共通

mainView
★サポートちよだ NO.24(エレベーター閉じ込め救出訓練・ドミール五番町③)

ハードとソフトでマンション支援!千代田区のマンション防災対策

マンション管理組合の運営は、管理についてほとんど素人である理事さんたちにとって、日々困難の連続です。また、特に都心部ではマンションの増加に伴って管理が行き届かないマンションの存在などが問題になっています。そんななか、近年、各自治体でマンション管理の支援を行う動きが活発になってきました。区内の住宅のマンション化率が8割を超える国内屈指のマンションエリア、千代田区の防災支援の取り組みをご紹介します。

防災・防火

区内のマンションに支援を呼びかける「まちみらい千代田」の取り組み

★27号マンション連絡会

公益財団法人「まちみらい千代田」は、千代田区の総合的なまちづくり支援事業を行う組織として、平成17年に誕生しました。特に、住宅まちづくり事業の中では「マンション居住支援事業」が軸となっており、様々な形でマンション管理組合や居住者に対する支援を行っています。

 

それは、千代田区のマンションの多さと関係があります。千代田区のマンション化率は約82%。これは、全国的に見ても最上位の数字です。マンション支援を区の重要な課題ととらえており、まちみらい千代田でもマンション居住支援事業に力を入れています。「千代田区のマンションは、意外にも50~100戸くらいの中規模が多く、超高層は20棟ほどです。旧耐震基準の時期に建てられた古いマンションも多く、建物維持への支援も課題になっています」と語るのは、まちみらい千代田の堀切さんです。

 

事業の柱は、「情報収集・発信」「管理コミュニティ支援」「建物維持・整備支援」「防災対策促進支援」の4つ。安全・安心で快適なマンション居住を実現することを目的としています。主な活動は、5年ごとの分譲マンション実態調査をはじめ、千代田区マンション連絡会の開催、相談窓口の設置、情報誌の発行や管理セミナーの開催など、多岐にわたります。年6回開催している千代田区マンション連絡会の会員数は、現在約100名ということです。

 

備品の配布やアドバイザーの派遣……、充実した防災対策支援

★21号エレベーターチェア

まちみらい千代田の4つの事業の中で、マンション居住者にとって特に関心が高いのは、防災対策支援です。例えばハード面の支援では、災害時などに発生するエレベーター閉じ込め事故に備えて、エレベーター内に設置する非常用備蓄キャビネットを配布しています。このキャビネットは、中に飲料水、懐中電灯、携帯トイレ、トイレットペーパーなどが入っていて、普段は椅子として使うことができます。
配布対象は、管理規約が整備されていること、防災計画を策定していること、または1年以内の策定が決定していること等の条件を満たすマンションとされています。

 

また、マンションの防災計画策定後も、引き続き様々な支援を受けることができます。千代田区は、マンション防災アドバイザーのアドバイスによって防災計画を策定することを目標としており、策定後はマンション内で行われる防災訓練などに、まちみらい千代田のスタッフが参加することもあります。この防災計画を策定することで、その他災害用資器材等の購入費用の助成や、マンション内だけでなく近隣地域で利用できるAEDの設置などの支援を受けることができるのです。

希望するマンションでエレベーター閉じ込め救出訓練を実施!

サポートちよだ NO.24(エレベーター閉じ込め救出訓練・ドミール五番町②)

先日、区内のマンション「ドミール五番町」で緊急時のエレベーター閉じ込め救出訓練が行われました。これは、災害時などにエレベーター内に人が閉じ込められた場合を想定し、緊急避難的措置として、居住者の自助により救出するための訓練です。まちみらい千代田が企画をし、マンション連絡会の会員に案内をして実施するもので、今回が初めての開催となりました。

 

この訓練は通常の防災訓練とは別に行われ、当日は20人以上が参加しました。まちみらい千代田の募集に対して手を挙げたドミール五番町の理事である西崎さんは、災害でエレベーターが復旧するまでに数日かかるかもしれないということは知っていましたが、マンションのエレベーターには停電時自動着床装置がついているため、停電が起きてもすぐに外に出られるだろうと考えていたそうです。

 

しかし、訓練でエレベーター保守会社の方から仕組みについて説明を受け、実際に電源を切って救出するところまで体験してみると、「自分たちが毎日いかに大きくて危険な機械に関わっていたのかがよく分かった」と西崎さん。高度な専門性が必要な仕事だと再認識し、もしも災害時に本当にエレベーターが壊れてしまったら自動着床装置も機能しないと聞いて、事の重大さが身に沁みたといいます。

 

まちみらい千代田の堀切さんはいいます。「東日本大震災では首都圏でのエレベーター閉じ込めが87件ありました。さらに、最大震度7の地震がもしも発生したら、この件数は首都圏だけで7,500件にも上ると想定されています。区内の分譲マンションのほとんどにエレベーターが設置されていますし、災害時はエレベーター保守会社も被災している可能性がある。そこで、賛助会員であるエレベーター保守会社と連携して、区内のマンションに声かけをし、試行的に訓練を行うことにしたんです」。
しかし、いくら訓練を受けたといっても、救出には危険がともないます。エレベーター保守会社の方は「自助による救出はあくまで緊急を要するような特別な場合に限ったもので、緊急時以外は、われわれや消防など、専門家の救助を待つことが大切です」と話しました。

 

今回ドミール五番町で訓練を受けた人には、このマンションの建物事情に合わせて作られた救出訓練マニュアルが配布されました。緊急時には、マニュアルを持っている人に活躍してもらうことになっています。しかし、転居などで居住者が替わることも考えられるため、西崎さんは、1度訓練したら終わりではなく定期的に行うことや、マンション内のすべてのエレベーターで訓練を行うことが望ましいと考えているそうです。

このように、まちみらい千代田の防災対策支援はハード面、ソフト面ともに充実してきています。そしてそれにともない、管理組合や居住者たちの防災意識が、確実に高まってきているのが分かります。

 

マンションの増加とともに広がりつつある、自治体によるマンション支援。助成金や備品の支給などのハード面はもちろん、コミュニティ形成などのソフト面でも、有効な支援は多くあります。お住まいの自治体の支援策について調べてみてはいかがでしょうか。

概要(取材年月:2017年06月)
  • 建物名:─
  • 所在地:─
  • 階数 :─
  • 総戸数:─
  • 竣工年:─
  • 管理形態:─
  • 管理会社:─
  • 総会開催:─
  • 役員数 :─
  • 役員任期:─