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- 2010年秋号
◆地震大国ニッポン
日本には、政府の特別機関のひとつである「地震調査研究推進本部」(以下:地震本部)が文部科学省に設置されています。地震本部では、わが国の地震調査研究の成果として、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を表した地図を公表しています。
一方で、世界でも最高の技術を誇るわが国の地震調査研究でも、まだ解明できていない地震が多く存在し、とくにM7クラスの直下型地震は日本のどこにでも起こる可能性があるのですが、いつ起こるかは予測できません。つまり確率論で低い評価である地域であっても安心はできないのです。過去に大きな地震に見舞われた被災地で「ここには大きな地震は来ない」と思われていた被災者がどれほどいたことでしょう。
もともと日本は、震度1以上を観測する有感地震は年間およそ2000回(気象庁の震度データベース)も発生している地震大国ですが、地震の活動期にある今日は、「日本で地震が起きない場所はない」という事実を忘れずに、大地震や巨大地震に備える時期といえます。
◆マンションの防災を考える
マンション防災を考えるとき、管理組合で問題とされるのが「居住者の防災意識をいかに高めるか」ということです。つまり、マンション防災がなかなか進まないという管理組合は、参加者が少なく、マンション全体の共通意識をつくるのが難しく苦労されているようです。
◆地震発生の際の被害状況
地震が発生した際にマンションにどのような被害が出るかについて、多くの方が関心のあるところだと思います。これを調べようと思えば、書籍だけでなく、インターネットでも過去の地震のマンションの被害について、簡単に情報を得ることができます。
いま住んでいるマンションの被害を予測するには、市町村の役所で地域のハザードマップ(※洪水や地震などの災害発生時に、被害の予想区域や規模、避難場所などを示した地図で自治体が作製している)から地域の災害特性(揺れやすさ・液状化・がけ崩れなど)の情報を得ます。市町村のホームページでも公開されていますが、公開されていない場合は「国土交通省ハザードマップポータルサイト」( http://disapotal.gsi.go.jp/bousaimap/)で日本中のハザードマップを閲覧できます。
これらの情報と、いま住んでいるマンションの構造や設備の耐震性を鑑(かんが)みて、地震に遭った際の被害を予測します。防災は、この時点でいかに現実的に具体的に被害予測できたかが重要であり、地震発生時の基本行動や避難方法、災害時に必要な備蓄品の内容、防災訓練の内容の精査など、様々な対策に大きな影響を与えます。実践的な対策につながるか、はたまた形式だけで現実の被害とかけ離れた対策になるかの分かれ道となります。