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自衛団発足し“みんなで守る・支えあう”コミュニティ目指す

築32年が経過した埼玉県越谷市の「越谷ファミリータウン」では、自治会が中心となり子どもから高齢者まで幅広い年齢層が交流しながら一体感のあるコミュニティ作りを目指しています。前回はそんな自治会の活動を紹介しました。今回は居住者の安心・安全を守るために発足した自衛団について紹介します。

その他

阪神淡路大震災後に発足

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越谷ファミリータウンでは1995(平成7)年に起きた阪神淡路大震災をきっかけに、「自分達のマンションでも万が一のときに備える必要があるのでは?」という話が出たといいます。そこで当時の管理組合自治会で1年間協議し、1996(平成8)年6月に自主防災組織として「自衛団」を発足しました。組織は管理組合理事と自治会役員、各棟から3~5人の参加で構成し、任期は2年。活動内容は、毎年秋に実施している防災訓練の実施と南越谷地区総合防災訓練(毎春実施)への参加、夏・冬休み期間の敷地内での夜間パトロールなどです。

最大の目的は災害時の居住者安否確認です。これは阪神淡路大震災直後に現地で行っていた住民同士の安否確認作業を参考に、広範囲ではなく小回りが利く「向こう三軒両隣」をイメージし、各階4~8戸を1ブロック単位とし、最低1人の自衛団員を配置しました。年2回の防災訓練の際に、この安否確認方式に基づいた安否確認訓練も実施しています。訓練では自衛団員が中心となり各フロアの安否確認を行った後、棟単位で確認人数を集計。安否確認中に発見したけが人の搬送や応急処置なども模擬体験を行うようにしています。

写真:AED取扱訓練

平日昼間は役員が不在! 指示系統の見直しで臨機応変に

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自衛団では、ブロック構成の見直しなど細かな調整を加えながら発足当時の基本活動マニュアルに沿って活動を行っていましたが、2011(平成23)年3月の東日本大震災のときに問題が発生しました。平日午後というタイミングだったため、居住者の在宅率が低かった上に自衛団本部役員も勤務中で不在者が多く、また通信規制が入り団員同士の連絡が取りにくい状況となってしまったのです。幸い混乱もなく被害もほとんどありませんでしたが、「訓練と実際の災害時では想定外のことがあることを痛感しました」(自治会長)。その後対策を協議し、震災発生時に災害対策本部長が不在の場合は在宅している本部役員が協議し、迅速に自衛団員に指示を出す体制に活動マニュアルを改訂しました。

また自衛団では、個人情報保護の観点から管理組合・管理会社で管理している居住者情報を利用することができません。そのため自治会では年2回の自治会費徴収の際に入居・退去と家族構成などをヒアリングし、自衛団員が把握している要援護者や居住者人数などの情報も盛り込んだ形で任意の“住民台帳”を作成しています。

写真:応急処置訓練

より身近なご近所づきあい目指した「隣人会」

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活発なコミュニティ活動が行われている越谷ファミリータウンですが、築年数が古いこともあり他マンションと同様に居住者の高齢化は避けて通れない問題です。高齢者の孤独死が社会的問題として指摘され始めた7年ほど前の2008(平成20)年、D棟の居住者有志が「ご近所同士の助け合い」を掲げ、「隣人会」を発足。同マンションに転入した居住者の1人が「遠くの親戚より近くの他人」という発想で、隣近所の居住者との交流会の場を設けたことがきっかけでした。月1回集まりランチやおやつを食べながら会話を楽しんだり、ときには近隣に出かけるなど身近な交流会として活動していました。

一方、管理組合や自治会では東日本大震災後、「孤独死の防止や高齢者の日常的な安否確認をどうしていくか」を考え、民生委員や自衛団も交えた協議を重ねていました。自衛団とは別に「見守り隊を作る」などの話も出ましたが個人負担が多くなるため、「もっと気楽で参加するのが楽しいような形はないか」と検討していたときにこのD棟隣人会が話題となり、すぐに各棟で発足することが決定。2012(平成24)年3月にC・B棟で、同年6月にA棟で隣人会がスタートし、現在では月1回ベースで開催される茶話会や料理教室、工場見学などに、毎回20~40人が参加しています。参加費も1回100~200円ほどで、自治会からも2万円の補助費用を支給しています。今年で3年目を迎え、参加者からは「この会に参加してご近所さんの顔が分かるようになった」「一人住まいでなかなか外出しなかったが、お茶を飲みながら、食事しながら話をするのが楽しい」などの感想が聞かれるようになったといいます。まだまだ参加者が少ないのが課題ですが、「趣旨を理解してもらえれば徐々に参加者も増えるのでは」と期待しています。

写真:隣人会(サンドイッチづくり)

概要(取材年月:2015年07月)
  • 建物名:越谷ファミリータウン
  • 所在地:埼玉県越谷市
  • 階数 :地上5~8階建て・4棟
  • 総戸数:692戸
  • 竣工年:1982(昭和57)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:三井不動産レジデンシャルサービス(株)
  • 総会開催:毎年6月
  • 役員数 :理事23人、監事2人
  • 役員任期:2年(1年ごとに半数改選)