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GH入間理事会風景

しっかり根回しで、管理規約の大幅改正に成功!

国土交通省は、今年2016(平成28)年3月に「マンション標準管理規約」の改正を公表しました。その公表にさきがけて、管理規約の大幅な改正に取り組んだガーデンハイツ入間。標準管理規約に対する考え方、話し合いの進め方など参考になる点がたくさんありました(前回は自治会についてお伝えしました)。

その他

新しくなった「マンション標準管理規約」

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マンション標準管理規約」(以下、標準管理規約)とは、管理組合がそれぞれのマンションの実態に応じて管理規約を制定、変更する際のお手本となるもので、これまでも法制度の改正や情勢の変化に応じて、何度か見直しをされてきています。

最新の標準管理規約は2011(平成23)年に定められたものですが、国土交通省(以下、国交省)では2012(平成24)年から「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を設置して、早くも標準管理規約の改正に対して検討を始めました。そして、2015(平成27)年に同検討会の報告書がとりまとめられ、その内容を踏まえて今年の3月に、標準管理規約の改正が公表されたのです。

今回の改正では、かなり大きな変更がなされています。その背景には、高齢化が進んだことによる役員のなり手不足、多発する災害、管理費滞納等による管理不全など、様々な課題が指摘されていることがあります。

改正のポイントは、大きく分けて2つ。①外部の専門家の活用、②コミュニティ条項等の再整備、です。①では、マンション管理士などの外部の専門家が理事長をはじめ理事等に就任することも可能とし、②では、それまであった「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」の規定を削除し、マンション全体の防犯・防災、美化・清掃などのコミュニティ活動について積極的に取り組むことが望ましい、と明記されました。

理事長のがんばりで、あっという間に臨時総会へ!

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今回の管理規約改正案が出た2012(平成24)年から、いち早く規約改正を進めてきたマンションがあります。総戸数264戸、築31年の大規模マンション「ガーデンハイツ入間」です。

ガーデンハイツ入間では、役員任期の変更や「管理組合と自治会の完全分離」など(第2回目掲載記事へリンク)これまでにも何度か規約の改正に取り組んできており、今回はおよそ8年ぶりの規約改正になります。国交省の発表する資料をその都度精査し、それをお手本とした内容で、自分たちのマンションに必要かそうでないかを検討。例えば、外部専門家の活用については、「当マンションは外部の管理者に頼るほどの管理不全マンションではない」ため必要ないと判断されました。

こういった話し合いが順調に進むには、マンションの管理ルールをずっと勉強し、これまでの規約改正にも関わってきた理事長の存在が欠かせません。マンションのホームページづくりも手がける(第1回目掲載記事へリンク)理事長、島田さん(仮名)にお話を伺いました。

「今回のような大きな改正の場合、相当な時間が必要ですし、規約条文の作成については専門家の助言を求めることがいいのかもしれません。しかし、私たちは規約改正委員会のような特別な委員会を設置することはしませんでした」。それも、島田さんのこれまでの努力の賜物。改正原案や100ページ以上にわたる住民説明会資料の作成、居住者間への説明はすべて短期間で終えたといいます。

マンション内パブコメで、意見を募集! 賛成多数で規約改正が成立

規約集

しかし、「短期間といっても、それなりの手順はきちんと踏んだつもりです」と島田さんが言うように、合意を得るための努力は怠りませんでした。

国交省の動きについては、その都度ホームページにリンクを貼るなどしてつねに居住者にも注意を喚起。理事会内で話し合われている規約改正に関する概要は事細かに月次の議事録に記載し、玄関ホールに掲示したり、回覧板を回したりして告知をしました。さらに、広く居住者からの意見を募るため、意見公募つまりマンション内のパブリックコメントを実施したそうです。

今年初めに開かれた臨時総会では、規約改正案の承認のほか、使用細則、長期修繕委員会細則など、規約改正に伴って生じた細則の改正も含め、全部で6つの議題が上がり、すべて賛成多数で可決しました。結局、国交省の改正の報道を待たずに、規約が改正されたのです。

ほかの議題に比べ、少しだけ説明に時間を要したのが「理事会運営細則」制定案中の「役員報酬基準に関する事項」についてです。ガーデンハイツ入間では、これまでにも役員報酬制度は取り入れており、理事長は年額3万円、それ以外の理事は一律年2万円という内容でした。規約の改正で理事長をはじめ役員の責任を明確化させたうえで、今回の変更で理事長が年額12万円、理事は年3万6千円、監事と副理事長はその責任の重さを鑑みて年6万円の報酬としました。

結局、理事会運営細則制定も反対者はほとんど出ずに承認。前述した説明会資料の終盤に、「どれほど理事長が大変か、その重責はやってみて初めて分かります」と役員報酬への理解を求めた島田さんの文章が、とても印象的でした。

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ガーデンハイツ入間の管理規約集はこちら!⇒http://gh-iruma.cside.com/kiyaku/kiyaku_top.htm

概要(取材年月:2016年07月)
  • 建物名:ガーデンハイツ入間
  • 所在地:埼玉県入間市
  • 階数 :11階建て・1棟
  • 総戸数:264戸
  • 竣工年:1985(昭和60)年築
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:西新サービス(株)
  • 総会開催:4月
  • 役員数 :15名
  • 役員任期:2年