分譲時につくられたコミュニティの仕組み、フレンドリークラブのクリスマスパーティ!
大規模マンションなどでは、分譲時からコミュニティを立ち上げるための仕組みが用意されていることがあります。コミュニティクラブ、フレンドリークラブなどといった名称で、一戸当たり月会費を徴収し、それをもとに様々な活動をするというもの。前回ヒーローショーの模様をご紹介した「ザ・ハウス港北綱島」のフレンドリークラブが主催するクリスマスパーティをレポートします。
月500円の会費でイベントを多数開催
2010年に竣工した「ザ・ハウス港北綱島」は、総戸数487戸の大規模マンション。竣工時から「フレンドリークラブ」というコミュニティのためのクラブがあり、住人全員が月500円の会費を払って参加しています。前回にもご紹介しましたが、クラブの設立当初からマンションのコミュニティ形成を支援する「デザインショップまちや」をパートナーに迎え、毎年様々なイベントを開催。6名のフレンドリークラブ担当理事が、「まちや」とともに年間計画を立てているそうです。
イベントの概要は大きく分けて3つ。1つ目は月1回ほどのワークショップで、マルシェや子どもの野菜販売体験、親子で学ぶエクササイズなどがあります。2つ目は年に2、3回のバスツアー。そして3つ目が、夏に行われるサマーパーティと12月のクリスマスパーティです。ワークショップとバスツアーは「まちや」の主導によるものである一方で、この2つのパーティは管理組合が主体となって運営し、毎年100~200世帯の参加があります。
フレンドリークラブ担当理事の清水さんは、「ワークショップとバスツアーは参加人数が限られているし、どうしても参加する人が固定されてくる。月500円の会費を集めている以上、それらに参加できない人は不公平感が募るのではないかと思っています」と話します。そこでサマーパーティとクリスマスパーティでは、なるべく多くの人に還元できるようなシステムが考えられていました。
オードブルにビールにワイン、ロールケーキのプレゼントも!
立食形式となるクリスマスパーティは、12時から開始。会場となる中庭には机が置かれ、その上にはオードブルやサンドイッチが所狭しと並べられています。ドリンクはビールが100円、ワインが50円という値段。また、引換券をもって並ぶ列の先には、ロールケーキの配付が! こちらは事前に予約をした方全員に無料で配っているもので、毎年200本くらいの予約があるそうです。バイキング形式で順に食べたいものをとっていき、料理がなくなるとすぐに新しい皿に交換され、次々と運び込まれてきます。とても豪華な内容です。
「アルコール類は飲む人が限られるので値段をつけていますが、なるべく多くの方に会費を還元することを主目的にしているので、基本的にお金は取りません」と清水さん。それでも課題はあるそうです。「外は寒いので、料理をタッパーに詰めたらそのままお部屋に帰ってしまう人が多いんですよね。本当はせっかくのイベントなのでみんなで集まってコミュニケーションをとれればいいんですが、それだけの大きな会場がないので仕方がないんです」。中庭には共用施設のラウンジ&カフェがあり、そこでは椅子に座って楽しくおしゃべりをしながら食事をとる人の姿も見られました。
そうこうしているうちに、ラウンジから音楽が聞こえてきました。クリスマスのスペシャルライブです。キーボード奏者と歌手の方を招いて、クリスマスソングや子どもたちの好きなディズニーソングなどを歌います。プロのミュージシャンを招くことができたのは、「まちや」のネットワークのなせる技。フレンドリークラブが主体となり運営していますが、管理会社にはパーティのチラシ作成や投函を、植栽会社には中庭の大きな木に電飾の設置をお願いしているそうで、マンションに関わる多くの方の協力を得ながらパーティが開催され、進行していきます。
3時になると中庭にまた住人たちが集まってきて、子どもたちにサンタさんからお菓子が配られます。さらにディズニーランドのチケットなど豪華プレゼントが当たる抽選会が始まり、会場は一気にヒートアップ! 盛況のうちにクリスマスパーティは終わりました。
まだまだ課題もたくさんある運営。今後は新しい取り組みも?
分譲時からコミュニティを意識した仕組みづくりがされていただけあって、ザ・ハウス港北綱島のクリスマスパーティは竣工した年から現在とほぼ同じ形で行っているそうです。フレンドリークラブ担当理事の6名を中心に、理事やその家族など約20名がスタッフとして参加し、それぞれの持ち場を決めて役割分担しています。
ただ、理事間の引き継ぎが十分にできていないという課題があります。輪番制の理事は1年で総入れ替えをするうえ、会計処理以外は引継ぎの資料も特にないため、担当理事たちは、過去のスナップ写真や記憶を頼りにしながら運営するという状態が続いてきたそうです。そこで清水さんは、今後の資料となるように今回のパーティの役割分担表やタイムスケジュール、会場のレイアウトなどをまとめ、共有することにしました。またパーティの余興について、今後はプロのミュージシャンによるコンサートだけでなく、有志を募集して合唱を披露するなど、住人参加型の催しも視野に入れ、住人たちにアンケートを配りました。
理事長の斎藤さんはパーティの内容について、「住人にとってはもっと親しみやすいものに、理事にとってはスムーズに運営しやすいものにしていきたい」と話します。「理事は輪番制ですが、再任は妨げないので、来年も理事として残ることにしました。1年交代だとどうしてもできることが限られてしまい、引継ぎもうまくいかないケースがありますから。前回のアンケートでは、“マンション内で教室などを開くとしたら、パソコンや英会話などをボランティアで教えることができる”と回答してくれた住人が数名いました。せっかくコミュニティのための仕組みが整っているので、講師を立てたワンコインサークルみたいなものも構想中なんです」と教えてくれました。
理事たちにとってはまだまだ改善の余地のあるイベント開催ですが、参加した住人たちは、「クリスマスやサマーパーティは、毎年子どもたちがすごく楽しみにしている。集まるとすぐに鬼ごっこやかくれんぼが始まって、友だちがどんどん増えていきます」「親子で開催できるイベントが多く、ママ同志も仲良くなれてうれしい」と大満足の様子でした。ザ・ハウス港北綱島は竣工してまだ8年。これからも試行錯誤を重ねさまざまなイベントを開催することで、住人みんなにとって心地いいコミュニティが醸成されていくことでしょう。
- 建物名:ザ・ハウス港北綱島
- 所在地:神奈川県横浜市
- 階数 :地上7階建て
- 総戸数:487戸
- 竣工年:2010(平成22)年
- 管理形態:全部委託
- 管理会社:(株)長谷工コミュニティ
- 総会開催:毎年12月
- 役員数 :20名
- 役員任期:1年(輪番制、再任は妨げない)