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- 台風21号による隔壁板破損の仮復旧工事部門 佳作
防災部門(防災力の向上)
佳作
台風21号による隔壁板破損の仮復旧
大和ライフネクスト株式会社
井藤菜々様
背景・経緯
- 2018年9月4日、25年ぶりといわれた最大風速44m以上の非常に強い台風21号が近畿地方を襲いました。そんななか、私が担当していた200戸超のマンションで、フェンスの破損や屋根瓦の飛散、倒木などの被害に見舞われたのです。特に頭を悩ませたのが、ベランダの隔壁板が半分近く割れてしまったことでした。
- すぐに施工会社へ復旧工事の依頼をしましたが、「同じ話がたくさんから来ていて、手一杯」「最短でも3カ月後の施工になります」という答え。ひとまず依頼はしたものの、復旧までの間は隣の部屋との目隠しになるものがなく、洗濯物は丸見え、行き来も自由にできてしまうという状況でした。プライバシー空間を守るものがなければ、お客様にとって大変なストレスになるのではないかと懸念されました。
目的
台風の被害によるベランダの隔壁板破損で、居住者のプライバシー空間が侵害される状況に。復旧工事は3カ月待ちであるため、自分達で仮復旧を行うことにしました。
実施内容〈バリューアップ〉
被害状況の把握のためアンケートを実施
まず、台風の翌日にアンケートを全戸配布し、被害状況を取りまとめました。ベランダパーテーションの被害が多数あり、居住者は「いつ復旧してもらえるのか」を最も知りたがっていると感じ、取り急ぎ現地調査の調整だけでもと思い、先行して手をつけました。自分達でできる方法はないかと考えて思いついたのが、プラスチック段ボール(以下、プラダン)による仮復旧です。早速、近くのホームセンターに材料の下見に行きました。引越しの養生にも使用される厚さ5mm程の板は透ける感じもなく、大きさもぴったりでした。本来、避難通路には燃性の物を置いてはいけないのですが、一時的処置である旨を理事会へ説明し、賛同いただいています。
プラスチックダンボールによる仮復旧
理事の皆様と取り付け方法を模索した結果、上部2箇所と横1箇所にパンチで穴を開け、強度向上のためにハトメ金具を付けて、結束バンドで枠に取り付けることにしました。誰でも手軽に取り付けられるよう、設置方法を分かりやすく図解した説明書を作成。もしも設置後に台風が発生した時は、飛ぶ恐れがあるため管理員が事前に広報して取り外し、一時的に集会室で保管するなど、細かな運用ルールも決めました。プラダンと結束バンド、設置方法の説明書を3点セットにして用意。基本的に各戸で設置作業を行ってもらうこととしましたが、高齢の方へは管理員による設置のサポート体制も整えています。こうして、被害発生から約2週間で、理事会との協議、物の加工、全戸への案内を行い、設置が完了しました。
結果
- 施工会社も身動きが取れないなか、できる限りの対応をさせていただいたことがお客様にも伝わったのか、その後、本復旧を行うまでの間、大きなクレームをいただくことはありませんでした。
- ちなみに、この時利用したプラスチックダンボールは再利用できるよう、集会室の倉庫に保管してあります。“これでまた一つマンションの防災力が上がった”と、この仕事の意義を感じた出来事でした。
- 昨今、大規模な自然災害が増えています。もし想定外の事態が発生しても、お客様を守るために何ができるかを考えられる担当者であり続けたいと考えています。
苦労した点・工夫した点
- 管理組合で購入したプラダンは、次回以降も使用できるよう、ハトメ金具で強化するなど加工を施しました。本復旧後は、防災備品として集会室で保管しています。
- 被害住戸の住人が自分たちで簡単に取り付けられるよう、設置方法を図解した説明書を作成しました。自分で取り付けができない、という方のためには、管理員が設置のサポートをするという体制も整えています。
- 本復旧までに再度台風が来た場合の対応も詳細に話し合いをしています。プラダンを取り外し、室内に保管しておいてもらうことなどを書いた掲示物も作成しておきました。
居住者の声
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