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高齢者対応部門(居住者の高齢化に伴う先進事例)
特別賞
高齢者見守り推進委員の活動
株式会社長谷工コミュニティ
青山恵理様
背景
- 築44年を超えるAハイツ管理組合法人は、居住者の高齢化が長年の課題です。日本の総人口に対する70歳以上の割合は、約2割なのに対し、当マンションでは4割に迫る数字となっています。
- そんななか、独居高齢者が自宅内で転倒し、2日間助けを求められなかったという事故がありました。幸い異変を感じた新聞配達員が近隣居住者へ連絡してくれて、無事救出することができました。
- 管理組合にとってこの事故は衝撃で、高齢者の独居の見守り活動に大きな問題を提起することとなりました。
目的
翌年の理事会で、「孤独死を出さない」「老々介護で共倒れを出さない」を目標に、「高齢者見守り推進委員会」を立ち上げ、活動を開始しました。
実施内容〈バリューアップ〉
管理会社や行政へ協力要請
高齢者見守り推進委員会は、管理組合理事会から承認を得て活動する委員会として誕生。トラブルや事故、あるいはいいお話があれば都度理事会に報告することになっています。構成人数は7名程度です。前例のない取り組みであることから、管理会社と管理員の協力や行政(神戸市長田区・社会福祉協議会・あんしんすこやかセンターなど)への支援を要請するとともに、Aハイツ管理組合法人における「自助努力」としての取り組みを実施しています。
訪問・声掛けの実施
まず、見守り対象を年度当初に確定し、「訪問記録」に登録します。見守り対象となった高齢者のご自宅を管理員が毎日訪問し、声掛けを実施。毎日の面談内容は訪問記録に記入し、委員会に提出します。訪問の際に体調等をお聞きし、容態が悪いようであれば、緊急連絡先であるご家族に連絡をする等、委員会に何ができるのかを検討しました。
居住者向け勉強会の開催
また、居住者に向けた勉強会の実施を検討。7月14日に第一回の勉強会を開催しました。テーマは「介護保険制度について」とし、いざ必要となった時にあらかじめ知識があれば冷静に対応出来るようにすることを目的としています。この勉強会には、居住者に限らずそのご家族にも参加してもらうことで、個人の問題ではなく皆で支えていくものと認識してもらうことも狙いとしています。
亡くなった居住者からの伝言
活動を進めるなかで、2018年暮れにご逝去され、それまで見守り対象であった方からのご伝言が管理組合に宛てられました。「Aハイツの皆さんには本当によくしてもらいました。Aハイツで人生をまっとうしたいと念願していましたが、息子から仙台の自宅に来ないかと言われ、行く決意をしました。本当にいいマンションでした。くれぐれも皆さんにありがとうと伝えてください。仙台で亡くなったら葬儀に来てもらうには遠すぎますが、もし、来てもらえるならお願いしたい」との言葉でした。その後、ご子息から、神戸にて本葬が執り行われるので、Aハイツの方にも参列してほしいと連絡がありました。高齢者見守り推進委員のメンバーが弔問し、その折にもご子息から見守り活動を通じて、大変お世話になったことに感謝の言葉が伝達されました。
結果
- 推進委員に任命された委員も初めての取り組みで、試行錯誤の活動ですが、住人の方のご理解とご支援により進めることができています。今後も課題は出てくるとは思いますが、皆で助け合い、地域の支援、助言、協力を得ていくことを目的として活動を続けています。
- 委員会発足後も、独居の方が専有部内で転倒してしまい、動けなくなるトラブルが何回か起きています。日中は委員が仕事に出ているため、管理員が駆けつけ助けを呼びました。改めて委員会と管理会社の連携の重要さを知り、今後も管理組合や委員会の要請によって可能な範囲で協力を行うこととしています。
苦労した点・工夫した点
委員会や理事会での状況報告では、どうしても病名等の個人情報が出てしまいます。そこで、委員会と理事会のメンバー・役員・管理会社出席者には守秘義務の誓約書を書いてもらうなどの工夫をしました。
居住者の声
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