- 2014.03.28掲載
1 はじめに
まもなく、平成26年4月1日から、消費税率がこれまでの5%から8%に引き上げられます。
これは、経済再生を進めながら財政再建との両立を図っていくことの重要性並びに増大する社会保障の持続性と安心の確保及び我が国の信認維持といった社会保障と税の一体改革の趣旨を踏まえつつ、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うことを目的としたものです。
消費税は、財またはサービスの消費一般に広く公平に課税する間接税です。ほぼすべての国内における商品の販売、サービスの提供及び保税地域から引き取られる外国貨物を課税対象とし、取引されるごとに課税されます。消費税は、事業者に負担を求めるものではなく、税金分は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて、次々と転嫁され、最終的に商品を消費し又はサービスの提供を受ける消費者が負担します。
この消費税率引上げは、管理組合の皆さんにも少なからず影響が及ぶものと思いますので、どのような点に影響があるのか、解説してみたいと思います。
2 消費税法等改正概要
平成24年8月に「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正されました。主な改正内容は次のとおりです。
1◆消費税収入の使途が明確化されました
国分の消費税収入については、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費(社会保障4経費)に充てるものとされました。
(注) 地方消費税収入(引上げ分)及び消費税収入に係る地方交付税分については、社会保障4経費を含む社会保障施策に要する経費に充てるものとされています。
2◆消費税率を引き上げることとされました
消費税率及び地方消費税率について、次のとおり2段階で引き上げることとされました。
※ 経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、消費税率引上げの前に、経済状況等を総合的に勘案したうえで、消費税率の引上げの停止を含め所要の措置を講ずることとされています。
※ 引上げ後の税率は、経過措置(「5 税率引上げに伴う経過措置」参照)が適用されるものを除き、適用開始日以後に行われる資産の譲渡等について適用されます。
3◆特定新規設立法人に係る事業者免税点制度の不適用制度が創設されました
【制度の概要】
その事業年度の基準期間(注)がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人(新規設立法人)のうち、次の①、②のいずれにも該当するもの(特定新規設立法人)については、当該特定新規設立法人の基準期間のない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されないこととなりました。
(注) 「基準期間」とは、原則として、その事業年度の前々事業年度をいいます。
②上記①の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。
【適用開始時期】
平成26年4月1日以後に設立される新規設立法人で、特定新規設立法人に該当するものについて適用されます。
4◆任意の中間申告制度が創設されました
【制度の概要】
直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税額を含まない年税額)が48万円以下の事業者(中間申告義務のない事業者)が、任意に中間申告書(年1回)を提出する旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合には、当該届出書を提出した日以後にその末日が最初に到来する6月中間申告対象期間(注1)から、自主的に中間申告・納付(注2)することができることとされました。
(注1) 「6月中間申告対象期間」とは、その課税期間開始の日以後6月の期間で、年1回の中間申告の対象となる期間をいいます。
(注2) 中間納付税額は、直前の課税期間の確定消費税額の1/2の額となります。また、中間納付税額と併せて地方消費税の中間納付税額を納付することとなります。
なお、任意の中間申告制度を適用する場合であっても、仮決算を行って計算した消費税額及び地方消費税額により中間申告・納付することができます。
【適用開始時期】
個人事業者の場合には平成27年分から、また、事業年度が1年の法人については、平成26年4月1日以後開始する課税期間(平成27年3月末決算分)から適用されます。