マンション・バリューアップ・アワード

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防災部門(防災力の向上)

佳作
簡易火災放送システム

株式会社東急コミュニティー
リフォーム事業部 東北リフォームセンター 鈴木淳仁様

背景・経緯

  • 1998竣工(築年数22年)、地上8階建て、総戸数39戸のマンションで、管理組合が開催する消防訓練に参加した時に、ある出来事が起きました。消防訓練の日時は予め入居者へ掲示・投函等していて、定刻時間に非常ベルを全館に鳴動させ、参加者がエントランスに集合する手はずになっていました。しかし、年配の方が集合時間から5分程遅れてやってきて、「非常ベルが聞こえなかったので、消防訓練を実施しているのか集合場所に来てみた」と言われたのです。
  • その方のお部屋は共用部分に設置している非常ベルから遠く、かつ2重サッシを設置していること、また年配ということで聞こえなかったのではないかという結論にいたりました。しかし、これがもし本当の火災であれば逃げ遅れる可能性も高く、危険です。理事会にて改善策を考えることにしました。

目的

消防訓練で「非常ベルが聞こえない部屋がある」ことがわかり、防犯性・利便性・安全性の向上のため、改善策を考えることにしました。

実施内容〈バリューアップ〉

思案

  • 非常ベルを追加する →
    配線が露出配線となり美観上の問題がある。
    非常ベルを追加したところで聞こえるようになるのか疑問が残る。
  • 220号受信機にする → 専有部内や共用部で配線の引き直しが必要になり、現実的ではない。
  • インターホンを更新する際に、自動火災受信機で受けた信号を各戸内のインターホンに火災警報を鳴動させるシステム → 音声だけでなくインターホン親機に表示する文字や光で知らせるため、耳の不自由な方でも視覚で確認する事ができる。

以上のことから、インターホン更新と「簡易火災放送システム(※)」の導入を提案し、管理組合から承認され、工事を実施しました。

※ 簡易火災放送とは、火災が起きた際に自動火災報知設備と連動し、インターホン親機や住戸玄関子機から火災放送が流れるシステムです。

自動報知設備も同時更新く

簡易火災放送システムの導入と同時に、自動報知設備も改修することにしました。自動試験機能付きの感知器を導入することで感知器にアドレスが割り当てられ、例えば109-2と表示されれば、109号室のリビングで感知器が発報していると分かるように、全戸各部屋の感知器アドレスナンバーを統一し、住戸内のどの部屋の感知器が発報しているのか分かるという改修工事です。システム全体の導入費用は、1,200万円(税抜)でした。修繕積立金より拠出しています。

結果

  • 簡易火災放送システムの導入とインターホン更新を同時に行ったことで、火災等が起きた場合に、全館に鳴る非常ベルがインターホンを通して各住戸に一斉にアナウンスされることができるようになりました。また、各住戸においてガス漏れ等非常事態が起こった時には、管理室の親機に部屋番号がわかる形で警報が鳴り、住戸内のインターホンと通話で確認をすることができます。
  • 各住戸に新しいインターホンがついたことで、ロビーや住戸玄関前の来訪者を映像で確認することができ、防犯性が向上しました。
  • その後に行われた消防訓練では、非常ベルの動作確認をしたほか、インターホン設備の火災報知システムについて業者による説明が行われました。

苦労した点・工夫した点

住戸内のインターホン設備及び火災感知器・非常ベル(バルコニー側)の取り替えを行うため、一部住戸への入室作業が必要となります。そのため、工事説明会を開催し、居住者の理解を得る工夫をしました。

居住者の声

「インターホン更新と同時に自動火災報知設備も更新した事で、どの住戸内のどの部屋で出火しているのが解るのがいい」。「非常ベル以外にインターホンからも警報音だけでなく音声で知らせてくれるので安心」。「インターホン画面に警報の標記がでるのがいい」などの声をいただきました。

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受賞事例

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