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  • 2011年春号

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明海大学不動産学部教授 齊藤広子

◆何が起こっているんだ!

ガガガー、ガガガガー、ガガガー、ガガガガー、地震か? 地震にしては、なんかすごい壁や床に響く振動だ! 何だ。何が起こったのか!?

一体どこの部屋の人なの? 乱暴な資材の運び方をしている業者を雇ったのは? エレベーターの中も共用の廊下もあちらこちらに資材をぶつけた跡があり、傷だらけ。

え? 何? この○○リフォーム会社の車? 私の駐車場になぜ勝手に置いているの?わが家の玄関扉をガラス入りのものに変えたら、管理組合に叱られた。なぜなの? どうして?

◆マンションリフォームのトラブル

マンションの専有部分のリフォームにまつわるトラブルは、平成20年度マンション総合調査によると、過去1年間に5・4%のマンションで、発生しています。

築年数が浅いマンションではリフォーム工事はまだ少ないかもしれませんが、築年数が経ってくると家族構成や年齢の変化に伴うリフォーム需要が出てきます。住みなれた環境の中で、新たな間取りや内装にして暮らす、それはとても魅力的なことですね。

また、中古住宅として購入した人たちが入居前に大掛かりなリフォーム工事をすることも増えています。

豊かな住生活へとつなげていければ本当にいいですね。

でも、忘れてはいけないのが、マンションの住戸は各区分所有者の所有ですが、何でも自由にリフォームすることはできないということです。マンション居住者がお互いに快適に、そして安全に暮らすには、各マンションのルールを守ることが必要なのです。それはなぜでしょうか? 困ったリフォームの工事事例を見てみましょう。

◆困ったリフォーム工事事例

①構造に影響を与える工事
隣の住戸を購入し、2つの住戸をつなぐために勝手に壁を取り除いた事例や、ユニットバスを入れるために梁はりなどの建物の大事な躯体を解体した事例があります。これでは、建物の構造に影響を与え、安全性が低下します。

②全体の防火性が低下する工事
区分所有者が、玄関ドアを和風にしたいとガラス入りドアにしたり、ベランダを囲う事例があります。これは、共用部分であり、個人で勝手に改造できないだけでなく、マンション全体の防火性が低下することがあります。

③近隣住戸に迷惑となる工事内容
リビングが絨じゅうたん毯敷きだったものをフローリングにしたら、下の階の住戸に大変響き、大きなトラブルになった事例があります。

④共用部分への配慮不足
リフォーム用の資材搬入により、共用部分を傷つける、工事作業員の車がマンション内に不法駐車となっている、あるいは多くの工事作業員の出入りで、マンション内に見知らぬ人が多く出入する等が問題となっている事例があります。

⑤近隣生活を脅かす工事の仕方
床を解体する、間仕切を撤去する、タイルを剥がす等の大掛かりな工事による騒音、また夜間や休日の工事により、近隣住戸の快適な暮らしが阻害される事例があります。