佳作
某マンション築10年目
大規模修繕工事における
バリューアップ工事

株式会社長谷工コミュニティ
坪倉篤様

※イメージ写真

背景

RC造14階建て、総戸数約300戸のマンションで、築10年目に実施する予定の大規模修繕工事のコンサルとして関わることになりました。
そのマンションは10年目ではあるものの、今後居住者の高齢化に伴ってバリューアップ工事を実施するには資金不足が懸念され、資金の出せる若いうちにできることは全てやってしまいたいという管理組合の意向がありました。そのため、全組合員にアンケートを実施し、現在のマンションの不満点や改善要望等を取りまとめました。毎週委員会を実施し、アンケートで挙がった検討項目約40項目の中から、今やるべき工事、次回にまわす工事を振り分けることにしました。

※イメージ写真

目的

築10年目のマンションの大規模修繕工事にあたり、「資金の出せる若いうちにできることはやってしまいたい」という管理組合の意向を受け、工事内容を精査。結果として、利便性改善工事3件、環境改善工事8件、防災拠点整備工事4件、計15件のバリューアップ工事を計画しました。

実施内容〈バリューアップ〉

利便性改善工事

［利便性改善工事　内容］

風除室外扉の自動ドア化（開き戸で、風の強いときなど開けづらかった）……両側の羽目殺し部分を残し、開き戸部分のみをエンジンスライドドアにすることで、コストダウンを図りました。
集合玄関のハンズフリー化（開錠するにはキーをバッグ等から出して差し込む必要があった）
ごみ置き場入り口のハンズフリー化（降雨中のごみ出しの際、濡れずにごみを出したい）……ごみ置き場の内開きドアをハンズフリーシステムで開錠し、ごみを両手に持ったまま体を扉に押し付けることでごみ置き場に入れるようにしました。

環境改善工事

［環境改善工事内容］

共用トイレ増設工事（共用トイレが１箇所で男女兼用だった）……既存の自動販売機を移設。既存トイレと自動販売機置き場を合わせて２箇所のトイレを設置し、男女別としました。
共用照明のLED化（省エネのための間引きに不満）
建物内、敷地内の手すり設置（補助手すりのない段差箇所に設置の要望）
ペットルーム・洗車場改修（ペットルームの可動性向上、冬の洗車がつらくないように）……別棟のため、新規にガス配管を敷設するコストを考慮し、プロパンガスによる給湯を行い、ペットルームと洗車場に給湯。
荷さばきスペースの設置（配達車両等の駐車で車路の歩行の安全性に配慮）
車両転回スペース拡幅・ミラー設置（車寄せが狭い、駐車場出入り口からごみ置き場前の横断歩道の人が確認しづらい）……植栽部を一部削り車両転回スペースを拡幅、カーブミラーを設置することで横断中の人を確認しやすくしました。
平置き駐輪ラック新設（２段ラックの上段が使いづらい）……駐輪場の一部の２段ラックを、平置きと使い勝手の遜色がない駐輪ラックに改修。
喫煙スペースの設置（サブエントランス横にあり見苦しい）……周囲をプランターで囲い、エントランス内からは見えにくいようにグラデフィルムをガラスに張りました。

防災拠点整備工事

［防災拠点整備工事内容］

ホワイエ噴水広場側サッシ改修工事（防災拠点である噴水広場への出入りがしづらい）……強風時に開閉のしにくい折れ戸サッシを引き違いに変更。
噴水広場オーニング設置（防災拠点の噴水広場に日よけ、雨よけがない）
防災倉庫設置工事（防災備品の収蔵庫が無い）……確認申請の不要な規模の防災倉庫を防災拠点に設置。
かまどベンチ設置（災害でガス・電気が止まった場合、煮炊きができなくなる）

結果

外壁の仕上げ等については、次回の大規模修繕工事を15年後に実施することを見越した仕様を組み込みました。また、着工後にタイルの浮きが想定以上あることが判明し、その工事金額を捻出するためにいくつかの項目は実現できませんでしたが、当初計画のバリューアップ工事の目的は概ね達成でき、管理組合にも高評価を得ました。