広大な敷地に建つマンションの「コミュニティクラブ」

神奈川県横須賀市にある「ザ・パークハウス 追浜」は、約55,000㎡もの広大な敷地に５棟の建物が建つ総戸数709戸の大規模マンションです。2012（平成24）年９月にA・B棟の２棟が完成し、残りの３棟は2014（平成26）年に順次竣工。２年前の入居開始から段階的に新しい居住者を受け入れています。

クッキングスタジオや和室等のカルチャールーム、体育館のようなスポーツアリーナ、キッズルーム、屋外にはバーベキュープラザや菜園など20以上もの豊富な共用施設を備え、敷地内にいくつもの公園を持つこのファミリータイプのマンションでは、コミュニティ支援のプログラムを分譲時からあらかじめ組み込み、契約者に周知を行っていました。

当マンションのコミュニティクラブの組織図は図のとおりです。

管理組合の下部組織としてコミュニティクラブ運営会議を設置。コミュニティクラブには全世帯加入が原則で、１戸あたり月額500円のクラブ会費で運営されます。引き渡し当初のクラブの実質的な運営は、コミュニティ支援に精通した外部コンサルタントがコミュニティクラブ事務局として主導をし、２年の契約期間のうちに徐々に居住者に引き継ぎます。

コミュニティクラブの運営委員は管理組合理事なども含めて9名。そのほかに、活動を手伝うサポートメンバーを随時募集しています。活動内容は、イベント等の企画・運営、オフィシャルグループであるライブラリーグループとフィールドワークグループの運営、登録サークルの募集や活動の承認、掲示板や会報誌を通しての居住者への告知など様々です。これらの業務をコミュニティクラブ事務局の力を借りながら進めます。

第三者が間に入ることで、声を上げやすい環境に

クラブの活動は入居前の契約時から始まっていました。契約者にアンケートを実施してやりたいことやれることを書いてもらい、事務局がそれを集計してイベントや交流会などの内容を決めます。そして、まずは入居前の契約者交流会を開催しました。竣工後の一斉入居時は、真っ先に子育て交流会を実施。普段からマンション内で顔を合わせやすいママたちが顔見知りになったところで、まちびらきパーティーを行いました。

交流会で「今度はこういうことをやりたい」という声が上がることもあります。例えば、「子育て交流会」ではクラフト系の資格保有者が参加していたため、サークルとして立ち上げることにしたり、「大人の茶話会」で「ヨガをやりたい」という要望が多数あったことから外部の講師を招いてヨガサークルが立ち上がったりしました。事務局という第三者が間に入ることで、声を上げやすい環境がつくられているといえます。

さらに特徴的なのは、このクラブではパブリックとパーソナルを分けて考えていることです。パブリックは運営会議主催のイベントや交流会のほか、前述した２つのオフィシャルグループの活動があります。一方、パーソナルはサークル活動などがこれにあたります。両者の大きな違いは、活動費です。運営費から活動費を捻出できるのが前者で、後者のサークルはあくまでも私的な仲間なので、活動費は参加者全員で負担します。

ちなみに、コミュニティ支援の外部コンサルタントとのコミュニティ支援イベントの契約は２年。現在は同コンサルタントの事務員がコミュニティ事務局に週4回来て、支援を続けています。その中でも、入居者間の自主的なつながりが生まれ、現在活発に活動しているサークルは「大人の茶話会」「ヨガ」「カラオケ」「リトミック」「親子英語」「手芸」「書道」「スクラップブッキング」の8つ。豊富な共用施設を拠点とするため、運営会議がサークル運営の相談も行っています。

今後の課題としては、月１回発行の「コミュニティクラブ通信」を事務局が発行していたため、これを引き継ぐ新たな担当者を探すこと、それからオフィシャルグループの活動をより活発にしていくことだそうです。

現在も数戸を販売中であるため、これからも新しい入居者が増えていく予定のザ・パークハウス追浜。入居開始から２年で早くもコミュニティが活発であることが口コミで広がり、入居者の紹介によって別のマンションなどから引っ越してくる人も多いとか。コミュニティがマンションの評価を上げる好例です。