- 特集
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新春インタビュー
- 2014.01.06掲載
◆住生活総合サービス業の推進に必要なもの
当協会は数年前より、従来の管理業務にとどまらない「住生活総合サービス業」としてのマンション管理業を目指しています。
マンション管理業には、ハード、ソフト、そしてハートの3つの側面があると思っています。その中の「ハート」の部分をどう推進していくかが、住生活総合サービス業の浸透の鍵を握っているのではないでしょうか。例えば、耐震性に脆弱な老朽マンションの建て替え等を進めやすくするために、決議要件を「5分の4から引き下げる」ということも検討されています。しかし、それを強行することは反対者を増やすことともなり、後に訴訟が起こり補償問題になるケースが増加するかもしれません。日本人のコミュニティには「和を以って尊しと為す」という特性があり、合意形成のプロセスが非常に重要です。大規模修繕や様々な規約改正などの場面で意見を押し通してしまうと、次の合意形成の場面で互いの溝を作る結果となってしまいます。
そこで必要なのは「ハート」、心を通わせ理解を深めることです。合意形成に成功した事例は実際に数多くあります。マンションは個人主義の塊だという批判もありますが、そんなことはありません。特に、「3・11」以降は、人と人との「絆」に対する意識が目覚め始めました。管理会社はその「ハート」の部分、つまり健全なコミュニティをファシリテート(促進)する役目を持っていると思います。管理会社が持つ多くの事例や情報をコミュニティの育成に活かすことができる。それは非常に望ましいことだと思っております。
◆取り組みを「見える化」する
健全なコミュニティの育成を推進する一つの手段として、良い事例を協会が表彰する方法があると思います。防災、高齢化対応、子どもの見守りなど、地域と一体となった活動に積極的に取り組んでいる管理組合の活動を表彰するのです。マンションの中には社会が抱える様々な課題が見受けられます。活動を表彰する場を設けることで、社会にその取り組みとプロセスを「見える化」して示すことができます。
我が国は既に超高齢化や在宅介護への対応など、大きな社会的課題に目をそむけてはいられない時期にきています。ハード、ソフトも大事ですが「ハート」への注目が高まりつつあるのです。それは、互いの絆を深めようという活動が、マンションで住まう皆様の間に広がっていることにも表れています。創意工夫に富んだ取り組みに焦点を当てた表彰をぜひ実現したいと思います。
◆皆様のお力になれるように
最後に、私たちマンション管理業協会の会員各社は、管理組合の皆様の大切な財産である建物(ハード)、資金(ソフト)、そしてコミュニティ(ハート)を守り、より良い暮らしをサポートしてまいりたいと考えております。東日本大震災被災地の皆様をはじめ、様々な課題を抱える数多くのマンション管理組合の皆様のお力になれるよう、力を尽くしていく所存です。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。