工事部門(建物資産価値の向上)
佳作
団地内車輌等への犯罪、
団地内の違反駐車及び
それに伴う接触事故の防止対策
総合ハウジングサービス株式会社
大阪支店 森田栄様
※イメージ写真
背景
- 約27,000m2もの広さがある敷地内には管理棟を含め9棟、敷地への出入り口が2カ所ある団地です。出入り口にゲート等がないため部外者の出入りが可能な状況であり、駐車場も総戸数に対し約88%の附置区画状況でした。その結果、部外者や未契約者が自由に敷地内に出入りし、車路に無秩序に違反駐車する状態となっていました。
- 部外者が自由に敷地内に入ることができるため、犯罪問題が多々発生(車輌・バイクの盗難、車両付属品〈タイヤ・ホイール〉の盗難、車上荒らし〈小銭・カーナビ等〉、ガソリン抜き取り、ドアミラー破損やキー穴破損等の悪戯)。また、違反駐車によって契約車両や救急車等緊急車両の通行を妨げる状態や、ごみ収集ができない事態、死角が増えて人身事故の危険性が増大していることも問題でした。特に子どもの飛び出し等に気づかず、接触・人身事故も多々発生していたのです。
- そこで対策として、
- 物理的に駐車できなくするため、注意看板や駐車防止のプランターを設置しましたが、そのことが車路を狭くし、ますます対面通行の妨げになってしまいました。
- 管理組合や自治会役員が定期的に夜間巡回等を実施し、違反車両に注意書面を挟み込んだり、常習違反車両の写真公表を行ったりしました。しかしこれは、多大な労力と費用をかけたものの、逆に「車を触るな」といった苦情が出るなど十分に効果が上がりませんでした。また、罰則規定も設けましたが、私有地内での民事上の問題として強制力がないこともあり、実効性が伴わない状況でした。
目的
部外者車両が自由に敷地内に出入りできる状況のため、長年解決には至らなかったのですが、20年という節目に何とか根本的な解決をすべく、管理会社と管理組合がタッグを組んで専門委員会を立ち上げ、盗難等犯罪防止、交通事故防止、違反駐車撲滅を目指して具体案の検討を進めました。
実施内容〈バリューアップ〉
部外者車両が自由に敷地内に出入りできる状況を解消するための施策
- 敷地への出入り口2カ所にゲートを新設
- 車両の出入りを監視するために、ゲート部分に防犯カメラを設置
- ゲートは不正入場を排除するため、入場・出場記録可能システムを導入し、電車の定期券と同様のゲート通行用パスカードを契約1区画に1枚貸与(入場後に別の車を入場できないシステム導入)
- ゲートは、事故防止のため、高速道路同様に開閉が視認可能なバー方式を採用
- 緊急時にゲートを開放できるよう、インターホンで対応する遠隔操作機能を付加
敷地内の交通事故を防止するための施策
- 対面通行による事故防止のため、敷地内を一方通行に変更
- 2カ所のゲートを「入場専用」と「出場専用」に区分
- 既設の駐車禁止の看板やプランターを撤去し、より広く安全な敷地内車路を確保
- 逆走や誤進入防止のため標識・路面標示等を整備
- 歩行者専用通路を新設し、人車分離による安全確保
マンション訪問者への施策
- 配達や送迎用の業務車輌のため、外周各所に仮停車場新設(居住者の荷物の積み下ろし等に利用可)
- 入口ゲートで発券し、1時間以内は無料
駐車場使用料を含む管理費等未払い者への施策
- 駐車場使用契約者が駐車場使用料を含む管理費等を2カ月滞納した時は、登録番号を抹消。登録を抹消されると入場出場が不可能に
- 同じく滞納3カ月の場合は契約解除
規約および各種規定の整備
- 管理組合の法人化
- ゲート新設等に伴い、各種規定を整備
※イメージ写真
結果
- 計画開始から約2年の時間と多額の費用がかかりましたが、管理組合の「もう後には戻らない」という強い決意と居住者の理解協力もあり、無事完成しました。今思えば、いろいろな事がうまくかみ合ったよいタイミングであったと思います。あれから7年、今では違反駐車はなくなり、駐車場使用料を含む管理費等滞納もない状況となりました。
苦労した点・工夫した点
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居住者の声
「やっておいてよかったね」という声を聞く度に、ゲート開通式のテープカットシーンが浮かんできます。
※イメージ写真