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マンションライフ・シニアライフ部門
(住み心地、居住価値向上、高齢者対応)
佳作
居住者の防犯意識向上と
コロナ下でのサービスの提供
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社
倉本昇様
背景
- 築40年を迎える東京都新宿区のマンションは、全179世帯。居住者の多くが高齢者で構成されています。
- 昨年11月、居住者に対し、建替えのために必要なお金を要求する「振り込め詐欺」が発生。本年2 月には同一居住者に対し、専有部リフォーム工事を巧みに発注させ、高額な工事費用を要求する案件が発生しました。合計4 か所のリフォーム工事で工事総額4,710千円。4度目に同居住者から管理員への相談があり、現場検証に立ち会うと同時に、消費生活センターへの相談等の助言をし、リフォーム工事を途中で解約。最終的には、被害額の90%を回収することができました。
- 本年8月には、別の独居高齢者が点検業者を装った強盗被害に遭い、怪我を負う事件が発生しました。
目的
- 本マンションは高齢者が多く居住しているため、上記のような詐欺行為のターゲットにされている可能性があると考え、管理会社として、管理組合に向け「高齢者の防犯について注意喚起や意識向上を目的として何か対応は出来ないか」を検討することにしました。
実施内容〈バリューアップ〉
管理会社による警察署への協力要請
まずは、事件後すぐに管轄の警察署へ訪問し、連携強化を図るべく打ち合わせを行いました。これを踏まえ、警察署署員が9月の理事会に出席し、事件の概要(上記強盗犯が逮捕された旨も含む)の報告と犯罪抑止用ポスター・ステッカー等を掲示。その際に防犯講習会を開催してはどうかとの提案がありました。
居住者向け防犯講習会の開催
警察署からの提案を受け、10月に第一回防犯講習会を開催しました。テーマは「点検業者を装った突然の訪問について」「特殊詐欺について」とし、今回の事件を踏まえての注意喚起の講習を実施。講習会は、コロナ禍を考慮し定員20名としましたが、即日満席となりました。また、出席者の皆様には今回の講義について、近隣住民や友人・親族に周知いただくようお願いをしました。
警察署作成の防犯パンフレットの全戸配布を実施
警察署から提出された各種防犯パンフレットを全戸に投函しました。
警察署による声掛け等の実施
事件以来、周辺エリアを含めて、スピーカーによる注意喚起を警察署員に行っていただいています。また、マンションの館内巡回も強化してもらいました。
※イメージ写真
結果
- 初めての取り組みで対応に苦慮しましたが、警察署主催の防犯講習会は大変好評であったことから、12月に第2回目の開催を予定しています。警察からは、単発での実施では効果が薄くなってしまうことから、定期的に注意喚起等を実施することが重要であるとの助言をいただいていますので、今後も継続していく予定です。また、今回のことで、改めて理事会と管理会社の連携の重要さを知ることができました。
- その他、管理会社の取り組みとしては、高齢者が多く居住されていることやコロナ禍のため外出を控えている方のことを考えて、敷地内にキッチンカー(週2回)を出店(月夜のキッチン・2020年グッドデザイン賞を受賞)。外出できない中でもお店でしか食べられないような、美味しい料理を楽しんでいただいています。なお、このキッチンカーについては、近隣の管理物件(594世帯)にも周知や利用誘導を行い、初日は開店約1時間で完売となりました。
苦労した点・工夫した点
今回起こった一連の事件について周知することは、却って居住者の不安をあおるとも考えられ、注意喚起文書の作成にあたって記載する内容には大変苦慮しました。警察から、詳細を知りたい等の問い合わせがあれば直接警察に連絡するよう誘導いただいて構わないとの話もいただき、大変助かりました。
居住者の声
「警察署がここまでやってくれているなんて安心」、「固定電話への自動録音機設置を警察署が無償で設置貸し出しをしてくれるなんて知らなかった」等、数多くの気づきや感謝のお言葉をいただきました。