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- 2014.04.01掲載
その1 集会室をフル活用! 読書室は手作り図書館に
その2 集会所で高齢者サロン開いて、独居老人対策につなげた活動を
その3 住み込みの管理員が使用していた部屋を改装して、居住者間の交流の場に
東京都文京区にある、総戸数128戸のマンションです。昭和53年竣工時から管理員は住み込みで常駐していました。管理員住居部分は50㎡弱の2DK。20年を経た平成12年、時代の流れもあり管理員の勤務形態を住み込みから通勤管理に変更しました。
その後、管理員住居部分は空いたままに。規約共用部分でありながら、約13年もの間、だれも利用しない状態となっていました。この間に管理組合の意識も向上します。耐震補強、防犯性能向上を目的の工事の一環として、放置されていた空間、以前の管理員室に改善の手が加えられることになります。
◆内装グレードアップの一環で管理員住居を集会室へ
このマンションは、駅近くで人通りが多い立地で、建物は外部からも出入りしやすい構造になっていました。防犯上もよくないということから玄関扉をつけ、それとともに管理組合のこだわりによってエントランスから管理事務所までの内装をグレードアップし変身させました。
完成は昨年(平成25年)2月。2DKの管理員住居部分は「banquet room」と名付けた宴会室・集会室へ生まれ変わりました。
総会は近隣の地区センターを利用していましたが、これからは総会、理事会はもちろん、サークル活動など「banquet room」で行います。それまでに理事会を行っていた20㎡弱の狭い「会議室」のスペースは、管理組合の資料室や倉庫として活用していくそうです。
◆管理組合と管理会社が協力して規約を設けて、スムーズな運営を維持
「banquet room」の利用にあたっては、約4年前に管理委託を受けた管理会社が管理組合とともに「○○マンション集会室利用規則」を作成し、平成25年6月の総会で承認を得たものを使っています。
理事会が承認した行事であればマンション居住者以外が参加することもできるとしています。利用の手続きとしては、申請を管理員に行い、管理員が理事会へ報告して理事会の許可を得なければなりません。また、規則では、管理員は利用者の原状回復が不十分と判断すれば、利用者に再度の原状回復を指示できる、とあります。
管理員を管理組合の諮問機関とも規定しています。鍵の貸し出し・返却に携わる管理員が、他の利用者が不快に思うような利用に対して、管理組合として把握できない部分を想定し、管理員が集会室の利用状況を管理組合に諮問しなければならない規定を設けているのです。
今回のエントランス・管理事務所のグレードアップ工事は、大規模修繕工事の一環ではない「耐震補強、防犯性能向上を目的とした単独工事」です。工事にかかる費用は、すべて修繕積立金よりねん出されました。
管理組合が大規模修繕工事の前に奮闘した結果といえます。13年間も固定資産税を払いつつ、不要の空間だったわけですから、早いうちに住民を説得して工事を始めてよかったのではないでしょうか。
利用状況については、正式な運用が開始されてからまだ半年ほど経過したばかりで、現在は、主に理事会の会議で利用されています。利用が盛んになるのは、これからのようです。