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  • 2014.03.28掲載

特集 4月1日スタート! マンション管理組合の消費税率引上げに関する注意点

公認会計士 吉岡順子

⑤ 資産の貸付け(不動産賃貸取引、リース取引)には経過措置が適用される
Q35
資産の貸付けの税率等に関する経過措置の概要を教えてください。

A35
平成8年10月1日から指定日の前日(平成25年9月30日)までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、当該契約の内容が次の「① 及び②」又は「①及び④」に掲げる要件に該当するときは、施行日以後に行う当該資産の貸付けについては、旧税率が適用されます(改正法附則5④、改正令附則4⑥)。 ただし、指定日以後に当該資産の貸付けの対価の額の変更が行われた場合、当該変更後における当該資産の貸付けについては、この経過措置は適用されません。 ① 当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。 ② 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。 ⑟ 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額(利子又は保険料の額を含む。)の合計額のうち当該契約期間中に支払われる当該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が100分の90以上であるように当該契約において定められていること。 なお、事業者が、この経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡等を行った場合には、その相手方に対して当該課税資産の譲渡等がこの経過措置の適用を受けたものであることを書面で通知することとされています(改正法附則5⑧)。 解説
事務機器等の資産を賃貸借する場合は、平成8年10月1日から平成25年9月30日までに締結した契約に基づき、①および②、または①および③の要件を満たす場合には、旧税率(5%)が適用されます。
自動契約条項のある賃貸借契約で、例えば、解約する場合は貸付期間満了日の○月前までに申し出ることとされている場合、解約申出期限を経過したときに当事者間の合意、すなわち新たな契約の締結があったものと考えるのが相当のため、指定日の前日までに解約申出期限が経過して自動継続された契約に基づき、施行日前から施行日以後引き続き貸付けを行う場合には、その自動継続後の貸付けで施行日以後行われるものについてこの経過措置が適用されます。


Q42
資産の貸付けに係る契約において、資産を借り受けた者が支払うべき消費税相当分について「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨を定めている場合の当該定めは、改正法附則第5条第4項第2号に規定する「対価の額の変更を求めることができる旨の定め」に該当しますか。

A35
改正法附則第5条第4項《資産の貸付けに関する税率等の経過措置》に規定する経過措置の適用要件の1つとして、同項第2号において「対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」が掲げられています。
照会のような「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めは、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定め」に該当しないものとして取り扱われます(経過措置通達17)。
したがって、資産の貸付けに係る契約において「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めがあったとしても、当該契約の内容が他の要件を満たす場合には経過措置が適用され、新税率が適用されないこととなりますから、結果として、当該契約に定める「消費税率の改正があったとき」には該当しないこととなります。
なお、経過措置の対象となる資産の貸付けについて、当該資産の貸付けに係る契約における「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めに基づき、指定日以後に賃貸料を変更した場合には、変更後の資産の貸付けについては経過措置の対象となりません(改正法附則5④ただし書)。

解説
経過措置の対象となり旧税率が適用されるかどうかは、平成25年10月1日以後に、資産の貸付けの対価の額が変更された場合を除き、契約の条項として、A35の三要件のうち、①および②、または①および③のいずれかに該当するかどうかで決まりますが、契約書に、消費税率の改正により改正後の税率による旨の定めがあっても、②の要件を満たします。
ただし、平成25年10月1日以後に、消費税率の改正により賃借料そのものを変更した場合には、②の要件を満たしておらず、経過措置の対象とはなりません。