催に動いた元理事は、「自分は定年になるまで参加していた会社の軽音楽部の活動が大好きだったこともあって、子ども達にはいい音楽に触れてほしいと思っています」と話します。相談を受けた2013年度の理事長も音楽に造詣が深かったことから、積極的に開催を支援しました。今はまだ一部の居住者による主導でのイベント開催ですが、ゆくゆくは多彩なイベントを開催していければと考えおり、「これから自然発生的に生まれてくることを待っています」と元理事は話してくれました。
少しずつ広がる活動の輪
入居開始から６年余り経ち、コミュニティ活動のきっかけとなる動きも出始めています。竣工当初マンション入り口には何も装飾がなく、エントランスにはソファとガラステーブルが一つ。居住者からの寄贈で椅子やテーブルを増やし入り口に花を生けるようになると、手芸や小物を作るのが好きな居住者が季節の飾りを手作りして置くようになりました。エントランスが華やかになると、自然と居住者同士の会話もはずむように。
本格的なコミュニティ活動はこれからですが、理事会では「子ども達にはここでのイベントがふるさとの思い出になってほしい」とし、来年以降は弦楽四重奏などの演奏会や子ども達が参加できるようなイベントの構想もあるとのこと。管理規約についても、活動の増加に応じ順次整えていくつもりです。
- 建物名：レクセルつくばマスターハウス
- 所在地：茨城県つくば市
- 階数 ：５階建て・１棟
- 総戸数：33戸
- 竣工年：2009（平成21）年
- 管理形態：委託管理
- 管理会社：（株）大京アステージ
- 総会開催：毎年５月
- 役員数 ：理事５人
- 役員任期：２年
