テレビ番組自主制作25年――居住者への情報伝達はデジタル放送で
居住者への情報伝達に、マンション内専用の有線を使って放送するテレビ番組自主制作があります。1989(平成元)年、居住者の有志が集い、理事会の下部組織として「CATV運営委員会」が発足しました。以来25年――。放送は地上デジタルで配線から編集、放映にいたるまですべて運営委員会のメンバーがボランティアで行っています。
理事会、自治会のお知らせも24時間
318回目(2014(平成26)年11月24日~12月14日)に放送された、合計1時間の番組内容をご紹介します。
前半30分は、消防設備点検や屋内消火栓放水訓練の報告のほか、自治会バス旅行(富士山麓)、居住者個人が撮影した「海外街あるき(ドブロブニク城壁)」・「街あるき(表参道)」、絵本を読む「おはなしばなし」コーナーなど。その後、後半30分はTV掲示板となり、理事会や自治会、各委員会、サークル活動のお知らせなどを紹介しました。
番組は、約3週間の放映期間中、8時~24時まで繰り返し放送されています。番組放送のない時間帯は、24時間 TV掲示板が流れています。
ちなみに317回目は、サマーカーニバルや栗ご飯を食べる会の様子、316回は管理組合からのお知らせとしてAED増設、雑排水管工事の報告、太陽光発電を取り入れたマンションを見学した際の様子などが放送されました。修繕や改良工事の内容について放送することもあり、作業する場所や作業内容など、映像を流すことで承認が得やすくなるという効果もあるといいます。
分譲時の有線放送設備を継続利用
マンション内には、有線放送設備がそろったりっぱな編集室があります。管理棟の中にある専用スペースを利用したもので、分譲会社が用意したものです。テレビ制作をする設備があることが分譲時の「売り文句」のひとつだったそうです。ところが、せっかく設備があっても使える人がいなければ、宝の持ち腐れです。さらに設備・機材はリースで、導入費は管理組合持ち。大切なおカネを払いつつ、編集室とは名ばかり、自然消滅して今は倉庫などに形態を変えているマンションもあるのではないでしょうか。
セソール川崎京町ハイライズが恵まれていたのは、人材がいたことです。入居当初から映像やパソコンに強く、熱心な居住者がいたため、有線放送設備が「不要なもの」と化すことにはなりませんでした。現在のCATV運営委員会メンバーは撮影・映像編集スタッフ7人、キャスター5人に、理事長や自治会長、広報担当理事、顧問を加えた合計16人です。分譲当初から担当していて核となるスタッフ2人がリードしてきました。輪番制の理事会では、なるべくデジタル関係に明るい若い人に広報担当理事を任せ、理事の任期が終わってもCATV運営委員会に残ってもらえるようにしているそうです。キャスターも近年、人数が少なくなったころにマンション内で募集したら人が集まり、顧問によると「25年も続けてきて、委員会は今なお、とても充実しています」と話しています。
継続力は、無償で取り組むスタッフの存在
CATV運営委員会の編集会議は毎月1回。3クール分くらいの番組構成を話し合います。原稿作成、キャスター、撮影、編集作業の担当を決め、締め切りに間に合わせるように制作します。3週間流して1週間はすべてTV掲示板のみというスケジュールです。
委員会の年間予算は約80万円。普段は機材の維持費や消耗品購入が主な支出項目で、年1,2回、マンション内で行うコンサートの実施費用についても自治会と折半しています。決まっている大きな支出は特にありませんが、突然必要となるカメラやパソコン等の機材の修理費用、更新費用として繰り越しているといいます。
一方、スタッフは無償で番組制作に携わっているそうです。25年続いてきた理由は、無償でも取り組むスタッフ(居住者の有志)がいたことが最も大きいといえるでしょう。
- 建物名:セソール川崎京町ハイライズ
- 所在地:神奈川県川崎市
- 階数 :5階~15階建て・5棟
- 総戸数:541戸
- 竣工年:1988(昭和63)年
- 管理形態:委託管理
- 管理会社:(株)日鉄コミュニティ
- 総会開催: -
- 役員数 :理事25名、監事5名
- 役員任期: 2年(1年ごとに半数改選)