財政部門(組合財政の健全化)
佳作
住民の意識とマンションの価値
ダイアパレス シアース万代
高橋千秋様
背景
- ダイアパレス シアース万代は、新潟駅から徒歩10分、築25年、全3棟、総戸数390戸のマンションです。入居から10年くらい経った頃、マンション住人の連帯感が薄れてきたように感じることがありました。居室玄関前には出前の器や段ボールが置かれ、共用廊下の窓の柵には傘がぶら下がり、明らかに入居当時よりもだらしなくなっていたのです。
- 私は、マンションで大切なことは居住者の共通認識で、そのためには広報活動が重要であると考え、理事になり広報部の担当を引き受けました。広報誌では、まず理事会で話し合われたことを知らせ、日常的なゴミ問題などは、個人の意識にも問題があると思い、ちょっとした注意に留めました。住人が情報を共有できるよう、マンションの実態をできるだけ分かりやすく知らせることに気を配りました。
- 当マンションには、長期修繕積立金の値上げと機械式駐車場の改修という、10年来解決しなければならない大きな課題がありました。
目的
長期修繕積立金の値上げと機械式駐車場の改修を達成するのが大きな目的です。広報担当理事としては、どう説明すればより住人に伝わるのかを意識して、話し合われた内容を逐一広報誌で知らせることに重点を置きました。
実施内容〈バリューアップ〉
修繕積立金の値上げ
長期修繕積立金の値上げの方法は、理事会での話し合いの結果、均等積立方法を取ることになりました。値上げの仕方について「居室の広さにより値上げ額は変わりますが、来年度の値上げ額は、最も高い値上げ額の人は510円で、安い人は150円です。毎年その額が加算されて、値上げされます。値上げは10年をめどにするもので、10年目にはもう一度、値上げ額を決めることになります」と広報誌に記し、住人の理解を得たため、臨時総会ではすんなりと可決されました。
機械式駐車場の改修
審議の途中で、近隣にN社が所有する460坪の土地が空き地となっているのに気づき、それを活用してはどうかと提案して、理事会で承認されました。以下のように分かりやすく図表にするなど、工夫して広報し、住人の声を聴いてそれをさらに広報誌に載せるなど、丁寧な説明を心がけたことが奏功したのだと思います。総会ではN社の土地借り入れがすんなりと決定し、さらに進んで、機械式駐車場の工事についてまで話し合われました。
機械式の装置入れ替え費用 | N社の土地活用(借地) | |
---|---|---|
価格 | 約2億円 | 土地の整備等で1億3,000万円 |
駐車台数 | 96台(現在の契約60台) | 75台位 |
車高、長さ・巾 | 関係あり | 関係なし |
電気関係 | 停電時は止まる | 関係なし |
メンテナンス | 年間約170万~180万 | 月90万円(年1,080万円) |
5年後、10年後に多額の費用がかかる | ||
20年後 | 再び作り直し | 継続契約が可能 |
結果
- 6月末に460坪の土地にダブルラインが引かれ、72区画の新しい駐車場が完成しました。竣工式も無事に済み、機械式駐車場も徐々に平置きに改修されています。来年2月にはマンション内の通路を舗装し直し、花壇も整備され、外周は見違えるように美しくなる予定です。
- 「いつまでも 品位のある 美しいマンションであり続けたい」という住人の声は多く、今では共用廊下に物を置いたり、傘をぶら下げたりするようなマナー違反をする人は1人もいなくなりました。工事関係者からも「工事中に騒音があっても苦情を言う人がいない」と話しがありました。住人の意識が高くなると、マンションの価値は上がる、ということを強く実感しました。
苦労した点・工夫した点
- 修繕積立金値上げの臨時総会の折には、共用部分の電気料金の値下げも議題に上りました。会社を変更すれば使用料金が安くなるという案件です。料金が安くなるのだから可決されると思い、詳しくは広報しなかったのですが、何と否決! 驚きました。広報の仕方の難しさを改めて知り、反省し、たくさんのことを学んだ出来事でした。
- 長期修繕積立金の改定に関しては、ほとんど問題なく可決されたことから、住人は詳細に知らされていて「分かること」には賛成するが、電気料金の値下げのように「初めて聞くこと」「分からないこと」には反対することがよく分かりました。段階的な広報の仕方を学びました。
居住者の声
修繕積立金の件では、住人から「値上げの仕方と金額がはっきり分かったので、問題なく賛成よ」という声がありました。また、ダブルラインを引いた駐車場も「とても使い勝手が良くなるね」という声もありました。