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  • 2012年夏号

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明海大学不動産学部教授 齊藤広子

◆アンケート、面倒だな……

「住戸内アンケートにご協力のお願い」だって。面倒だな。どうせアンケートだ。答えなくていいはずだ。放っておこう。

「すみません。アンケートにご協力いただきましたか? 今後、大規模修繕を実施するので、それに先駆けて皆様にアンケートをお願いしています。各住戸の中の様子もお知らせください。」

え? だって、住戸内は全部俺の物だから俺の勝手じゃないの?それに共用部分の修繕は、お金を払えば何もしなくていいのでしょ??

◆マンションの大規模修繕

大規模修繕の実施に向けて、管理組合が動き出したようです。大規模修繕とは、一定期間の経過ごとに行う計画修繕のなかでも、大規模な工事が伴い、多額の費用が掛かるものです。具体的には、外壁の修繕、屋上防水工事、給排水管の工事などをいいます。こうした一連の工事ですが、マンションの場合には生活をしながら施工しなければならないので、居住者の協力が不可欠となります。

◆大規模修繕の進め方のステップ

●第1段階:取り組む体制づくり
大規模修繕専門委員会(修繕委員会)を理事会の諮問機関としてつくります。もちろん、理事会で取り組んでもよいのですが、計画途中で全理事が交替し、振り出しに戻ることは避けましょう。すでに大規模修繕に取り組んだマンションでは、約4割(特に大規模マンションでは必須)が専門委員会をつくって取り組んでいます。

●第2段階:修繕工事の計画づくり
どのような修繕を行う必要があるのかを、建物診断、居住者へのアンケート調査から修繕の必要箇所と程度を把握します。その結果を、居住者に報告し、建物劣化の状況、修繕の必要性について居住者の理解を深めていきます。さらに、どんな修繕をするかを話し合い、基本設計を行います。必要に応じて、説明会を開催し、総会で修繕計画の承認を得ます。
冒頭のアンケートはこの段階の調査だったのですね。

●第3段階:修繕工事の決定工事の具体的な内容を検討するため、図面や仕様書などの設計図書を準備します。工事の実施方法、工事内容、施工会社等を決め、工事発注の承認を得るための総会の決議を行います。
修繕実施には総会決議が必要となります。工事内容の検討、金額の見積もり、業者・施工者の選定を行い、修繕積立金の取り崩しを、総会で諮ることになります。

●第4段階:工事の実施・完了工事の説明会を実施し、居住者全員、また不在所有者に対しても工事の協力を求めます。工事が始まれば、工事関係者と管理組合は定例会などを開き、情報交流をするとともに、居住者にも広報活動を通じて、工程に対する工事の進捗状況を知らせることになります。
工事が終わると、検査・竣工図書の受け取り、工事費の精算、竣工後の定期点検、アフターサービスなどの内容を確認し、今後の修繕のために、修繕の情報をストックしておきましょう。