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「ソフィアステイシア」自主防災会の総合防災訓練

東日本大震災以降、注目され続けているマンション防災の取り組み。大規模マンションでは、マンション独自の自主防災会を結成し防災訓練を毎年行っているところがあります。
「ソフィアステイシア」もそんなマンションの一つですが、2014(平成26)年度の内閣府「地区防災計画制度モデル地区」に採択されるなど、常に高水準の防災訓練を実施して各所から注目を集めています。

防災・防火

最強の自主防災会が行う防災訓練とは

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「訓練、ただ今、震度6強の地震が発生中。ソフィアステイシア居住者は、居宅内で身の安全を図ってください」スピーカーから大音量のアナウンスが聞こえてきます。

ここは横須賀市の「よこすか海辺ニュータウン」。総戸数309戸の大規模マンション「ソフィアステイシア」で、年に一度の総合防災訓練が行われました。内閣府の「地区防災計画制度モデル地区」に選定された自主防災会が主宰する大規模な防災訓練だけあって、複数の来賓やメディアが視察や取材に訪れています。

まずは、避難指示放送を聞いて班ごとの指定避難場所に集合する一斉避難訓練を行います。11班に分けられた避難誘導班には、それぞれ1名の班長と2名のサブリーダーが配置されており、万一班長が不在の場合でも誰かがリーダーを代行できるようになっています。

各棟・各フロアのエレベーターホールに掲げられたプレートの指示通りに避難場所に移動し、全員が集合したところで点呼。班長が無線機で災害対策本部に避難者の人数と負傷者の有無、出火の有無を報告して一斉避難訓練は終了しました。

火災が発生した場合は、その出火場所と風向きによって避難場所が決められています。

東京湾が目前に迫る「ソフィアステイシア」では津波の被害も心配です。今回の防災訓練では、南海トラフ巨大地震の発生を想定して訓練要領を組み立てたため、居住者は6階以上の共用通路に避難しました。災害対策本部は、発災直後には居住者の避難行動が一望できる自走式駐車場の屋上に開設し、津波警報発令後は13階にある共用施設に本部機能を移転しました。

次は、マンション火災が発生し13階に居住者が取り残されたとの想定で、ハシゴ車救助訓練です。消防用活動空地に指定された道路にハシゴ車が停車中は片側通行となるため、防災服を着用した役員が通行車両を誘導します。訓練参加者は、隣接する公園から救助の様子を見学します。

その後、マンション内の集会室と芝生広場に移動し4つのグループに分かれて、副木と三角巾を使った応急救護訓練、AEDによる心肺蘇生訓練、災害用トイレ組み立て訓練、防災機材取り扱い訓練などを行いました。応急救護訓練は看護師の資格を持つ役員が、防災機材取り扱い訓練は防災士の資格を持つ役員がそれぞれ指導しました。

所轄の消防レスキュー隊員による転倒家具の下敷きになった負傷者救助のデモンストレーションや、防災会備品のチェーンソーを使った閉じ込め事故救出訓練、マンション内に配備されている粉末消火器を使った初期消火訓練など、多彩な訓練が繰り広げられました。

スムーズな運営と有意義な「反省会」

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横須賀市副市長、消防局長、市民安全部長、消防署長からの訓練講評を受けた後は、炊出し訓練・給食訓練の開始です。

炊出し訓練では、長寿会の婦人部員16名が前日に自宅で下ごしらえした食材を炊出し時間に合わせて持ち寄り手際よく調理が進みます。給食訓練では、班ごとに行列して配給を受けます。

当日の総合防災訓練では、自主防災会役員約40名のほかに居住者約300人が参加しましたが、すべての工程を取材して感じたのは、役員の方々の手際の良さでした。

朝8時の事前準備から午後1時の訓練終了まで、広い敷地をフルに使って大勢の住民を混乱なく誘導するには、経験に裏付けられたノウハウの積み重ねがありそうです。

ソフィアステイシア自主防災会では、毎年12月に大規模な総合防災訓練を行っていますが、その準備には4ヶ月を費やしているそうです。地元の消防署や市役所の防災部局の協力を得た防災訓練ですが、居住者が和気あいあいとした雰囲気の中で訓練に参加できるのは、日ごろからマンションのコミュニティが活発であることの証でしょう。

また、ジュニアレスキュー隊(中学生・高校生による災害時生活援助隊)の若者から長寿会の高齢者まで、防災コミュニティの担い手の年齢層が幅広いこともソフィアステイシアの特色だといえます。

訓練が終わり解散となった後で、防災訓練運営役員を中心に反省会が行われましたが、最初に行われたのが訓練の総括でした。展示型の訓練の中で参加者から見えにくいプログラムがあったこと、居住者が1,000人も居ながら参加率が3分の1程度でしかも毎年同じ顔ぶれであることなど、次年度に向けた課題が次々に挙げられていました。

これらの課題を一つひとつ克服し乗り越えて行くことで、さらに強力な防災組織になっていくものと感じられました。

 
概要(取材年月:2014年12月)
  • 建物名:よこすか海辺ニュータウンソフィアステイシア
  • 所在地:神奈川県横須賀市
  • 階数 :14階建て等・4棟
  • 総戸数:309戸
  • 竣工年:2003(平成15)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:双日総合管理(株)
  • 総会開催:毎年6月
  • 役員数 :14名(理事12名、監事2名)
  • 役員任期:2年(1年ごとに半数を改選、理事の再任は妨げず、立候補制を採用)