ペットをきっかけに、マンション内外の人とつながる
ペットが家族の一員になって久しく、最近ではペットを飼えるマンションが当たり前の時代になってきました。ほとんどのペット可マンションでは、飼い主たちが入会するペット委員会を組織して、その管理にあたっています。以前、防災活動で紹介した大崎ウエストシティタワーズでは、管理組合の下部組織として委員会を持ち、外部とも積極的に交流を図っています。今回はその活動の様子を取材しました。
管理組合の下部組織としての「ペット委員会」
大崎駅西口に建つ「大崎ウエストシティタワーズ」は、竣工当時からペットを飼うことが許可されているマンションでした。ペットを飼うことを希望する人は入居時に登録をし、管理組合でその人数を把握する仕組みで、現在、登録者は1084世帯中93世帯。
「以前もペット可のマンションに住んでいて、月1,000円、年間12,000円の会費を払っていました。ここに来てからは年500円。とても安くてびっくりしました」。と話すのは、今期のペット委員会の委員長を務める加藤さん(仮名)。ここでは登録したペット飼育者の中から持ち回りで毎年8名、理事会から2名が委員会の役員になる、という仕組みです。
以前のマンションでは会費を使いきるため、あまり必要のないしつけ教室などが開催され、委員会の役割に理解はなかったという加藤さん。今はペット飼育者同士、またはペットを飼っていない人たちとコミュニケーションを図る活動をどんどん提案でき、それを理事会が後押ししてくれる環境に、満足しています。
ペットトイレはマンション外の人もウェルカム!
ペット委員会の活動は、その年に役員になった人がそれぞれ考えます。例えば、前期は登録者のペットを撮影した写真を一つにまとめ、ペット連れの人が使うように指定されているエレベーター内に貼りました。「みんなのワンちゃんや猫ちゃんの顔がわかると、親近感がわきます。ペットに関する会話がストレスフリー。同じペット好きなので会話も弾みます」と加藤さん。
また、マンションの敷地内にペット専用トイレも設けました。これは、代官山の商業施設に設置されていたペットトイレを見た役員が提案したもの。敷地内とはいえ、一般の人も多く通行する通路の脇にペットトイレをつくったのは、この道を通る居住者以外の人にも使ってほしい、という思いからでした。ちなみに、外部の人も使えるペットトイレを設置したのは、マンションではこちらが初とのことです。
管理組合としては、マンション敷地内の外構に犬のおしっこがかけられている、などのクレームが入ることがあり、トイレがあることでいくつかの問題が解決する、という狙いもありました。
ドッグランは大盛況! もっとペット仲間でつながろう!
また、ペット委員会発足から6期目となる今期は、より外部の人ともつながろう、との考えから、敷地内などに「ドッグラン」を設置することにしました。ドッグランとは、隔離されたスペースの中で犬のリードを外し、自由に運動させることができる設備のことで、試しに3月のある日にチラシを配って告知し、通路でやってみたところ、居住者はもちろん外部の人も犬を連れて参加してくれ、大盛況となりました。
なかには、犬を飼っていない家族連れなども参加していたようで、「犬を飼いたくても事情があって今は飼えない、という人や、以前飼っていたがペットの思い出の話ができるという人が結構来てくださいました。みんな犬と触れ合えるのを楽しんでくれたようです」と加藤さんは言います。
4月に行われた「大崎さくらまつり」でも再びドッグランスペースを設け、ペット講習会なども開催しました。「今後は要望があれば、もっと簡単に、ドッグランを実施できる体制を作り上げたい。ほかにも、猫カフェやオーガニックフードの料理教室など、みなさんが自発的に参加したくなるようなコミュニティーにしていければと思います」と加藤さん。ペットをきっかけにしたコミュニティづくりに、アイデアは尽きません。
- 建物名:大崎ウエストシティタワーズ
- 所在地:東京都品川区
- 階数 :39階建て・2棟
- 総戸数:1084戸
- 竣工年:2009(平成21)年築
- 管理形態:委託管理
- 管理会社:住友不動産建物サービス(株)
- 総会開催:6月
- 役員数 :22名
- 役員任期:2年