子育て広場「そらまめ」の誕生で、団地が元気に!
横浜市旭区にある「若葉台団地」は、1978(昭和53)年より順次竣工された大規模団地。東京ドーム約19個分もの広さの敷地の中に、全72棟の賃貸・分譲マンションをはじめショッピングセンター、各種教育施設が整備され、約15,000人もの人々が暮らしています。数年前から団地居住者の少子高齢化と人口減少が問題となっていたのですが、この問題に歯止めをかけるべく、神奈川県住宅供給公社と地域が一丸となって立ち上げたのが、「子育て事業推進プロジェクト」でした。
親と子が安心して過ごせる場所を提供
若葉台団地内・ショッピングタウンわかばの中心地に、ガラス張りのかわいらしい施設があります。中をのぞくと、おもちゃで遊ぶ子どもたち、談笑するお母さんたちの姿が見えます。
ここは「わかば親と子のひろば そらまめ」。若葉台団地と近隣に住む、主に0~3歳までの未就学児とその親が気軽に集まって、自由に過ごすことのできる場所です。育児相談をはじめ保健師や栄養士を招いての講習会なども定期的に行っていて、あらゆる面から子育てをサポートする体制が整えられています。
施設内にはおもちゃと絵本が用意された遊びスペースや、ベビーベッド、授乳コーナーなどがあり、利用料金は1日100円。利用時間は月~土曜の10~15時で、昼食やおやつを持参すればここで食べることもできます。
「ここにくれば同じ年頃の子を持つお母さんたちといろいろ情報交換できるし、子どももお友だちと遊べる。親子でいい気分転換ができるので助かります」と利用者からも好評です。
子育て事業で、人口減少をストップしたい!
ここ数年、若葉台団地では少子高齢化に伴う人口減少問題を抱えていました。そこで神奈川県住宅供給公社(以下公社)はこの問題を解決すべく、団地再生プロジェクトを立ち上げます。プロジェクトの一つとして打ち出したのが、「団地内への若年・子育て世代の流入」を目指す子育て事業の推進でした。
まず、子育ての場を作るため、公社は団地内で多世代の居場所づくりを推進する団体「NPO法人若葉台」などの地域団体と連携し、横浜市の「親と子のつどいの広場事業」(※)へ応募。団地内ショッピングセンターの空き店舗を子育て施設として活用するという案で、「NPO法人若葉台」が代表で市にプレゼンテーションをしたところ、採用されました。
そらまめの運営主体は「NPO法人若葉台」となっていますが、ほかにも地域の連合自治会などの各種団体が支援しています。なかでもスタッフの派遣などで運営を全面的に支援することになったのは、10年間にわたって団地内で子育てサロンを開催してきた「若葉台子育てささえあい連絡会」(以下連絡会)です。
そらまめに常駐するスタッフは、主に連絡会のメンバーで構成。若葉台での子育て、保育や教師などの経験者を集め、育児に不慣れな若いお母さんたちをバックアップできるようにしました。「そらまめ」は、このように地域全体の支援を受けて誕生したのです。
※横浜市が子育ての場を運営する団体に対し経費補助を行う事業
子どもたちのおかげで、団地内に活気が戻った!
「そらまめ」のタイムスケジュールは、おあそびタイム、おかたづけ、ランチタイムなど、おおまかに分けられています。基本的に利用時間内であれば出入りも過ごし方も自由なので、規則正しい時間に昼食をとるためランチタイムにやってくる親子、買い物ついでに週に2~3回遊びに来る親子など、それぞれが目的にあわせて上手に活用しているそうです。
おあそびタイムは、スタッフによる絵本の読み聞かせや、おもちゃを使ったレクリエーションなども行っていますが、ときには団地に住むお年寄りも立ち寄って、子どもたちと一緒に遊んでいくこともあるといいます。
「そらまめ」のスタッフは「そらまめができてから、団地内に活気が戻ってきました。団地内のお年寄りも、ここに集まる子どもたちから元気をもらっているようです」と語ります。
こうして親子だけでなく、団地に住む人たちも楽しく過ごせる場所として定着した「そらまめ」。2014年5月の開所からこれまでに150組以上もの登録、のべ3,800名の利用があったそうです。
さらなる子育て環境の充実を目指して
「そらまめ」からは、新たな子育てネットワークも広がっています。利用者有志でつくる「若葉台子育て母の会」では、忙しいお母さんでも気楽に参加できる意見交換の場を設けています。団地内のスーパーにかけあって赤ちゃん用品の取り扱いを増やしてもらったり、地域の交流の場としてフリーマーケットを開催するなど、独自の活動を展開中です。
また、少子化の影響により一時活動を休止していた団地内の自主保育グループも、そらまめの開所がきっかけで数年ぶりに復活。連絡会が運営を支援しています。
このように「そらまめ」を中心とした若葉台団地の子育てへの取組みは、口コミで近隣地域に広まりました。実際に若葉台団地で育ち、他の地域に越していったものの「安心して子育てできる環境だから」と戻ってくる若い家族も増えているそうです。また、「二人目三人目を産んでいるお母さんたちも多く、身近に子育てのアドバイスをもらえることもあって、次の子を産んで育てる自信がもてた」と二人目三人目を出産する人も増えたといいます。プロジェクトの狙い通り、今、団地内には子育てをきっかけに、着々と若い世代が根付き始めています。
今後、「そらまめ」では一時預かりなどのシステム導入も考えているそうで、若葉台団地のさらなる子育て環境の整備に、多くの人々の期待が寄せられています。
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次回は若葉台団地あげて開催する、夏まつりの様子を紹介します。
乞うご期待!
To Be Continued.
- 建物名:若葉台団地
- 所在地:神奈川県横浜市
- 階数 :13階など
- 総戸数:7棟 792戸(賃貸)、65棟 約5,200戸(分譲)
- 竣工年:1978(昭和53)年
- 管理形態:委託管理
- 管理会社:若葉台まちづくりセンター
- 総会開催:5~6月ほか
- 役員数 :-
- 役員任期:-