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  • 2016.01.04掲載

◆「マンションのWa」+「いい話コンテスト」でマンション価値の見える化を

管理会社は、マンション管理組合の最も良きパートナーであり、常に寄り添う存在でなければなりません。

このため、マンションのコミュニティ形成を促し、安心・安全で快適に長くお住まいいただくことを目的に昨年1月、ポータルサイト「マンションのWa」を立ち上げました。 「マン活最前線」と題して、個別マンションの高齢居住者支援、防災や防犯活動、居住者間の顔の見えるつながり作りや大規模修繕の実施に向けた役員の奮闘など、様々な取り組み事例を紹介するもので、多くの管理組合の参考にしていただいております。

また、12月に「マンションいい話コンテスト」を実施。マンションの現場で起こった悲喜こもごものエピソードを広く一般から募集したところ、1,015通もの応募が寄せられました。それぞれが味わい深く、マンションライフの良さ、人と人とが集まって住み、ふれあう中から生まれた感動体験です。選考に大変苦労しましたが、入選作品はミニドラマ化して「You Tube」などで一般公開しました。「すてきなマンションライフ、マンション価値の見える化」の発信をしてまいります。

また、管理組合をバックアップする活動として、2017年4月に予定される消費税率10%への改定を見据え、昨年8月、国土交通大臣宛に税制改正要望書を提出しました。その第1は「管理組合が行う大規模修繕工事に軽減税率の適用を」、第2は「マンション区分所有者が負担する固定資産税・都市計画税に軽減措置を」です。残念ながら国土交通省の税制改正要望には反映されませんでしたが、引き続き計画的な修繕が可能となる修繕積立金の確保や共用部分に対する助成措置実現に向け、積極的に活動していきます。

こうした活動の一方、管理会社の法令遵守の徹底、コンプライアンス体制の整備や内部監査体制のさらなる強化が求められることは申し上げるまでもありません。特に管理組合の財産をお預かりする重要な業務において、財産を毀損させる事故はあってはならないことです。昨年、全会員を対象とする特別研修会を実施し、「管理組合財産の毀損事故防止に関する想定事例とリスク低減策等」をとりまとめ、会員各社に通知しました。

さらに、管理会社の資質向上、特に実務を担当する従業員のスキル向上は重要な課題の一つです。一昨年、東京大学の大橋教授から発表された委託研究の成果である「定期的な教育訓練の実施はフロント業務担当者のモチベーションの向上にとって重要」との示唆もふまえ、現場の実態に即した研修プログラムを構築すべく取り組んでおります。

2016年度には、WEB版「マンション管理基礎講座」を開講します。「いつでも、どこでも、何回でも学習できる」というコンセプトのもと、動画付きの新たな講座としてスタートします。若手職員に向けた海外(アジア)研修も引き続き実施します。

防災・減災への取り組みも重要なテーマです。前述のマンション標準管理規約改正案では、災害などの緊急時に理事長が総会または理事会決議によらずに必要な保存行為が行えることや、管理組合の防災活動が管理費の使途に含まれることが明確化されました。この点は大変時宜にかなったものと評価できます。管理組合は、大規模災害の発生時における対応方針をあらかじめ決めておくことが重要です。管理組合の震災対策に役立ててもらうため、当協会でも「地震からマンションを守る」を発行しておりますが、昨年、管理会社フロント社員用のマニュアルを改訂し、管理組合が防災計画を作成する際に管理会社のスタッフがより具体的に助言できるよう内容の充実化を図りました。

◆マンション管理業の中長期ビジョンの策定を

国土交通省の推計によると、築50年超のマンションは2010年の1万戸に対しその20年後の2030年には94万戸にまで急増し、総務省の人口推計によると75歳以上の後期高齢者人口は2025年に2,179万人、我が国人口の約2割にまで達するということで、マンションにおける建物と居住者の高齢化は、今後ますます大きな問題となります。このようななかで、コンパクトシティやマンションの地方圏の拡大も進んでいきます。

当協会では、「マンション2025ビジョン懇話会」(座長:齊藤広子・横浜市立大学教授)から昨年3月にマンションに長く安心して住むための課題の整理と今後の取り組み方について提言をいただきました。これをさらに推し進め、マンション管理業が今後の日本社会の変化にどう対応していくか、2025年問題に向けての動きを加速したいと思っております。

このため、年末より耐震補強工事と機能向上を合わせて実施するリファイニングなど、マンション再生の研究に着手したところです。また、高齢化等に起因するトラブル対応や認知症問題に関する啓発活動についても、関係委員会で検討を開始いたしました。

さらには、こうした社会的要請に応え、今後、業界が高度な管理サービスを等しく提供できる管理システムや共通のプラットフォームづくりなどにも取り組み、これによって会員会社に対する利益実感にも通ずる施策を講じていく所存です。本年は、これら諸課題の検討を進めつつ、業界としての中長期ビジョンの策定に取り組みたいと思っています。

最後になりましたが、読者の皆様のご健勝とご発展を祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。