工事部門(建物資産価値の向上)
部門賞
省エネ・創エネで共用部分電気代を97%削減
西京極大門ハイツ管理組合法人
理事 佐藤芳雄様
背景
- 西京極大門ハイツは1976年に建設された7階建て190戸のマンションです。建築後9年目に管理組合が負担した共用部分の電力の年間使用量は80,543kw、電気代は年間2,798,005円で、当時の年間管理費総額の20.6%を占めていましたが、当時問題が顕在化することはありませんでした。
- 第一回の大規模修繕工事が迫り、修繕積立金の値上げが必要になりました。そこで、管理費会計の見直しによって経費を圧縮し、負担を抑制できないかと検討することに。まず、浄化槽設備の電気契約容量を72kwから44kwに変更。これによって、電気料が年間40万円近く削減できたうえ、電気設備保安管理委託料も不要になり、大きな削減効果が生じました。
- これを契機に、それまで「変わらないもの」と思っていた電気料に、大きな削減効果があることを実感。管理組合で、日常の中で不要な電気が使われていないか点検し是正する取り組みが始まりました。
目的
管理費会計の見直しの一環として、電気料の削減を長年にわたって様々な手法で試みてきました。単に電気料を減らすだけでなく、省エネ・創エネにも関心を持って取り組んでいます。
実施内容〈バリューアップ〉
改修時には、省エネタイプの機種を
共用灯について照度センサーを導入し、年間40万円ほどを削減しました。さらに、エレベータ設備の更新時には省エネタイプの機種を選定。給水設備の改修時には、高架水槽を廃止し給水加圧方式に転換して、電気使用量と契約容量の縮減に取り組むなど、徐々に削減が進みました。
高圧一括受電を導入
2006年には高圧一括受電の導入を実施しました。関西電力の京都・滋賀管内で最初の高圧一括受電切り替えマンションでしたが、総会決議も無事終了し、全戸の個別切り替え手続きも1週間ほどで完了。担当者も驚くほどの円滑な切り替えで、地元紙でも取り上げられ報道されました。
LED照明への転換
2009年以降、全ての照明のタイプと消費電力・点灯時間を管理組合で調査して、設備費用と削減される電気料を計算。LEDへの転換によって経費負担削減に繋がるものを抽出して、順次転換工事に取り組みました。
太陽光発電設備を設置
2013年度に臨時総会を開催して、出力15kwの太陽光発電設備の設置を決めました。年間2万kw近くを発電し、エレベータや揚水ポンプ設備など低電圧設備の運行に必要な電力をほぼ賄えるレベルです。売電料については、マンション管理組合としては珍しく設備費の減価償却処理を行って実質的な運用コストの削減を図っています。
外壁外断熱工事とエコガラス改修工事
Aハイツでは、外壁外断熱工事やエコガラスへの改修工事を通じて、住戸部分では京都市民の平均使用エネルギー量の2/3にまで電気・ガスの使用エネルギー量を低下させることができました。これは、京都市から先進的な取り組みであるとして京都環境賞を授与されています。
結果
- マンション内での照明や設備の運行は変わらないものの、2018年度では年間電気使用量が7,144kw、電気料は76,718円まで低下。低電圧の契約容量も72kwから23kwまで低下しています。この状態は、27年前に年間2,798,005円で管理費の20.6%を占めていた共用部電気料は、何と0.7%まで縮減できました。
- 政府は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の推進を目指しており、2030年度までに新築住宅のほぼ全てをZEHにすることを目指す方針といわれています。マンションのような大規模集合住宅で、共用部分の電気代を削減した取り組みの先鞭を成す事例といえます。
苦労した点・工夫した点
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居住者の声
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