佳作
補助金制度の活用と
工事完工への取り組み
【玄関扉／サッシ更新工事】

株式会社東急コミュニティー
角田航太郎様　渡邉航貴様

背景

築41年、総戸数403戸のマンションで、玄関扉・サッシに不具合が見受けられるようになりました。高齢の居住者が多くいらっしゃるので、玄関扉とサッシの経年劣化による開閉のしにくさや重さも問題となっていました。
資産価値向上のため、各戸のサッシ・玄関扉改修工事を理事会にて検討しました。特にサッシについては、指定のペアガラス仕様にすることにより、経済産業省支援の補助金を受領できる可能性があるため、管理会社より理事会に補助金利用の提案を行いました。
ただし、この補助金受領には条件があり、申請時に全戸実施の内容で申請を行っていることから、403戸の居住者全員に工事完工へのご協力を頂く必要がありました。全戸の工事が実施できなかった場合は、補助金がおりない、または、補助金が減額されてしまうリスクがあります。

目的

築40年を超えたマンションで、玄関扉とサッシの劣化が顕著になってきました。資産価値向上のため、これらの交換を行うにあたり、補助金制度を活用することとしました。

実施内容〈バリューアップ〉

玄関扉・サッシの更新による資産価値向上

劣化による不具合が生じていた玄関扉とサッシを新しく機能性の高いものに交換しました。特にサッシについては、防音性能や断熱性能が高いペアガラスを採用することによって、補助金を受けることができる可能性があります。もともと二重サッシ仕様の住戸は、以下の3つの理由により外側のみの交換としました。

［玄関扉・サッシの更新による資産価値向上内容］

補助金が適応されるサッシは外側のみであるため
二重サッシ住居は専有面積とは関係性がなく、内窓の改修を修繕積立金で支出すると公平性に疑問があるため
本来内窓は専有リフォームで改修するのが一般的であるため

補助金制度の活用による修繕費用の削減

一般社団法人　環境共創イニシアチブによる補助金（補助金名：住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金）を申請することを前提に、総会に上程・承認を頂きました。しかし、専有部分に関わる工事であるため、30分ほどの工事前実測調査と、5時間ほどの工事実施の際に在宅いただくこと、サッシ・玄関扉付近や資材搬入経路の片付けをお願いすることなど、各戸の協力が不可欠です。全戸の工事が完了できなかった場合、補助金が下りない可能性がありました。

結果

工事実施により、滑らかな開閉性の実現のみならず、断熱・防音性能の向上、防犯・防災性能の向上に成功しました。
補助金制度の活用により、工事金額（約3億3,000万円）の約1／4もの補助金（約4,500万円）を受領することに成功しました。削減できた修繕費用分に関しては、今後予定されている排水管更新工事等に支出を行っていく方針です。

苦労した点・工夫した点

着工後、約20人の居住者が工事に際してのお部屋内への立ち入りを拒否していました。工事を拒否される理由としては「自分は今の生活環境に満足している」、「静かに生活したいから部屋に入ってきて欲しくない」という内容でした。ですが、補助金受領のためにご協力頂かなければならないことから、理事会役員と連携し、立ち入りを拒否されている居住者のお部屋に訪問し、「玄関扉・サッシは共用部分でマンション全体の資産であること、全戸実施出来ない場合は数千万円の補助金受領に影響が出てしまうこと」、また、「玄関扉・サッシを交換することにより防音性・断熱性等が大きく向上すること」を直接説明し、無事全戸からの同意を得ることができました。

居住者の声

理事長の感想：
管理会社と当時の役員の努力で思ったよりスムーズに施工できたと思っています。ただ、400戸を超える所帯があると苦労した場面もありました。「どうしてもウチはやらなくていい」と言い張る人がありました。そこは東急さん、私や副理事長ほかで直接、説得しましたね。100％施工できたことは誇りです。
工事完了後の住人の評価は「優」です。「不可」というのを私は聞いたことがありません。実際、防音や遮熱に優れ、より快適になりました。勿論、資金的にも助かりました。

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