財政部門(組合財政の健全化)
部門賞
1年かけて出来たこと
日本ハウズイング株式会社
坂本 賢政 様
背景
- 築13年、40世帯(理事4名)のマンションを担当することになりました。居住者は比較的年齢の若いファミリー世帯と、すでに定年を迎えた夫婦の世帯に2分しています。
- 当マンションでは第1回目の大規模修繕工事を予定しており、工事仕様や予算が決定され、あとは定期総会を待つのみという状況。長期修繕計画書が作成されていましたが、計画上の実施年度からは1年遅れていました。工事仕様は、保有している資金内で収まるよう施工範囲を縮小していました。
- 定期総会で大規模修繕工事の実施を議案化し、可決。しかし出席者は理事4名のみで、委任状も未提出者多数という状況でした。
- 長期修繕計画書によると、2回目の大規模修繕工事では資金不足に陥ってしまいます。資金シミュレーションを行ったところ、現行の積立金を2.8倍まで引き上げる必要がありました。
- そこで臨時総会を開催し、修繕積立金の改定(値上げ)を議案上程しましたが、出席者は理事のみで、委任状も含め22件ほどしか参加がなく、定数不足により賛成には至りませんでした。
目的
課題として、総会への出席者不足があります。そのため、まずは組合員にマンション運営に興味を持ってもらい、総会への参加率を上げることを目的としました。最終的には、修繕積立金改定の必要性を理解してもらい、合意を得ること。
実施内容〈バリューアップ〉
子ども向け工事体験会
大規模修繕工事の中間検査時に「工事体験」ができるよう立案し、招集案内に「必ずお子様もご参加ください」と記載。着工前資料をマンガ風にアレンジし、塗り絵や折り紙を差し込み、子どもが楽しめる工夫を施しました。結果、ファミリー世帯の参加率はほぼ100%で、終了後は、長期修繕計画書における資金シミュレーションの説明を行いました。
[工事体験会 内容]
- 手のひらサイズの現場説明会資料を配付
- コーキングガンを使ったシール打設体験
- ベニヤ板と木枠で作成した壁をペンキで塗装し、動物やキャラクターなど思い思いの絵を描く体験
世代を越えた花火祭り
「子ども向け工事体験会」で定年後の夫婦世帯の参加がなかったことを振り返り、住人間のコミュニケーション向上を図るため、マンション敷地内で花火大会を開催。夫婦世帯の方は子どもを巣立たせ、お孫さんの面倒をみている場合もあり、子どもの扱いには慣れていると考えました。当日は30世帯の参加があり、参加者には花火祭り終了後の理事会に冒頭だけ出席いただき、修繕積立金改定の必要性について説明を行いました。
[世代を越えた花火祭り 内容]
- 小さな子どもと高齢世帯で複数のグループを作り、花火を実施。
- 車両の通行があるため、子どもの親御さんには交代で警備にあたってもらう。ドリンクやおつまみを用意し、合間に談笑できる場を設けました。
総会開催に向けて、「特別招待状」をお届け
「1年経って定期総会の時期を迎え、最後の一工夫として総会出欠届にアレンジを加えました。シルバーの厚紙を使い、「特別招待状 総会へのご招待 当マンションにお住まいの方限定です」とし、招待状のような形にしました。
結果
- 総会出席率90%を達成! 出席者28世帯、委任状も含め36件となり、修繕積立金の値上げも承認されました。
- 花火大会は継続され、毎年9月末に開催するようになりました。また、理事会の活動が活発になり、ハロウィンイベントや、エントランス壁面に映像を投影しての映画鑑賞会などが開催されるようになりました。
苦労した点・工夫した点
- 「子ども向け工事体験会」の事前説明会を行った際、小さなお子さんが飽きないように説明会用の資料の各ページ裏面に塗り絵ができるようにイラストを入れ、最後のページには切り取って折り紙として遊べるように工夫をしました。
- 1年後の総会開催にあたり、出席率を上げるために数百人規模の夏祭りを運営する自治会役員と面談。集客方法の助言を請いました。また、総会出欠届を「特別招待状」とし、プレミア感を演出しました。
居住者の声
「この1年は楽しかった」「花火祭りは毎年やってください」などいろいろな声をいただきました。