水辺を活かして、コミュニティの活性化と防災を。マンションと地域協働のイベントを開催
もし大きな災害が発生し、橋や道路が崩落してしまったら、水に囲まれた中央区勝どき地域一帯は、孤立してしまう可能性があります。ふだんから住民たち一人ひとりが災害にどう対処すべきか学んでおかないと、いざという時に自分の身を守ることができません。
そこで、中央区勝どきのタワーマンション「The Tokyo Towers」自治会長と「水の都中央区をつくる会」の会長が協力して「ウォーターフロントコミュニティフェスティバルin TTT」を立ち上げました。地域住人が防災意識を高め、お互いが交流できるイベントを開催できないものかと考えたためです。
水辺のにぎわいと、防災への意識が生まれたフェスティバル
2014(平成26)年11月15日、中央区勝どきのタワーマンション「The Tokyo Towers」(地上58階建て、2棟、2794戸)の公開空地を中心に「ウォーターフロントコミュニティフェスティバルin TTT」が開催されました。会場は同マンションだけでなく、護岸のテラスでつながる地域の防災拠点・豊海運動公園や朝潮運河周辺一帯に及び、会場各地では水辺を活用した防災訓練や、地域住人同士が交流を図れるような楽しいイベントが多数行われ、にぎわいを見せていました。
今回、このフェスティバルでは、朝潮運河に大型桟橋を仮接岸して、プレジャーボートや屋形船、ドラゴンボートを使った無料クルージング体験が行われました。これは避難訓練を兼ねたもので、水辺に親しみながら非常時の行動シミュレーションをすることを目的にしています。災害発生時に、避難や救助、物資の搬送に船を使える状態にしておくことは、防災を考えるうえでもとても重要です。
ドラゴンボート体験は、生活空間のなかにある水辺を身近に感じられることもあり、もっとも参加人数が多かった人気企画です。多くの親子連れが救命胴衣の使い方を習い、オールを漕いで水辺を楽しむ様子が見られました。
ほかに、避難場所として機能する同マンション3階の公開空地エリアでも、様々な関連イベントが行われました。メインステージでは自治会が企画した「湾岸LIVE」が開催され、チャリティカフェが設けられました。カフェ内では、マンションの住民向けに表札やソーラーランタン等の販売を実施。そのほかにも、消防艇「みやこどり」の乗船見学や、起震車・地震ザブトンといった地震の揺れを体験できるコーナーなど、住民に防災意識を高めてもらうための企画が盛りだくさんでした。また、ドッグランやペットのしつけ教室など、住民同士のコミュニティづくり後押しするコーナーも設けられ、こちらも好評を博していました。
イベントには一人でも多くの近隣住民に参加してもらいたいという思いから、チラシは新聞折り込みだけでなく、小学校・幼稚園をはじめとした近隣施設に配布。5時間の開催ながらも、総来場者数は延べ2,800名となり、イベントは大盛況のうちに終了しました。ちなみに今回のイベントにかかった費用は、多くの企業等の協力を得ることができたこと、コストダウンに尽力したことで、共催団体の負担を最小限に抑えることができたそうです。
ウォーターフロント地域マンションの課題
「近隣の方にも、このマンションの公開空地エリアは、高潮にも耐えうる安全な場所だと知ってほしかったんです。マンション住民と、もともと地元にお住まいだった町内会の方との融和というのは、とても難しい問題です。その垣根をできるだけ低くして交流したいという想いを伝えたところ、中央区や関係各社のサポートもスムーズにいただくことができました」とイベント代表者は言います。
このイベントの共催団体「水の都中央区をつくる会」は、昨年も晴海トリトンでイベントを行いましたが、普段その場所で生活する人ではなく、外部からの来訪者が立ち寄ってくれるケースが多かったのだそうです。今年は中央区内のコミュニティに根ざしたイベントにしたいと考えた当会代表は、災害時に孤立してしまうウォーターフロント地域の集合避難場所として、同マンションと豊海運動公園に協力を要請したのでした。
中央区のウォーターフロントにおいて、水と親しめる環境作りを進めること、そして、災害に備えた訓練と住民同士のコミュニティ作りは早急に取り組んでいかなければならない課題のひとつでした。今回のイベント開催は、住民の防災意識を高め、住民同士の交流を深め、いざというときに助けあえる関係を築くためのよいきっかけになったといえるでしょう。(TALO都市企画/岡島 梓)
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