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  • 2016.10.03掲載

外国人の居住

横浜市立大学国際総合科学部教授 齊藤広子

海外の人が増えてきたようだな…「Hello(ハロー)」って声をかけたら、「Bonjour(ボンジュール)」と返ってきた。
英語だけでなく、フランス語、それにドイツ語や中国語を話す人がいるらしい。いろんな国の人が住んでいるんだな。
それに隣の人は、2年間ロンドン勤務だというし、これが国際化というものだろうか。
あまり多く海外の人がいたり、賃貸で入る人が増えると不安だから、禁止したりできないのかな。


◆外国人の居住

 そんなことを考えている人がいるのですね。道を歩いていても、電車に乗っていても本当に海外の人を多く見かけるようになりました。大学も国際化です。海外からの留学生もいますし、学生の短期や長期の留学も多くなりました。私の同僚にも、フランスから来られた人がいて、英語で授業をされています。
 いま、日本に223万人(2015年末現在)の海外の国籍の人が住んでいます。留学や転勤といった短期の居住予定の人もいますし、長く住む人もいます。日本語を話し、聞け、読め、書ける人から、そうでない人もいます。ですから、いま、街を歩いていても、日本語の表記以外に、様々な言語の表記を見ることがあります。
 まさに国際化ですね。しかし、住んでいた国が違うと言葉だけでなく、文化、習慣、制度等も違ってきます。マンションに住むということは、ホテルにいるのとは違い、日本の文化を理解してもらうとともに、そのマンションのルールも理解してもらうことが大事になります。

◆外国人の居住や賃貸の禁止は可能?

 冒頭のようなことを考えている人がいるらしいので、早速、マンションで賃貸を禁止できるのか、さらに外国の人への賃貸を禁止できるのかを考えてみましょう。
 まず、マンションで賃貸の禁止ですが、これは、そこまでの個人の財産権を制限することはできないと考えられています。
 そして、「外国人の居住の禁止は可能か」ということですが、こうしたルールをつくっても、やはり無効と考えられています。
 もし、ごみの分別が守られていない、夜中に騒ぐなどがあれば(日本人にもありますが…)、ルールを理解されていないことが原因となっている可能性があります。ですから、管理規約もそうですが、生活上のルールを理解してもらう必要があります。