多摩ニュータウンで地域の結びつきを――「長池ぽんぽこ祭り」継続19回目
多摩ニュータウン内のある9団地で構成する「見附ヶ丘連絡協議会」が中心となって2014(平成26)年8月30日、「第19回長池ぽんぽこ祭り」が見附橋横の長池公園芝生広場で行われました。このお祭りは「手作りを旨とする、年に一度の地域の大宴会」を基本コンセプトとし、地域住民、地域自治会等による物品、飲食物販売、音楽の演奏等を行う、言わば「地域住民のコミュニケーションの場」となっています。
年に一度の地域の大宴会
「手作りを旨とする、年に一度の地域の大宴会」としているため、原則として別所地区の地元住民、別所地区に関係のある団体・グループであれば、参加者に特に制限を設けていません。
模擬店には各団地の自治会のほか、地域のおやじの会、ボーイスカウト、野外活動クラブなどが出展。焼きそば、ビール、もつ煮、焼き肉、射的・輪投げ・くじ引きなどが広場にテントを立てます。各団地等は模擬店の売上で負担金をねん出し、持ち出しがない程度の単価設定で、プラマイゼロになるようにしてもらっています。
ステージ演奏は地域住民によるエレクトーン演奏が主体となり、歌唱、ダブルダッチ、ダンスなど。15時の開会ふれ太鼓から20時の演奏までパフォーマンスがスケジュールいっぱいに続きます。参加者にとってはりっぱな発表会の場でもあります。
模擬店もイベントも主催となる見附ヶ丘連絡協議会から特別な指示はありません。自治会内で使えるチケットを発行するのも自由、出し物に趣味を生かすのも自由、仲間を増やして盛り上がるのも自由…。営利目的でなく、出店準備から終了の後片付けまで自己責任で行い、共同作業(テント設営、照明工事等)に積極的に参加し、公園規則などを遵守すれば、あとは「来る人も、やる人もお互い楽しもう!」の精神で夏の終わりを地域みんなで楽しんでいます。
運営事務局の予算は約40万円。各団地の自治会等からは3万円程度、グループや個人の参加者からは数千円程度から負担できる範囲で、または売上金から拠出してもらっています。
支出は毎年36~7万円程度。かかる費用は楽器等の運搬、損害保険、ごみ回収等です。その他準備段階として会議室会場費、ポスター制作費、今年はウチワも作りました。長池公園の使用許可協力はもとより、2001(平成13)年から八王子市の許可を得て長池公園の電源を使用できるようになり、夕方からできるようになりました。このため会場全体に行きわたるための電気工事が必要です。支出としては主に以上で、余剰金は翌年への繰り越しとしています。
地域に知人を―お祭りのきっかけは大震災
八王子市別所地区は1990年代から開発され、分譲住宅や賃貸住宅、戸建て住宅が入り乱れて林立するようになりました。入居者は土地に縁がなく、近所づきあいもままなりませんでした。
そんな中で1995(平成7)年、阪神・淡路大震災が起きました。この大震災の影響も手伝って、住民間で地域の結びつきの重要性が認識されていきます。そしてこの年、せせらぎ通り北団地の有志が他の団地との親睦も兼ね、子どもたちのために「平成狸合戦ぽんぽこ」(スタジオジブリ制作)の上映会を開きました。これが「長池ぽんぽこ祭り」のきっかけとなったのです。
上映会の中心人物だったAさんは当時をこう振り返ります。「勤務先の工場が神戸にあり、大震災で従業員の多くが被災。地域に知人がいる人は助けられたことを衝撃的に学び、何かやらねばと思いました」。
翌1996(平成8)年、近隣5団地に呼びかけ、最初のお祭りを開催しました。「平成狸合戦ぽんぽこ」の舞台は開発が進む多摩ニュータウンであり、きっかけになった上映会にちなんでお祭りの名を「長池ぽんぽこ祭り」としました。
育った子どもが戻ってくる地域に
分譲団地も賃貸住宅もすべて新しい入居者で構成する多摩ニュータウン別所地区。一番古い団地は築20年になりました。
長池ぽんぽこ祭りも10年間で10倍の人が参加するようになり、事務局もコーディネーターもやめるにやめられない状況になった、といいます。一般的なお祭りに欠かせない盆踊りはありません。やぐらや提灯もおカネがなくて設置できないでの、住民有志のパフォーマンスを採用しています。しかし、「地域でできることをやる」、裏を返せば「できることしかやらない」ことが継続につながることかもしれません。
事務局から――「ここで育った子はここのぽんぽこ祭りをふるさとの祭りだと思い、懐かしむと思います。映画の舞台となったこの地域にまた戻ってきてもらうためにも、地域に根差したお祭りを継続していきたいです」。
- 建物名:せせらぎ通り北/せせらぎ通り南/ファミール見附橋/都営長池団地/都営長池団地第2/ミサワガーデンN-City東/コープタウン見附橋/プランヴェールせせらぎの丘/レーベンスガルテン長池Ⅰ
- 所在地:東京都八王子市
- 階数 : -
- 総戸数:993戸
- 竣工年:1994(平成6)年~
- 管理形態: -
- 管理会社: -
- 総会開催: -
- 役員数 :3人(事務局)
- 役員任期: -